【世界陸上】6日目イブニングセッションコメント:女子やり投・ 北口が予選トップ通過!武本も決勝へ!田中が女子5000m決勝進出!
【写真提供:フォート・キシモト】
日本チームからは、まず、ともにフルエントリーが実現した女子やり投と女子5000mの予選に出場。予選通過記録が62m50に設定された女子やり投の予選は、A・Bの2組で実施され、B組に出場した女子キャプテンの北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)が1回目の試技でシーズンベストとなる64m32をマーク。全体でもトップの記録で、昨年の東京オリンピックに続く決勝進出を決めました。最終的に予選通過記録をクリアしたのは北口選手を含めて全3選手にとどまったことで、記録上位者12名までが決勝に進むことに。B組では、武本紗栄選手(佐賀スポ協)が2回目に59m15を投げ、全体で11番目の記録で決勝に駒を進めました。
女子5000m予選では、1500mで準決勝まで進んだ田中希実選手(豊田自動織機)が2組目に出場して9着(15分00秒21)でのフィニッシュながらプラス5の4番目で、2019年ドーハ大会に続く2大会連続の決勝進出を決めました。10000mで日本歴代2位に浮上する30分39秒71の自己新記録をマーク(12位)した廣中璃梨佳選手(JP日本郵政G)は1組目でのレース。3800mまで先頭に立つ果敢な走りで予選突破を目指しましたが、7着(15分02秒03)でのフィニッシュに。2組が終了した時点で、プラス5番目の記録にわずか1.05秒差の6番目での予選敗退となりました。
男子400m準決勝には、佐藤風雅選手(那須環境)とウォルシュジュリアン選手(富士通)の2選手が出場。ウォルシュ選手は1組6着(45秒75)、佐藤選手2組5着(45秒71)と、どちらも予選から記録を上げてきましたが、決勝に駒を進めることはできませんでした。
競技後の各選手のコメントは、以下の通りです。
◎上田百寧(ゼンリン)
【写真提供:フォート・キシモト】
ケガは、日本で行った最後の投てき練習でやってしまった。最終確認という段階で投げたとき、左膝が内側に入る状態となった。その日に診察を受け、前十字靱帯の部分断裂との診断で、試合にはぎりぎり出られるかどうか、とのことだった。実際に入ってぎりぎりまで出られるように取り組んでいくことで、いろいろと学べることもあると思ったので、早い段階で欠場を決めるのではなく、最後まで試合に出るつもりで、気持ちをつくって準備をしてきた。
まずは、ケガを早く治したい。そして、今回、悔しかった思いがあるので、次はいい投げが実際にできるようにしたい。それをモチベーションにして取り組んでいけば、地道なリハビリも十分にできると思っている。来年は、しっかり(世界選手権に)帰ってきて、決勝に進出できるように頑張りたい。
◎北口榛花(JAL)
【写真提供:フォート・キシモト】
投げ自体は、昨日の助走練習までは、走り方がいつもと違う感じで調子を崩していて、スタート位置を1mくらい前に出して投げたりしていたのだが、昨日の練習から元の位置に戻すことができ、今回の予選では、シーズン序盤のいい記録が出たときと同じような助走をすることができていた。
1mも違っていたので、すごく不安だったが、ぴったり合わせることができたのでホッとした。64m32の試技は、あまり飛んだ感じはしなかったのだが、64という数字が、越したかったけれどこせなかった数字でもあったので、それを今回、1回目で越せてよかったと思う。いつもは高く投げるように言われているのだが、風があることを考えて、低めに投げることを意識した。それがしっかりできたかなと思う。
(決勝に向けて、どう思うか? との問いに対して)そうですね。このあと痛いところが何も出ないことを祈ります(笑)。今、すごく興奮しているし、暑いし、元気なのだが、東京オリンピックのときにこういうこと(注:予選で脇腹を痛めて決勝で全力を発揮できなかった)があったので(笑)。慎重に準備して、調子はいいことは(この予選の結果で)証明されたので、自信を持って臨みたい。
64m32の投てきは、自分の全部の力を使いきったかと聞かれると、そんな反応は、今はない気がするので、(決勝は)もっと行けると思う。
(周りの記録があまり伸びないなかでの好調だが、目標は事前会見で掲げた入賞のままか? との問いに?)決勝になると、別人になる選手がたくさんいるので…(笑)。どういうメンバーが残るかわからないけれど、けっこうがらっと変わりそうな(調子を上げてきて、記録を大きく伸ばしてくる)雰囲気がある。自分は自分のことに集中して頑張りたい。
◎武本紗栄(佐賀スポ協)
【写真提供:フォート・キシモト】
緊張すると思っていたのだが、実際にはそこまで緊張することなく、いい緊張感で臨むことができ、楽しんで試合をすることができた。練習の2投目がよかったので、調子は悪くはないと思っていたが、1回目が57m10。「あれー?」という感じで、感覚的にもすっぽ抜けた感じがしたので、飛んでいないだろうという感じだったが、落ち着いて2回目に向かった。日本の大会でも59(m台)を投げるときは、あまり良くない感触で、今回も別にいいなという投げではなかったのだが、58〜59mを安定して投げるときのいつも通りの感じ。まずまずかなと思う。
(先に終わっていた)A組の結果は、ちょっと(全体の記録が)低かったということだけしか聞いていなかったが、自分が投げたあとに記録のところに総合順位が表示されるので、それを見て、「うわあ、ぎりぎりや」と思っていた。
決勝では、自己ベスト(62m39)を更新することが目標。「しないとダメ」というわけではないが、世界と戦うにはそれくらいの記録じゃないとダメだと思うので、自己ベストを出して、6本投げて帰りたい。
◎廣中璃梨佳(JP日本郵政G)
【写真提供:フォート・キシモト】
このレースは、予選から決勝の(ような)意気込みで、「必ず14分台を出したい」という気持ちで走った。なかなか後半につなげることができずに、15分かかってしまったことがとても悔しい。
(3000m過ぎあたりでは)暑さや風とかも感じていたので、温存したいという思いがあった。後ろにいる人に、誰か先頭に出てほしいなという気持ちも出て、ペースが落ちてしまった。
ラスト2周くらいからきつさのほうが強くて、もがくような走りになってしまった。ただ、こういう暑さのなかでも14分台をコンスタントに出せるように、今後、やっていきたいなという1つの課題になった。
◎萩谷 楓(エディオン)
【写真提供:フォート・キシモト】
2分55秒ペースで突っ込むということは、今の自分に難しかった。(昨年の東京)オリンピックの感じからすると、少しスローになる展開かなと思っていたので、それ以上のペース…2分52〜53秒で引っ張る力はなかったかなと思う。
状況も状況だったので、スタートラインに立つこと自体が難しいなとは感じたし、そのなかでいろいろな人の支えで、元気な状態でスタートラインに立てたことは、本当に感謝でしかないが、一番大きかったのは、世界との差を感じてしまったこと。この感覚は、世界のこの舞台に立った者しか味わえない。日本で一番を取っているだけでは得られないものはあると思う。もう少し、スカッとするレースをしたかったが、そういう差を、去年のオリンピックに引き続いて感じたのは、自分にとっては大きいと思う。
◎田中希実(豊田自動織機)
【写真提供:フォート・キシモト】
着順(での決勝進出)を狙う気持ちはあったのだが、5着のところにいて(走っていて)も、余裕とか楽しいとかいう気持ちが芽生えてこなくて、中盤からもうかなり余裕がそぎ落とされていく感じがあったので、途中からは、限りなく(着順で通る)5着に近づけることを意識して走った。1組目の6着のタイムと10着のタイムは、スタート前に教えていただいていたので、6着目のタイムを狙いに行った。後ろに何人控えているかわからなかったし、タイムで拾われない可能性もあったので、2組目のレベルが高いなか(決勝に)残れたのはよかったが、ラスト1周のところで、余裕を残せなかったのは想定外だった。
去年(の東京オリンピック)は、5000mが終わって、あとは距離が短くなっていく(という順番で種目が続いた)ということで、気持ちに余裕があったのだが、今回は1500mでできることをやってからの、苦手意識のある5000m(という順番)だった。今年は、5000mのほうが整っている感があったので、そこをプラスに考えようとしたが、それでも不安な部分はあったし、整っているにもかかわらず、今日、あまりタイムも出なかったので、そこが悔しい。しかし、プレッシャーを感じながら走ってのこの結果。決勝は、プレッシャーから解放されて走れるので、今日楽しめなかったぶん楽しみたい。また、今日、ラストが動かなかったぶん、明日の800m(予選)のスプリントで、しっかり出しきりたいなと思う。
◎ウォルシュジュリアン(富士通)
【写真提供:フォート・キシモト】
予選は、バック(ストレート)が向かい風で、あまり力を使わずに走れたと思っていたのだが、実際にはそこで力を使ってしまう走りになってしまった。今回は、あまり風がないと聞いたので、同じ感じでスムーズに行ったつもりだった。一応、300mのところで切り替える力は残っていたと思うが、やっぱりラストの100mがもたなかった。
1レーンでのレースとなったが、これまでに経験はあるし、(他の選手が)見えるので、一番外(を走る)よりはいいと思っていた。
予選・準決勝と2本走って感じるのは、やはりラストの100m。課題はそれだけだなと感じる。
準決勝では、最低でもプラスで残ることができればと考えていた。自己ベストか、44秒台に入れるかという感じで調子は良かったので、かなりいい線を行けるかなと思っていた。
4×400mリレーは、個人で行けなかった決勝を目指して、(気持ちを)切り替えて頑張りたい。
◎佐藤風雅(那須環境)
【写真提供:フォート・キシモト】
予選は硬くなったこともあって、前半でうまくスピードに乗れなかったが、今日は1レーンで、内側から全部(前の選手を)見られるということで、リラックスした状態で前半を入れたと思うのだが、それでも海外選手に追いつかなかったので、本当に悔しい。ただ、今日は、前半から勝負しにいったわりには、少し脚が残っていたので、後半で1つでも前の順位を狙おうと切り替えることはできた。それでもやはり届かなかった。
タイムは、予選よりは上げることはできたが、やはり今日のタイムを見ていると、3組目に関しては、5着の選手が45秒2台。世界で決勝ラインに引っかかるためには、少なくとも44秒台が必要になってくる。(4)5秒7では足りなかった。
今後は、もともとの100m、200mのスピードアップが必要になる。今シーズンはそこがかなりついてきていて、日本の試合では前半で他の選手に差をつけることができる展開が多かったが、海外では200mを19秒台で走る選手が400mをやっている。前半強化とともに、200mの強化を、これからの秋は課題にしていきたい。
(このあと競技がある)4×400mリレーでは、1走の自分が流れをつくることになる。少なくても45秒前半でしっかり(バトンを)持っていきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
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