井上尚弥の肉体を「進化」させた食事・栄養改革。プロテインを使うようになった理由とその使い分けは?

ココカラネクスト

【井上のコンディション作りを支える村野さん(左)。今回のドネア戦でも調整をサポートした。】

 ボクシングWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥と、WBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)の3団体王座統一戦が6月7日にさいたまスーパーアリーナで行われ、日本が誇るモンスターが圧巻の2ラウンドTKO勝ちを収めた。
 世界が注目するこの一戦で、井上のカラダは今まで以上の仕上がりを見せていた。そんな井上のカラダづくりをサポートしているのが、明治の村野あずさ管理栄養士だ。2014年から井上のコンディショニングに関わっている。

 アスリートの高いパフォーマンスを引き出すために不可欠なプロテイン。もちろん、井上も活用しているが、最初はプロテインに対してネガティブなイメージを持っていたと村野さんは言う。

「井上選手は当初、プロテインに対して少し不安というか、『カラダを大きくしてしまったら減量がきつくなるだけ』といったイメージで、栄養を摂り過ぎてしまうことに対するネガティブな部分がありました」

「現在の井上選手は強くなるために何が必要か、自分にとってよりよいものは何なのかを常に追求しています。サポート当初に比べれば食事やサプリメントに対する考え方も大きく変化しています。その中でプロテインについても普段の練習時から積極的に活用していますし、使うことに関してもポジティブに捉えていくようになりましたね。」

 飲むとカラダが大きくなりすぎる、という考えから、強度の高い練習に耐えられるカラダやコンディションをつくるために必要なプロテイン。そんな考え方に切り替えられたことが、井上に大きな変化をもたらしたようだ。

 さらに、プロテインの使い分けについて村野さんは、「もちろん、練習強度や目的、時期によって変わってくるのでそのとき必要なものを相談しながら摂取しています。実戦練習のような本格的なスパーリングなど強度の高い練習や追い込みの時期は、やっぱりカラダを酷使しますし、カラダにかかるダメージも強い。よりたんぱく質をしっかり摂る意識で、プロテインはなるべく、たんぱく質含有量が高く、吸収が早いホエイを中心にスペックの高いものを使っています」

【(c)CoCoKARAnext】

「試合の1カ月くらい前からは、朝昼は普通に食事をしますが、夕食は減量食に切り替わります。オートミールにプロテインやバナナ、牛乳などを入れて食べるなど減量時にも上手く活用しています。そういったときに摂るプロテインは、大豆を使ったソイプロテインですが、状況に応じて井上選手と確認しながら、選ぶプロテインや飲み方の提案をしたりします。減量期間は食事の全体量が減ってしまう分、たんぱく質だけでなく、ミネラルや鉄分、カルシウム、ビタミンなども、不足しがちになってしまうので、他の栄養素もプラスαで摂取できるものにしています」

「減量期間中は少しの味でも凄く甘く感じたり、口の中に残る感覚が気になったり、味覚や食感なども普段以上に敏感になるので、選手の声や意見に耳を傾けて、その時の減量の段階やコンディションに応じて食事内容やサプリメントの活用法を提案するように心がけています」

 一方的な提案ではなく、選手の状況に合わせて提案やアドバイスの仕方を細かく配慮する。村野さんの徹底したサポートが井上尚弥をより強くしている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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