「優勝を完全に手繰り寄せたのは7区」 帝京大OBたむじょーが箱根駅伝を分析

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駒澤大は区間2桁のミスが目立ってしまった

――前回大会覇者の駒澤大は3位に終わりました。優勝候補筆頭にも挙げられていましたが、今回の結果については?

 僕も前からレースの予想をする際には、駒澤大を優勝候補に挙げていましたが、総合3位ということで、敗因としては少しミスが目立ってしまったかもしれません。今の駅伝というのは、1区間でもミスをしてしまうと、かなり出遅れてしまうぐらい、周りもすごくレベルが上がっています。

 駒澤大は2区でエースの田澤廉選手が区間賞でつないだのですが、3区で区間順位が2桁(16位)に終わってしまいました。優勝を狙うチームであれば、全区間で5位以内、悪くても10位以内にしなければ勝てないのですが、往路で区間2桁になってしまったことが、ミスともいえるのかなと思います。

 あとは復路でも、故障明けだった8区の鈴木芽吹選手が区間18位と失速してしまい、期待されていた中で結果が伴わなかったので、今回は優勝から遠のいてしまったのかなという印象でした。

母校・帝京大の往路2位に感動。伝統校・中央大の粘りは圧巻

柏原竜二氏以来となる2年連続5区区間賞を獲得した帝京大・細谷 【アフロ】

――上位3校以外で印象に残ったチームはありますか?

 往路でいうと、帝京大が2位に入り、チームとしては過去最高の往路順位になったのが印象に残りました。帝京大は僕の母校ではあるのですが、やっぱり4年生が盛り上げくれたのがうれしかったです。

 4年連続で3区を走った遠藤大地選手は区間4位という結果だったのですが、僕が大学3、4年で一緒のチームで、その当時から3区で素晴らしい走りをしていました。今回は4年生ということで重圧はあったと思いますが、その中でもチームの順位を2つ上げて、いい走りをしてくれたと思います。

 4区も4年生の寺嶌渓一選手が粘ってくれて、5区では細谷翔馬選手が2年連続の区間賞を獲得してくれました。2年連続の区間賞は帝京大的にも異例でしたし、この走りで往路2位になりました。本人たちに聞くとは往路優勝も狙っていたようですが、過去最高順位ということで、これはたたえてあげたいと思いました。

――復路のチームで印象的だったのは?

 青山学院大と順天堂大が強かった印象ですが、強いて挙げるなら中央大の走りが印象に残りました。1区で吉居大和選手が区間新の走りでスタートダッシュに成功し、その勢いで往路は6位につけました。復路でどうなるかというところでしたが、9区までに3位に上がり、最後の10区で順位は落としてしまいましたが、これまでシード権を10年間獲得できていなかったので、再びシード圏内で終えることができたのは、伝統校の復活という姿を見せられたんじゃないかなと思います。全区間を通して、上位で争えていたのでよかったなと思います。

来シーズンも3大駅伝を制した3チームが軸

――箱根駅伝で今シーズンの大学駅伝を終えましたが、来シーズンに向けての展望は?

 選手としては國學院大で9区を走った1年生の平林清澄選手に注目したいですね。区間賞こそ青山学院大の中村選手が区間新で取りましたが、それに続く区間2位でした。たすきをもらった時点ではシード圏内ぎりぎりの10位でしたが、そこから5位までチームをのし上げました。1年生でその堂々とした走りができるというのがすごいですし、全日本大学駅伝でも好走していましたし、自分の力で押し上げていけるという能力があるので、今後エース格に上がるような選手なのかなと思いました。

 チームの戦力で言うと、駒澤大は4年生が1人しか箱根を走りませんでしたし、来年9人経験者がいるというのが強いと思います。青山学院大も走っていない選手も含め力がある選手が多いので、戦力的には抜けている印象です。

 それに加え、東京国際大も2区でイェゴン・ヴィンセント選手がケガの影響で苦戦はしましたが、1区の山谷昌也選手、3区の丹所健選手が好走しました。今回の箱根は4年生が1人だけだったので、駒澤大と同様に来シーズンも力が強いと思います。ヴィンセント選手も今回のレースの悔しさがあると思うので、ここからはもっとレベルの高いチームになるんじゃないかなと思います。

たむじょープロフィール

【写真提供:クロスブレイス】

1997年4月2日生まれ。市立船橋高を経て帝京大に入学。2年時に箱根駅伝8区を走る。4年時には全日本大学駅伝にて1区を任された。副主将としてチームを引っ張った。実業団からの誘いもあったが卒業後は、YouTube上で「たむじょー」として活動している。

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