【YouTube企画】星野ジャパン同窓会 ―北京の記憶―

藤川球児に聞く、侍ジャパン金メダルの鍵 星野ジャパン同窓会・特別編

ベースボール・タイムズ

初戦、ドミニカ共和国攻略の鍵

大事な大会初戦の先発投手は山本由伸が濃厚。その理由を、藤川氏は理論的に説明する 【写真は共同】

 初戦の相手はドミニカ共和国になる。その上で、「対ドミニカで気をつけなければいけないことは空中戦」と相手の“一発長打”を警戒する。

「日本の打線が初戦は硬くなるはず。そうなった時に誰が最初の1本、1点を獲得することができるか」と藤川氏。最初の1点をスムーズに奪うことができれば硬さも取れ、「実力差があった場合、日本に本当に力があった場合は大量得点に繋がる。ただ、5回までは絶対にそんなことはない」と国際舞台の難しさを語り、その中で相手に本塁打を許した場合、「後手に回りそうな気がする」と懸念する。

 だからこそ「投手選考が大事」と言い、「低めにボールを集められる」「ホームランの可能性の低い投手」「三振を取れる投手」と先発投手の条件を挙げ、「そうなると山本(由伸)投手がいいのかなと思う」と理論的に日本の“開幕投手”を弾き出した。さらに打線についても語り、「1点、2点ではなくて3点、4点を奪うため」のキーマンに村上宗隆を指名した。

国際野球の中で乗り越えなければならないもの

国際大会では「日本のルール」は通用しない。国を背負ってのギリギリの戦いに対応しなければならない 【Getty Images】

 今大会のレギュレーションでは、初戦に敗れても、まだまだ金メダルへの道は多く残されている。だが、初戦でキューバに敗れた北京五輪を反面教師にしても、東京五輪では初戦にしっかりと勝ってチームに勢いをつけることは非常に重要だ。

 その上で藤川氏はドミニカ戦に向けて、「キャッチャーの動きで(コースが)わかる。セカンドランナーの動きが出る。これは100%です」と国際大会でのサイン盗み、打者への伝達行為について指摘。「日本人は真面目なのでやっちゃいけないというルールがありますけど、基本的に国際ルールの中ではそういう縛りはあまりない」と過去の経験をもとに話しながら「日本がするべきことは、サインを複雑にする。キャッチャーの構えを遅らせる」などの対策の必要性を語り、「自分たちはしなくていい。でも相手にされることは防ぐべき」と強く訴える。

 藤川氏は言う。「どうすれば金メダルを取れる確率が生まれてくるかは、試合が始まってみないと分からない。ゲームが始まって、1試合終わり、2試合終わりというところで上がっていくもの。それが現場が抱える不安。何も不安がないのでは緊張しない。それは勝負事ではない」。幾多の修羅場、重圧のかかるマウンドを毎日、毎年、経験してきた男だからこそ、重みのある言葉である。

 そこに付け加える。「一つ言えることは、練習試合の結果、内容は1ミリも関係ない。(チームとして)今が一番弱いのは当然です。一番弱いところから一つずつ自信をつけて強くなる。それが王者の戦い方です」。いかなる道も、金メダルに通ず。その始まりの「プレイボール」が、いよいよ告げられる。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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