オカモト MOBY タクヤ(SCOOBIE DO)│野球で、文化とファッションを楽しむということ【前編】

【【写真】西田周平】

バンド「SCOOBIE DO」のドラマーとして活躍する、オカモト MOBY タクヤさん。MLB通としても有名で、メジャーリーグ中継で解説を務めた経験も持つ。彼の野球観は、同じく幼少期から慣れ親しんだ「音楽」と「アメリカ文化」と密接に絡み合い、独自のアングルから語られる。現在も草野球チームでプレーヤーとしても野球を楽しんでいる彼の、カルチャーとしての野球の魅力について語ってもらった。

同時期に出会った「野球・音楽・アメリカ文化」

【【写真】西田周平】

──野球に興味を持ったきっかけを教えてください。

幼稚園のときから遊びとして野球をやってはいたんですけど、鮮明に覚えているのは、5歳のとき。1981年の後楽園の開幕第二戦、巨人対中日の試合を観に行ったときですね。それが、ボクにとって初めてのプロ野球観戦でした。同時期に、前年に引退した王貞治さんの引退特番をテレビでみていたり、小学館から出版されていた『王貞治物語』っていう、歴史漫画テイストで王さんの選手人生が描かれた漫画も読んでいて。それで王貞治さんが大好きになりました。

──王さんのどんなところに惹かれたのですか?

868本というホームランの世界記録保持者で、左投げ左打ちの一本足打法で……と、唯一無二のかっこよさはもちろんなのですが、伝記を読んで、王さんの趣味がピアノだと知ったんですよ。そのころボクもピアノを習い始めていて、共通点を感じたり、「野球選手とピアノ」っていう組み合わせがちょっと新鮮で印象に残ったのもあるかもしれませんね。それと、ボクも左利き。王さんへの憧れもあって、その後少年野球に入ってからは、ずっとファーストです。
ちなみに同じ頃、もうひとつボクにとっての大きな出会いがあって。5歳のとき、ビートルズに出会ってるんですよ。当時よく見ていた教育番組『ひらけ!ポンキッキ』の番組内で、ビートルズの曲がよく使われていて。それを口ずさんでいたら、父が「なんでそんな曲知ってるんだ」って、ビートルズのベスト盤を聴かせてくれたんです。それをきっかけに、ビートルズにもはまっていきます。だから、ボクが野球と音楽にはまっていったのはほぼ同時期なんですよね。小学生時代には、ボクの人生に影響を与える出会いがいくつもありました。

──ほかにはどんなことがあったのでしょう。

メジャーリーグに出会ったのも小学生低学年のころ。父がゴルフ用品を扱う仕事をしていた関係で、取引先の野球用具のカタログをよくもらってきてくれたんです。そのカタログに、メジャーリーガーの写真が載っていて、「なんだ、この知らない外国人選手は」と思って。それで調べてみたら、どうやらアメリカのスター選手らしいと。たとえば、メジャー通算安打記録を持つピート・ローズだったり、シンシナティ・レッズの名セカンドだったジョー・モーガンだったり。それをきっかけに、メジャーにも興味を持ち始めました。球場もユニフォームもかっこいいなって。ちなみに、『アメリカ横断ウルトラクイズ』が好きになったのもこのころ。(※MOBYさんはクイズ好きとしても有名で、日本テレビ系『全国高等学校クイズ選手権』で作問を担当していたほど)会場にメジャーリーグの球場が使われたりもしていて。
こんなふうに、今のボクの人生の大きな軸になっている、音楽と野球と、それからアメリカのカルチャーには、同じ時期に興味を持ちました。それが今ではすべてが混ざり合って、ここまできている感じです。

自由に、かっこいいものを身に着けたかった

【【写真】西田周平】

──チームで野球をプレーするようになったのは何歳のころだったのでしょう?

地域の少年野球チームに入ったのが、小学校2年生のときでした。本当は4年生からなんですけど、あまりにも野球が好きだっていうことをわかってくれて、早く入れてくれたんですよね。中学では諸事情により野球部には入部せず(笑)、結局バレーボールをやりました。それでも一番好きなのは変わらず野球のままで、ずっと野球ばかり観てましたね。米軍ラジオ放送で、メジャーリーグの試合実況を聴いたりもしていました。英語がわからなくても、チームと選手の名前や得点くらいはわかったので、なんとか聞き取ろうと。あとは、『週刊ベースボール』で連載されていたパンチョ伊東さんのMLBの記事も読んでいた記憶がありますね。だから、中学生時代は野球を自分でプレーできなかったぶん、とにかく情報を集めて、オタク寄りになっていった時期でもあります。

──高校では野球部に入られたのですか?

軟式野球部に入りました。ボクの高校には硬式も軟式も両方野球部があったんですけど、当時ボクは、野球でもかっこいいものを身に着けたくて……。メジャーリーガーはリストバンドとか手袋も派手なものを使っていたり、ちょうど当時はアメカジがブームだったこともあって。軟式野球でも、公式戦では派手なものは着けられないけれど、硬式よりは自由なところもあったので、軟式を選んだんです。フランクリンっていう、アメリカで一番有名な手袋メーカーのバッティンググローブを使ったり、目の下にアイブラックをつけたり、ヒマワリの種も持ち込んだり(笑)。好きなものを身につけても文句を言われないように、練習は頑張っていましたよ。2年生の春からクリーンナップを打っていて、県大会を勝ち抜いて関東大会にもレギュラーとして出場しました。

──野球で「かっこいいものを身に着けること」にかなりこだわられていたのですね。

メジャーリーグにあこがれていたので、かなりこだわっていましたね。グローブは、マーク・マグワイアのモデルのファーストミットをずっと使っていました。高校1年生のとき、ミネソタ州にホームステイしたことがあって。ボクがあまりにも野球が好きだということで、ミネソタ・ツインズ対オークランド・アスレチックスの試合に連れて行ってくれたんです。そのとき、当時アスレチックスにいたマーク・マグワイアを観て、ホームステイ先のスポーツ屋さんに売っていた彼のモデルのファーストミットを買って使うようになりました。

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後編では、MOBYさんが感じる草野球の面白さや、ミュージシャンならではの視点で話してもらった野球の魅力についてお伝えします。

#プロフィール

【【写真】西田周平】

オカモト MOBY タクヤ
4人組バンド「SCOOBIE DO」のドラマーで、マネジメントも担当。MLBファンとしても有名で、動画配信サービス「DAZN」でのMLB解説経験も持つ。MLB雑誌『Slugger』を始め野球関連コラムの執筆や、野球と音楽がテーマのラジオ番組「NO BASEBALL, NO LIFE.」(FMおだわら)でのMCも務めている。



【文章】笹沼杏佳
【写真】西田周平
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著者プロフィール

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