植田直通が楽しむ“バチバチ”とした守備 持ち味の「鹿島のやり方」でチームに貢献

中田徹

「やりたいようにやれる」と充実の日々

同じくベルギーで躍動するSTVVの冨安健洋(左)と談笑する植田(右)。強い気持ちを前面に出し、結果を求め続ける 【写真は共同】

 8月18日、ズルテ・ワレヘム戦で植田は77分から守備固めとして登場し、2−1の逃げ切り勝利に貢献していた。当時、彼はこんなコメントを残していた。

「前節のスタンダール(・リエージュ)戦(0−0)でスタメンとして出ましたけれど、自分のところにボールが来るというシチュエーションでもなく、自分の力を発揮できた試合ではなかった。今日も、もっともっとバチバチやり合えるような相手とやりたかった。まだ試合の中で僕のプレーも見せてないので、監督もチームメートも分かってない部分が多いと思う。練習からもそうですが、そういうところを試合でも見せたい」

 あれから2カ月半が経った。植田は今、こう言うのだ。

「やっと、自分がやりたいように、やれるようになってきました。チームのやり方も少し変わったんです。(Jリーグ時代の)鹿島(アントラーズ)でやっていたようなやり方に変わりました。それが自分に一番あっていると思いますので、いい方向にいってるんじゃないかと思います」

「鹿島のやり方」とは何だろうか?

「今までは『CBは外に出るな』と言われてましたが、そこを突かれる場面が多かったので、『CBは外まで出ていってマークを付いてもいい』となりました。鹿島時代から、僕はマンツーマンでバチバチやっていた。ボールを奪い切って攻撃につなげるという部分が、僕の持ち味だと思う。そういう守備を『やっていい』と言われたので、それが今、楽しくって」

 今、冨安健洋(STVV)の成長が著しく、日本、ベルギー両国で注目を集めている。

「みんなに、植田のことが忘れられているかもしれない(笑)。試合に出れば、僕は負けない自信があります。そこまでの過程が大事だと思いますので、僕はここでしっかり結果を出し続けて、また(代表に)呼ばれれば『自分がレギュラーだ』という気持ちを見せていきたいです」

 言葉には強い気持ちが宿っていた。しかし、その表情は実にリラックスしており自然体。植田がベルギーで、心身共に充実した日々を送っていることが伝わってきた。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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