清宮が“男”と認めた早稲田実・野村
小さな偶然が導いたプロへの道

ビッグゲームで見せた本塁打の数々

清宮に続いて2年連続でプロへ送り出す早稲田実・和泉監督と握手をする野村
清宮に続いて2年連続でプロへ送り出す早稲田実・和泉監督と握手をする野村【清水岳志】

 ビックゲームに強かった。1年秋の東京大会は日大三とのライバル対決で、清宮が相手エースの櫻井周斗(横浜DeNA)に5三振に抑えられるが、野村がライトにサヨナラ2ランを放って優勝した。これで明治神宮大会に進んで、翌春のセンバツ出場を決定的なものにした。


 2年春の東京大会の決勝はまたも日大三と対戦。ナイター開催で夜の10時過ぎにまで及ぶ延長12回の打撃戦(18対17で優勝)でも、7打数5安打2本塁打。そして高校での最後のゲームとなった今夏の西東京大会4回戦の八王子戦。3点差で迎えた最終回、2打席連続となる2ランを放って、もう一歩のところまで追いすがった。


「もう1本、頼む、とスタンドから聞こえてきて。ここで打たなきゃ“男”じゃないと思って」


 男――。


 清宮に「あいつは男だな、と思います」と言わせたことがあった。清宮が5三振したゲームでサヨナラ2ランを放ったゲーム後、清宮が野村をどう思うか、と問われた時だ。


 172センチ82キロという体型は今風のスマートな高校生とはちょっと違うし、コメントも気持ちを表に出す気合派。今年の夏の間、両親と家族会議を重ねて進路を熟考。プロ志望の意思を貫いた骨太で、男っぽいのだ。

奪三振の多い則本との対戦熱望

「早実に入学したときは大学を目指して、神宮で野球をやりたいと思っていましたが、最終的な目標はプロへ行って活躍すること。子どもの頃からの夢を追いかけたくなった。清宮さんの影響は多少なりともありました」


 9月10日、プロ志望届を出した誕生日に言っている。和泉実監督が付け加えた。


「2年間、清宮の側にいたし、感じるものは大きかったはず。いろいろと経験する中で大学ではなくてプロの世界でやりたい思いが出てきたのでしょう」


 清宮との出会いが“変わる”決意をさせた。そしてプロへの道を早めた。


 高校通算68本塁打。これは非公式の数字ながら、今年の高校生では2番目の数字だ。和泉監督は「入学してから、うちの4番を張ってきた。主将という負担がなければ、数字はもっと伸びたと思う。野球をよく知っている。ポジションも時間はかかるかもしれないけど、どこでもこなせる」と言う。そして王会長は「広角に打てる打者で期待が持てる」とコメントした。


「ホームランバッターというより広角に打てるのが自分の持ち味。チームバッティングで貢献したい。三振の少ないタイプだと思っている。奪三振の多い則本投手(昂大/東北楽天)と対戦してみたい。最終的には3割30本を打てるような世界一の選手を目指したい」


 野村自身はそう、抱負を語った。


 6歳の時の甲子園での偶然の1日が、清宮と交わって、王会長の元につながっていく。つかみ取った大きな幸運は、プロ野球界のステージに登れる、ということ。そこまでには努力と実力もあったし、ただの幸運で終わらせないためにはさらなる精進が必要だ。

清水岳志

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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