守備能力が高いゆえに起こった悪送球 岩村明憲氏の日本シリーズ解説2018

スポーツナビ

広島がシリーズ初勝利を挙げた第2戦。岩村氏は3回の川島(写真右)の悪送球をはじめとするソフトバンクの守備に着目した 【写真は共同】

 プロ野球の頂上決戦「日本シリーズ」第2戦が28日にマツダスタジアムで行われ、広島が福岡ソフトバンク相手に5対1で今シリーズ初勝利を挙げた。対戦成績は広島の1勝1分け。第3戦は30日にソフトバンクの本拠地・福岡ヤフオクドームで行われる。

 試合は初回に4番・鈴木誠也の適時内野安打で広島が先制。3回は3番・丸佳浩の犠飛と5番・松山竜平の適時打で2点を追加、5回には鈴木の2点適時打で突き放した。先発・ジョンソンは7回4安打1失点の好投で勝利投手。ソフトバンクは攻撃的オーダーを組んで臨んだが、わずか1得点に終わった。

 スポーツナビでは、東京ヤクルトやMLB・レイズなどで活躍し、短期決戦の経験が豊富な岩村明憲氏による日本シリーズのポイント解説をお届けする。

まだ、ギャンブルを狙う場面ではなかった

 以下は岩村氏の解説。

「今日は『守備』をテーマにしたいと思います。デスパイネをレフトに据えるなど、ソフトバンクが前日とは大きくオーダーを変えてきました。昨日の第1戦が重苦しい展開になっただけに、今夜は先取点を取りたいという意志の現れですね。ただ、初回の先頭打者・田中(広輔)選手の浅いフライをそのデスパイネが捕れず二塁打に。そこから鈴木誠也君のタイムリーにつながり、ほしかった先取点を逆に取られてしまった。まず、これが大きかったですね。

 もうひとつが3回裏の無死一塁、菊池(涼介)選手のセカンドゴロを川島(慶三)選手が悪送球をしてしまった場面。確かにスムーズにいけばダブルプレーまで行けたかもしれないけれど、まだギャンブルを狙うイニングではなかった。投げる体勢も良くなかったですしね。川島は東京ヤクルト時代に一緒にやっているかわいい後輩で、その守備能力が高いことは理解しています。守備能力が高いゆえに起こってしまったミスかなと思いますね。

 仮に僕が同じシチュエーションでセカンドを守っていたら……もし悪送球になる可能性が少しでもあると思えば、一塁に投げて確実にアウトを取りに行っていますね。100%の自信がないと投げちゃいけない場面ですから。セカンドでアウトになるパーセンテージが何%なのかを把握するのは大事だと思います」

鈴木誠也は4番の重責を果たしている

広島の4番・鈴木誠也(写真左)は2本のタイムリーを含む3安打3打点の大活躍を見せ、勝利に貢献した 【写真は共同】

「初勝利をつかんだ広島は鈴木誠也君がいいところで打ちましたね。1本目のタイムリーは内野安打でしたけど、4番が打点を挙げることはチームに勢いを与えます。どんな形でもタイムリーが出たことで、2本目のダメ押し打も生まれましたよね。短期決戦はきれいなヒットはいらないし、誰もが自分に与えられた仕事を全うすることしか考えていない。彼みたいに若くてもそういうことができているのは、しっかり4番の重責を果たしている証だと思います。

 第3戦以降は福岡でやることを考えると、広島は今日勝たないと大変だなと思っていました。今日勝ったことで、仮に福岡で3連敗してもまたホームに戻ってこられる、第6戦を必ずやると決まったことは広島にとって強みだと思います。対するソフトバンクは地元のファンが多いホームアドバンテージを生かして、自分たちの流れで野球をする姿が見られると思いますよ。引き続き今シリーズを楽しみにしたいと思います」
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