箱根制覇を掲げるスピード軍団・東海大 強化スタイルを“変革”し悲願達成へ
『リビングハイ・トレーニングロー』の合宿地
主将の湊谷春紀(写真)らは、駅伝シーズンに向けて好調を維持している 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
「夏は高地トレーニングをやってきましたが、今年は合宿地を少し変えたんです。同じ長野県内ではあるんですけど、標高2000メートルの高峰高原に宿泊しました。やりたいのは『リビングハイ・トレーニングロー』なので、標高の高い場所で寝泊まりして、トレーニングは標高1000メートルほどの場所で行いました」
高峰高原の麓にある小諸市にオールウェザーの400メートルトラックが完成したこともあり、新たな場所も活用。箱根強化組は距離走が中心で、例年以上の距離を踏んだ。
「30キロ走は1次合宿より少しペースを上げて、入りは1キロ3分45秒くらいで、一番速い時は最後の5キロが16分ちょっとまで上がりました。1次合宿と2次合宿で30キロ走は10回以上やりました。最長は32キロです。少しくらい故障してもいいからバッチリ走り込ませています。これくらいの改革をしていかないと青学さんには勝てませんから」
湯澤舜、湊谷春紀(4年)、高田凛太郎、郡司陽大(3年)らが好調で、1年生は本間敬大、須崎乃亥、田中康靖がおもしろいという。6月上旬に左くるぶし付近を疲労骨折して日本選手権を欠場した關颯人(3年)は日本陸上競技連盟の合宿に参加しており、10月の出雲駅伝には間に合う見込み。西田壮志と名取燎太(2年)は実業団チームの合宿に参加して走り込んだ。
秋シーズン以降もスタミナを強化
就任8年目となる両角監督が“変革”を掲げた東海大。悲願の箱根制覇となるか 【写真は共同】
トラックシーズンは1500メートルを中心に戦ってきた館澤も夏合宿では昨年以上の距離を踏んだ。「昨年は22キロが最高でしたけど、今年は28キロ走までやりました。1500メートルは日本インカレまでなので、今後は駅伝仕様にシフトしていきます。昨年度は出雲と箱根で区間賞を取れなかったので、今季は三大駅伝すべてで区間賞を獲得して『エース』と呼ばれるくらい安定感のある選手になりたいです」と駅伝シーズンに向けて気合十分だ。
まだ手にしていない箱根駅伝の総合優勝に向けて、東海大はどう進化するのか。「今年は3年生が中心のチームだと思うので、彼らが2年かけてつけてきたスピードをどう生かすのか、着目してもらえればと思います」と両角監督。就任8年目での“変革”に注目が集まる。(文・酒井政人)