相撲ファンに響く嘉風の生きざま 13連敗中も変化に逃げず「ぶれたくない」
本場所は「ゲーム」嘉風の覚悟
14日目、寄り倒しで明生を破りようやく初日を出した嘉風(奥) 【写真は共同】
「そんな安易な気持ちで相撲を取ろうとは思ってない。逃げずにしっかり当たっていく。そこは絶対にぶれずにいきたい」と語った翌日、明生を会心の相撲で寄り倒し、14日目にして待望の初白星を挙げた。
「たくさん声援をもらって、その期待に応えようと思っていた。自分らしい相撲で勝ったのはよかった」と熱い声援に感謝しつつも「このまま負け続けていたほうが、声援をもらえるんじゃないか。普通の人になっちゃいました」と笑った。
気持ちがぶれることなく、最後は連勝で酷暑が襲った今年の7月場所を締めた。これまで経験したことがない厳しい15日間を戦い抜いた36歳は「メンタルは強くない」と日ごろから公言する。
一向に出口が見えない長いトンネルを彷徨っている真っ只中でも「信じられないし、自分じゃないみたい。でも、それが自分」と、大敗中の自分自身をただ、真正面から受け入れて戦った。
覚悟を決めて上がる土俵での戦いぶりからは、連敗がどれだけ続こうとも嘉風という力士の熱い生きざまが、相撲ファンの心にストレートに伝わってくる。猛暑が過ぎ去ったのちにやって来る9月場所も今場所同様、新たに始まる“ゲーム”を存分に楽しむだけだ。