注目の清宮は新人王争いの大穴候補 パ・リーグ注目のルーキーを探る

永松欣也

日ハムの指名方針は顔がいい選手!?

日本ハム3位の田中(写真右)はルックスも良く、将来性抜群の本格派右腕 【写真は共同】

――続いて日本ハムです。なんといっても清宮を獲りました。単刀直入に日本ハムで良かったですか?

小関 一番良かったんじゃないですか。

福田 セ・リーグに行って欲しかったですけど、本人にしたら一番良かったでしょうね。

小関 阪神に行っていたら面白かったですけどね。金本(知憲)監督がどんなふうに使うのかなって。ちょっと見てみたかったですね。なんとなく日本ハムだと想像がつくじゃないですか。

福田 段々とステップを踏んで順調に育つなってね。他の球団だとどうなるか見てみたかったですね。

西尾 大谷翔平がいなくなって入れ替わりでちょうど良かったですよね。

――清宮は1年目からどれくらいやれそうですか?

小関 1軍で6、70試合は出るんじゃないですかね。外野とかは絶対無理だと思いますけど。

西尾 最初は外野もやらせるかもしれないですね。プレーの幅を狭めないために中田翔も最初はサードとかやらせてましたからね。ただ、サードのスローイングじゃないですけどね、ファーストでのプレーを見てたら。グラブさばきは柔らかいので「上手いファースト」になりそうな感じはしますけど。バッティングもプロに慣れたら結構すぐに打つんじゃないですかね。2年目からレギュラー獲っても全然おかしくないですね。

小関 中田がどの段階で(FAで)出て行くのか、それによってポジションが空くかどうかも重要ですが、2年目には100本以上ヒットを打てるかもしれないですね。

西尾 日本ハムって高卒選手もファームでガンガン使うじゃないですか。まぁまぁ使えそうだなってなったらシーズン途中に上に上げてという形になるんじゃないですかね。

小関 バッティングはとにかく柔らかい。プロの壁に跳ね返される感じがしないですね。いいバッターというのはすぐにプロの投手のキレやスピードに慣れますからね。高校1年の時に全日本で当時創価大の田中(ソフトバンク)から148キロのストレートでしたかね、センター前に打ったじゃないですか。あれを見てプロでも大丈夫だと思いましたね。

西尾 あれはすごかったですね。当時、関東一のオコエ瑠偉(楽天)なんかは「こりゃ打てん」って顔で笑ってましたからね(笑)

小関 清宮はアンチなんかがいて「プロではどうか」なんて意見がありますけど、文句なしですよね。ボールを捉える感覚とか、捉えたときのゆったりしたフォローとか。

――開幕スタメンもありますか?

小関 中田がいるからねぇ(笑)

西尾 大谷はいきなり外野で使いましたけどね。

小関 あるとすればDHですかね。ちょっと見てみたいですよね。

――清宮だけじゃなく、前回の座談会で皆さんが絶賛した田中瑛斗(柳ヶ浦)も3位で獲得しました。

西尾 指名の収まりがいいですよね。1位で清宮を獲って、2位で即戦力投手の西村天裕(NTT東日本)を獲って、3位で将来のエース候補の田中を獲って。

小関 ピッチャーがいろいろといなくなったタイミングで西村を獲って、田中を獲って、下位でも鈴木遼太郎(東北学院大)、宮台康平(東京大)を獲って。みんなそれぞれ使えそうな感じですよね。

西尾 鈴木なんかは結構早く出てきそうですよね。

――鈴木も前回、皆さん絶賛してましたね。馬場と遜色ないと。

西尾 全国大会出場とかの実績がないだけで指名順位が割り引かれてるんだと思いますね。宮台は出てくるのに時間がかかると思うんですけど、この順位(7位)だったら全然いいんじゃないですかね。

福田 田中は顔が良くて、グッズがすごい売れているらしいんだけど。担当記者に聞いたんだけど、日本ハムは方針として顔がいいやつを獲るらしいんですよ(笑)。

小関 西武と対照的ですね(笑)

西尾 田中は実力も問題ないと思いますけどね(笑)。

井口監督が安田を使い続けられるか!?

ロッテ・井口新監督はドラフト1位の大器・安田をどう育成、器用していくのかが注目される 【写真は共同】

――それでは最後にロッテです。清宮を外しましたが同じ超高校級の安田を獲りました。

小関 清宮も安田もモノになると思ってます。いや、すごいですよね。あのライナーの打球の速さ、鋭さは数年に1人じゃないですかね。

西尾 T-岡田(オリックス/履正社出身)よりも僕はちょっといいかなと思いましたけどね。T-岡田も良かったですけねど、安田の方がちょっとだけ意識も高そうに見えますし、脆さがなさそうな気がしますね。慣れれば早く出てくるんじゃないですかね。

福田 井口(資仁)監督がどういうふうに育てたいかアレですけど、監督自身も1年目で若いですし、とにかく安田を、長嶋さんが松井秀喜を育てたように、安田を「一丁前にするんだ!」という感じで、もちろん試合にも勝たなければいけないと思うんですけど、そこをちょっとえこひいきでもいいから、「こいつを絶対育てる!」という信念を持ってやらないとダメだと思うんですよね。それができるのは監督だけだと思うんですよ。1年目だからある程度やらせてもらえうと思うんですけどね。

――そういう意味では、新人監督の球団に入ったのは安田にも良かったのかもしれないですね。

西尾 チームも昨季は弱かったですからね。

福田 安田は三塁ですよね? でもまぁ2位の藤岡裕大(トヨタ自動車)にしてもそうだけど、どのように使うのかなって思いますけどね。いますよね、いっぱい選手が。

小関 本当ですよね。中村奨吾、鈴木大地といるところに藤岡ですから。

福田 中村をセカンドにするんでしょ? それで鈴木大地をサードに。平沢大河がショート。そこに藤岡を獲ったわけでしょ? そういう中でどういう風に起用するのかなって。安田あたりは2軍でじっくりやるのか、あわよくば上で使うのか。

西尾 藤岡はすぐに使えると思うんですよね。源田(西武)よりは確実に社会人の段階では打てているので。まぁ守備は源田の方が良かったと思うんですけど。藤岡はどこで使われるかですよね。外野もできるのでいいと思うんですよね。

小関 藤岡を外野でっていうのはありますね。平沢とかも(内野で)使いたいじゃないですか。

――ロッテも結構社会人を獲るイメージがありますね。2位から6位全員社会人ですね。

西尾 高校生が少ないですよね。安田クラスのスケールの高校生選手を獲るってすごく珍しいですよね。昨年あれだけ弱かったのでなんとかしないと、というのはあるのかもしれないですけど、スケール的にどうかなっていう。

小関 常にBクラスのチームって、指名がこうなりますよね。

西尾 まぁ安田を獲れたんで救いはありますけどね。ロッテの過去10年の成功選手って誰ですかね? タイトルホルダーって誰かいました?

小関 石川歩。ベストナイン、ゴールデングラブを入れると清田育宏、鈴木大地、益田直也、田村龍弘。オリックスはベストナインもゴルデングラブもいないんですよ。

西尾 田村はでかいですね。

小関 伊東(勤)前監督が結構若手をちゃんと使える人だったんで。井口監督は未知数なんで。伊東監督だったら安田を使うなって感じがしましたけどね。

福田 試合が終わった後もちゃんと練習させてたでしょ、伊東さん。

――井口さんの方針がまだ見えないのがね、蓋を開けてみないと、というところですよね。

小関 井口さんがちゃんとファームの試合とか見るか、そういうことですよね。若手起用するってそういうことじゃないですか。自分の足を使って苦労して選手を引き出そうとしてるかどうかですから。

新人王争い本命に田嶋、対抗・藤岡

新人王本命に挙げられるオリックス1位の田嶋。1年間ローテに入れれば2ケタは固いという 【写真は共同】

――ここまで駆け足でパリーグ6球団の指名を振り返ってみました。ここからは新人王候補について考えてみたいんですが。今年ドラフト指名を受けた選手の中から新人王候補に躍り出そうな選手を挙げていただきたいんですけども。

西尾 僕は田嶋(オリックス)ですねぇ。鈴木(オリックス)も……ちょっと厳しいかなぁ。あとは藤岡(ロッテ)ですか。西村(日本ハム)も2軍スタートで膝も故障してたというのもあるんですけどリリーフで使われそうなんで……でもリリーフだと(新人王を)獲りづらいっていうのがあるんで。僕は投手なら田嶋、野手なら藤岡ですかねぇ。あといますか、誰か?

福田 清宮(日本ハム)がどれくらい試合に出られるか。

西尾 可能性的にはちょっと新人王を獲るまでは厳しそうですよね。松井(秀喜)の1年目くらい、ホームラン11本くらいは打ちそうですけどね。新人王なら20本くらいは打たなきゃダメですよね。

――昨年のこのタイミングで源田(西武)が新人王って声はほぼ聞かれなかったですよね。

西尾 あんな打てると思わなかったですもん。

小関 トヨタで7番、8番、9番とか打ってましたからね。

西尾 今年は大穴で寺岡(楽天)とかあるかもしれないですね。

小関 大穴で清宮があるんじゃないかな。一番順当なのはやっぱり田嶋なんじゃないですかねぇ。

西尾 普通に1年間投げたら、そんなに貯金は作れなくても2ケタ勝ってもおかしくないですけどね。昨年の山岡(泰輔)くらいはやりますよね、多分。

――では、本命・田嶋(オリックス)、対抗・藤岡(ロッテ)、注意・西村(日本ハム)、大穴・清宮(日本ハム)、寺岡(楽天)という感じでしょうか。

小関 西村は50試合くらい登板すれば。

西尾 リリーフと先発だったら先発の方が有利ですからね。

――増井が抜けたので、守護神にでもなれればチャンスはありそうですね。

<セ・リーグ編に続く>

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著者プロフィール

1976年、大分県速見郡生まれ。サラリーマン生活を経て30歳からWEBスポーツ界へ。多くのスポーツサイトの企画・編集、ディレクションなどを経てフリーランスに。現在はWEBディレクションと並行して、少年野球、高校野球関連サイトの企画・編集・監修も務めている。

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