名門で鍛えた3年間――あの夏の思い出 横浜高OB対談 倉本寿彦×筒香嘉智

週刊ベースボールONLINE

人間性をみっちり指導された3年間

惜しくも敗れた大阪桐蔭高との準決勝、倉本は2安打2得点1盗塁と1番打者として躍動した 【写真=BBM】

 高卒でプロ入りした筒香に対して、倉本は創価大、社会人・日本新薬を経てプロ入りと、今は同じチームでプレーする2人も歩んできた道のりは異なる。しかし、根底には横浜高時代に過ごした濃密な3年間がある。

──伝統的に受け継がれている横浜高の「強さ」はどこにあるのでしょうか。

倉本 グラウンドでもそうですけど、寮で生活していたので、そういう部分から得たものも大きいと思います。当時の渡辺元智監督からミーティングで道具の大切さなど、当たり前のことからいろいろと教えてもらいました。人間性についてもそうですね。そういう部分を実践でき、勝ちにつなげられることにあったんだと思います。

筒香 試合では勢いが大事ですけど、それだけで野球をやっていないところが横高にはありました。細かい野球も徹底されていたし、それぞれの役割も明確だった。どんな状況でもしっかり野球ができることが強さの秘訣だと思います。

──高校3年間で得たもので今に生かされている面や、当時の渡辺監督、小倉清一郎部長からの教えで大切にしているものはありますか。

倉本 打つ、走る、守るだけじゃなく、野球に関する細かな点を教えてもらいました。ほかの高校ではやっていない技術的な部分は、大学、社会人、プロと進む過程で自分の中で生かされていると思います。

筒香 監督さんには毎日ミーティングをやってもらい、人間性や「人として」の部分をみっちり指導していただきました。小倉部長は、野球の細かな部分ですね。高校で教えられたことを土台にして、プロでも戸惑うことなく入っていけたのは、監督、部長に指導していただいたおかげかなと。当時教わったことは今でも生きているし、変わらず僕の心にあり続けます。

──今でも横浜高の試合はチェックされていますか。

倉本 なかなかグラウンドや球場には足を運ぶことはできないですけど、結果は気になるし、テレビなどで中継があれば後輩たちのプレーを見ています。

筒香 僕も同じですね。

母校への愛情は強いつながり

2年夏に3本塁打を放ち、「バットに当たればマッハ。でもなかなか当たんないんだよ」と小倉部長(当時)の嘆きに、結果で応えてみせた筒香 【写真=BBM】

──今年から横浜高のコーチに筒香選手の同級生で、倉本選手とは創価大でも一緒にプレーした高山大輝コーチが就任しました。

倉本 立場的には表には出てこないと思いますが、年齢的にも選手と近く身近な存在として指導ができると思います。でも、それが逆に大変な部分になるのかもしれませんが、頑張ってほしいなと思っています。

筒香 そうですね。選手のために全力で頑張ってほしいです。

──甲子園で一緒に戦った2人が、今もプロの同じ球団で、しかも1軍でプレーしているのは珍しいと思います。

倉本 また一緒にプレーできるとは思っていなかったので、最初は不思議な感覚でした。今は立場も違うので、キャプテンのゴウの力に少しでもなれるようにとは思います。ゴウはチームの中心にいて、頼もしい存在。大変な部分もあると思うので、僕の力も添えられるようにしたいです。

──筒香選手は、倉本選手が15年に入団することが決まったときは何を思いましたか。

筒香 高校の3年間はすごく濃いものだったのでうれしかったです。また一緒にプレーしたいなと思っている中で、1軍で一緒にグラウンドに立てている。レフトの位置から見るとショートに先輩の背中があって、最初は変な感覚もありましたけど、今はベイスターズの一員として一緒に戦っていますからね。でも、母校・横高への愛情は強いつながりです。

──DeNAは現在2位につけています。残りのシーズンに向け目標を聞かせてください。

倉本 チームは上しか見ていません。最後までブレずに勝つことに集中してやっていきたいですね。

筒香 いま倉本さんが言われたように、勝つことにチーム一丸となり、全力でやっていきます!

(取材・構成=滝川和臣)

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