伊藤華英に聞く世界水泳の楽しみ方 ニュースタイルのトビウオジャパンに注目

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チームワークがすごく影響する

伊藤さんがチームワークを感じたシーンのひとつに挙げたのは、ロンドン五輪メドレーリレーのメダル獲得。写真は男子、銀メダル獲得に喜ぶ(左から)入江陵介、松田丈志、北島康介 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――競泳の日本代表は世界大会前にチーム共通の目標を持ったりするなどチームワークを重視している印象があります。個人種目ではありますが、チームとして世界で戦う重要性は選手たち自身が感じているのかなと思うのですがいかがでしょうか。

 私達は個人種目なんですけれど、合宿などもずっとチームで動くので海外の合宿とかでも仲間がいるから頑張れます。例えば五輪で試合が終わってから一緒にご飯を食べたりとか、チームメートがいるから寂しくない。そこの関係性は勝負とは別に分けて考えていますね。お互いプライドもあるしリスペクトもある中で、独特だけれどチームワークがすごく影響するスポーツだなというふうに思っています。

――現役時代にチームワークの重要性を感じたシーンはありますか?

 やはりロンドン五輪の最後の400メートルメドレーリレーで男女がメダルを取った(男子は銀、女子は銅)時ですね。あのときは本当に一体感があり、チーム全体がメダルを取ったような雰囲気でした。私は出場していなかったので悔しい気持ちはもちろんあったのですが、応援しながら本当に感動しました。

 それぞれ所属クラブはありますが、チームとしての結果を目指す「チームジャパン」なんだという指導をコーチたちが意識付けてくれています。

――競泳はレース前の重圧というのも独特だなと思うのですが。

 そうですね、正解だと思います。緊張するというよりも、招集所などで一気に8人が集中するのでプレッシャーがすごいです。

 一番印象に残っているレースは、北京五輪の選考会だった08年の日本選手権の決勝ですね。もう集中し過ぎていて、直前の招集所から全然覚えていないんです。入場時に名前を呼ばれて手を上げたのも覚えていないです。

 ただ、レースのことは覚えています。スタートの瞬間からは覚えているんです。早く泳ぎたくて「早く早く」と思っていたので、「通路歩くのとかいらないな」とか思っていました(笑)。でも、良い結果の時はそういう感じだと思います。

池江は何かやってくれる

大会前の時点で6種目にエントリーしている池江璃花子 【写真:築田純/アフロスポーツ】

――ずばり、今回の世界水泳で伊藤さんが注目している選手はどなたですか?

 すべての選手が速いので皆に注目してほしいのですが、日本選手権の前にはラジオで大橋悠依選手を注目選手として挙げました。そしたら本当に結果を出して、びっくりされましたね。

 あとは、池江選手のメダルには期待したいですし、鈴木聡美選手(ミキハウス/平泳ぎ、ロンドン五輪メダリスト)の復活も見られるかもしれません。あと渡辺一平選手(早稲田大/平泳ぎ)ですね。(自身が持つ)世界記録に物おじせずに、どんどんいってほしいなと思います。ライバルの小関也朱篤選手(ミキハウス/平泳ぎ)は、国内では強いけれど海外では弱いと言われているのでそれを払拭(ふっしょく)してほしいです。中村克選手(イトマン東進/自由形、フリーリレー)もすごくいい選手ですよ。

――大橋選手は国際経験が少ないことも懸念されていますが。

 五輪ではないですし、あまり関係ないと思います。あのままどーんといっちゃえばいいと思います。成功したとしても失敗したとしても、世界水泳で何かしらの課題を持ち帰ってくれればいいなと思います。そして萩野君を超えてほしいなと思いますね。彼女もそれぐらいの気持ちでやっているのではないかなと思っています。

 逆に清水咲子選手(ミキハウス/個人メドレー)とかはどうなってしまっているのという心配もありますね。あと、今井月選手(豊川高/個人メドレー、平泳ぎ)も頑張れるかなと少し心配です。

――池江選手は昨年から今年にかけて5つ(50・100・200メートル自由形、50・100メートルバタフライ)の日本記録を更新しました。今一番ノッている選手なのではないでしょうか?

 ノッていますし、あの思考回路が謎すぎて何かやってくれるのではないかなと思っています。彼女はたぶん、自分がなんで記録更新をできているのか気付いていないんですよね。それは大人になって分かってくるのかなと思いますが、気付かない今のうちにどんどんいってほしいですね。明るいし、今どきの若い子という感じです。肩も柔らかいですし、入水もぴかイチで、センスは本当に素晴らしいと思います。あの体の細さであんなにバラフライを泳げる選手はいないと思いますね。海外の選手はもっと体格も大きいので。肩の柔らかさを十分に使えている選手だと思います。

――海外で注目している選手はいますか?

 スウェーデンのサラ選手は今回のブダペストですごい記録を出すと思いますよ。ハンガリーのカティンカ・ホッスー(自由形、バタフライ、個人メドレー)や、オーストラリアのケイト・キャンベル(自由形)も。妹のブロンテ・キャンベル(自由形)は五輪で結果が出なかったですが、今回のヨーロッパグランプリでなかなかいい結果を出していたのでどのように復活してくるかは気になるところですね。

 スペインのミレイア・ベルモンテ(自由形、バタフライ、個人メドレー)のコーチとは仲がいいのですが、状態は「結構いい」と言っていました。100メートル背泳ぎのエミリー・シーボム(オーストラリア)も気になります。

(取材・文:澤田和輝/スポーツナビ)

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