社会人ナンバーワン左腕・田嶋大樹の自覚 原動力は悔しさ、そしてチームのため
戦う相手は「自分自身」
中学、高校と全国舞台を経験してきた左腕も、いまだ全国の頂点に立ったことはない。だからこそ、「チームみんなで喜びを分かち合い、今年は最高の1年にしたい。特に都市対抗は2年連続で1回戦負け。『今年こそ』という思いは強いです」と新年を迎えた今年1月から、頂点を見据えて鍛錬を重ねてきた。
まだ見ぬ“頂”へ。ただ、地に足を着け、戦う相手は「自分自身」と言い切る。昨年の都市対抗覇者、トヨタ自動車のエース・佐竹功年を「要所で絶対に打たれない制球力がある」と尊敬する投手に挙げるも、「ライバルはいない。自分がしっかり力を出せば上に行ける。常に自分との戦いです」。今秋のドラフトも「自分が結果を出せば評価は上がる。都市対抗で結果を出すだけ」と目先の一戦を見る。
都市対抗で実力を証明し、プロの道へ
高卒3年目の弱冠21歳ながら落ち着き払った口調と、物怖じしない堂々たるマウンドさばき。常に口にする“チームのために”の思いが原動力なのは間違いない。そんなエースの自覚を象徴するのが、都市対抗で使用するグラブでもある。「これを使おうと思っているんです」と笑いながら指したグラブの色は会社カラーの“グリーン”。会社、チームを背負うエースの思いを胸に「どんな相手、どんな状況でもエースの役割を果たして、優勝をつかみとりたい」と鼻息は荒い。
準々決勝から決勝まで3連戦の日程となる都市対抗に向けて、“投げるスタミナ”は万全。連投も辞さない覚悟で、追い求めるのは勝利の2文字だけ。前評判どおりの実力を証明し、プロへの道を切り拓く。
取材・文=鶴田成秀