初めての海外ラン!不安解消のための10か条 その4 体調をベストにする休養の極意

内田英利

“休む”ための要チェック!な10か条

海外のマラソン大会は日の出前のスタートも多い 【写真提供:内田英利】

(1)現地時間にシフトチェンジ!…スタート時間の7〜8時間前までにはベッドに!
→ 国内のマラソンイベントのスタート時間は、朝9:00〜10:00にスタートするのが一般的ですよね。海外は、高温多湿の気候を考慮して、日が昇るサンライズ前後でのゴールを想定し、深夜スタートになることが多いのです(ちなみに、「ユナイテッド・グアムマラソン2017」のフルマラソンの部は、何と夜中3:00スタート!)。

調整ランは2日前までに済ませておこう! 【写真提供:内田英利】

 そこで、レース前日は、夜時間にどれだけ睡眠時間を確保できるかが鍵。目安は、熟睡感を一度は感じられる1.5時間の倍数時間が良いでしょう。できれば、6時間は睡眠時間を確保できるよう、早めに横になりたいものですね。そして、起床後の準備時間も考慮し、プラス1時間の7時間前までにお休みモードへ。スタート時間から逆算して、睡眠時間を確保することが大切ですね。

(2)走る筋肉を休ませる…せめてレース前日は、走らずに完全OFFで!
→ 筋肉は、断裂と再生の繰り返しで、質がレベルアップしていくもの。また、トレーニング後、効率良く再生させためには、丸一日休養に充て、その間、身体が欲する良質なタンパク質(肉、魚、大豆食品など)を摂る事で、ランのパフォーマンスが上がります。そのためにも、2日前までに調整ランを終えておくのがベストですね。

大会前夜の“お肉ガッツリ!”はNGです 【写真提供:内田英利】

(3)前夜の胃腸を休ませる(I)…景気付けに“お肉ガッツリ!”は、ほどほどに。
→ 早朝のレースに備えて、夕方、早めの前夜祭でカンパーイ&バーベキュー!は、胃がもたれる原因に。食材や調理法によっても多少は異なりますが、肉類は、野菜類よりも、胃で消化する時間が長くかかります。胃の中で分泌されている胃液の中には、脂肪を分解する酵素も含まれていますが、脂肪の分解は、主に十二指腸で行われるので、胃の内では、脂肪の消化に時間が長くかかるのです。胃が酷使されてしまうのは、避けたいですね。

景気づけのバーベキューも控えましょう 【写真提供:内田英利】

もちろん、大会前日にアルコールの摂り過ぎも厳禁! 【写真提供:内田英利】

(4)前夜の胃腸を休ませる(II)…その“カンパーイ!”が命取りに。
→ 胃は、栄養素等を腸で吸収されやすくするための重要な臓器。通常、食後、2〜4時間程かけて消化し、少しずつ腸へ送り出す働きをしています。その働きに、アルコールがブレーキを掛けてしまうんです。なぜならば、アルコールは、細胞から水分を枯渇させてしまう働きがあるから。アルコールの摂り過ぎは、消化酵素の働きまでも鈍化させて、脱水の原因になってしまうリスク“大”。そこで、前日の夜は、胃に負担を掛けずに通過する、お水をたっぷり摂りましょう。

アロマで脳をリラックス 【Getty Images】

(5)脳を休ませる…リゾートでの安眠の一助にアロマを!
→ リラクゼーション効果のある香りの力を借りて、脳や身体をリラックスさせ、“リラックス神経”である副交感神経を優位にして、眠りに陥りやすい状態に持っていくのも一つの手ですね。代表的なラベンダーや、柑橘系のオレンジやレモンの甘い香がするベルガモットなどの効果、侮れませんよ。

リゾート地ならではのプール、ビーチでの休養もおすすめ! 【Getty Images】

(6)ウイルスを休ませる…部屋の加湿対策で、体調良好!
→ 滞在するホテルの部屋がとても乾燥していると、起きて活動している時は、水分補給や保湿クリームなどで対策はバッチリなのですが、寝ている間は、風邪の原因になるウイルスへの感染や体調不良を引き起こしがち。

 そこで、寝る前、バスタブに栓をした後、かなり熱めお湯を“シャワーで”目一杯張ってみましょう。どうしてシャワーを使うかというと、水道の蛇口よりも蒸気をたくさん出す事で、湿度の上昇が早いためです。ちなみに、お湯を張っている間もドアを開けておくと、より効果的な乾燥予防になりますよ。

(7)走った後、脚を休ませる…脚全体のケアは、冷やす!
→ 地面からの衝撃が激しい足は、骨と腱、骨と骨など関節部位が炎症を起こしがち。そこで、“痛み”を感じたら、受傷部位を冷やす事ですね。ランイベントに参加した後は、なるべく時間を空けずに、膝や足首などの酷使した箇所を、20分程アイシングしては40分間お休みするサイクルを、数回繰り返す事が効果的です。

(8)走った後、脚以外を休ませる…疲れた筋肉のケアは、温める!
→ 膝や足首等、地面からの衝撃が強い部位以外で、疲労した筋肉の回復を図りたい時は、温める事が大事。ぬるま湯につかるだけでも、筋肉の緊張がほぐれリラックスできますよ。それだけでなく、温めることで体全体の血液循環がよくなり、走る活動に疲れた脚や、腕を振る動きで疲労した肩回りに、血液と一緒に運ばれる栄養が行き渡ります。

 また、リゾート地ならではの、走った後、そのままビーチにドボン! 滞在先ホテルのプールにダイブ!も効果アリです。

走らない日を設けるのも大事、そんなときは筋トレで体幹をアップ! 【写真提供:内田英利】

(9)“走る”生活活動自体を休める…ON&OFFのメリハリ、勇気を持ってオフシーズンを設け、走力UPの体幹トレーニングを行うのもアリ!
→ ランイベントを楽しまれている方の中には、ランニングを継続していないと太ってしまう! 今の体型を維持できない! と、ある種、強迫観念をお持ちの方も。ランイベントが終わり、日本に戻った後も、間髪入れずランライフ継続!……ん!? ちょっと待って! たまには、走るという生活活動を休める勇気も必要かと。

 参加したランイベントで、御自身に起こった身体の変化をフィードバックし、走る活動の“基礎”をトレーニングしてみては如何でしょう?
 例えば、1週間に走る日の1日を、筋トレ&コアトレーニング日に! すると、伸び悩んでいたランのパフォーマンスが上がり、海外ランが楽に、そして、今まで以上に楽しく参加出来る事、間違いありません。

目標の海外大会に向けてチョイ節約&プチ貯蓄もお忘れなく! 【写真提供:内田英利】

(10)消費活動を休める…海外“旅ラン”のためにも、お財布も温める!?
→ 次の海外ランイベントに向けて、日々の浪費に注意し、お財布からの出費を少しでも“休め”ましょう。グアムでのランイベントは、他の海外ラン参加に比べて、比較的出費も少なく済むかと思われがちですが、それでも、大会の参加費、現地での食事や打ち上げ、お土産代等、何かと出費がかさみ、予想上の出費に帰国後青ざめる事も。

 出費を“休める”=抑えるための一つの目安は、旅行会社様の各種ツアー料金が良いでしょう。ツアーの中には、参加者との懇親会代や、レース前の食事代、マッサージ等も含まれるツアーもあり、返って余計な出費をせずに済むケースも。目標の大会に向けて、チョイ節約&プチ貯蓄対策をお忘れなく。
 4回に渡ってお届けした、「参加する」「食べる」「走る」「休む」ための要チェック!な10か条……読者の皆さんが、海外ランイベントへの参加を計画した時に、ちょっとでも思い出して、気に掛けてくださると幸いです。ただ海外ランを完走した達成感だけでなく、イベントそのものを、より一層楽しめるのではないかと思いますよ。

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著者プロフィール

1971年生まれ。茨城県出身。フルマラソン歴15年。ベストタイムは2 時間45 分01 秒。 グアム ココハーフマラソンは、2009年から6年続けて、ツアー参加者のペースメーカーとして出場。 2016年4月、グアムインターナショナルマラソン2016では、近畿日本ツーリスト主催のツアーに、オフィシャル・トレーナーとして帯同。「Yahoo! JAPAN スポーツナビDo!」にて「マラソン初心者のためのコア・トレーニング」を連載中。分かりやすいトレーニングを動画で紹介し好評を得ている。

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