選手層の厚みが増した千葉ロッテ 7年ぶりの日本一へ、限界を超える

千葉ロッテマリーンズ

涌井、石川以外も頭数そろう先発陣

石川とともにWエースとして先発陣を支える涌井 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 野手陣だけでなく、投手陣も昨季以上に充実している。オープン戦では12球団トップのチーム防御率1.46を記録した。

 先発陣では、昨季10勝した涌井秀章と、14勝を挙げ、防御率2.16で最優秀防御率のタイトルを獲得した石川歩が2本柱となる。

「彼らが投げる試合は落とせない。(涌井と石川が投げる予定の)各球団との3連戦の初戦を取ることが優勝へのカギになる」と伊東監督は言う。
 
 このWエースに加えて、昨季終盤に完全復活した姿を見せた唐川侑己、安定したゲームメークで8勝を挙げたスタンリッジがいる。また、昨季まで守護神を務めていた西野勇士が先発に再転向。さらに、新人の佐々木千隼(桜美林大)もオープン戦で4試合に登板して防御率0.59と好投。昨年のドラフトで外れ1位ながら5球団が重複した逸材が、その実力を発揮した。

 開幕時点ではこの6人が先発ローテーションを務める。ほかにも大嶺祐太らも控え、先発投手の頭数は十分そろっている。

益田ら充実のリリーフ陣

外れ1位ながら5球団が競合した佐々木も先発陣に加わりそう 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 リリーフ陣には抑えの益田直也のほか、右腕では内竜也、大谷智久、左腕では藤岡貴裕、松永昂大と経験豊富な投手がズラリと並ぶ。さらに2年目の東條大樹、ドラフト5位ルーキーの有吉優樹(九州三菱自動車)も控えており、リーグ屈指の編成となっている。

 昨年のシーズン序盤はリリーフ陣が活躍し、好スタートを切った。しかし、シーズン中盤以降もその形が続いたため、ブルペンに負担がかかってしまった。「今季はそれを避けたい」と伊東監督は言う。

「今年は先発の顔触れがそろっているので、先発したら1イニングでも長く投げてもらいたい。それがリリーフ陣を助けることになりますから。涌井、石川は簡単には先発ローテーションから外せないけど、それ以外の投手はうまく機能しなければ中継ぎと入れ替えるなどして、全員をうまく回したいですね。今年は投手層が厚くなったから、それも可能だと思っています」

スローガンに込めた想い

 昨季はAクラスに入ったが、優勝した北海道日本ハムには15.0ゲーム差、2位のソフトバンクにも12.5ゲーム差だった。

 10年以来の日本一に向け、指揮官は表情をグッと引き締めた。

「昨年は上位2チームに離されてしまった。もちろんその2チームに対しての対策は練らないといけないけど、どのチームに対しても目の前の勝ちにこだわるしかない」

 今季のスローガンは、「翔破〜限界を超えろ!〜」。「翔破」とは、鳥が目的地まで長い距離を飛び切ることを指す。伊東監督は「限界を超えろ」という言葉に込めた思いを語る。

「われわれは、まだ限界まで達していない。現状に満足してはいけない、ということです。選手たちには『今日がよければ、明日はもっとよくなろう』という欲を出してほしい」

 今年はとり年。12年前の05年には31年ぶりの日本一に輝いている。17年もまた、カモメの年になるか――。層が厚くなったチーム内で競い合いながら、それぞれが限界を超えたとき、千葉ロッテは再び頂点にたどり着く。

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