WBC初優勝かかる両チームが激突 決勝・プエルトリコvs.米国の見どころ

世界の野球

今大会4盗塁を記録しているバエス(写真左/Photo by Alex Trautwig/WBCI/MLB Photos via Getty Images)を中心とした機動力野球を、ポージー(Photo by Matt Brown/WBCI/MLB Photos via Getty Images)らアメリカ捕手陣の強肩が封じられるか!? 【Getty Images Sport】

 いよいよ第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)も最後のゲーム・決勝戦を残すのみになった。前回大会は決勝で涙をのんだプエルトリコと、準決勝で小久保裕紀監督率いる日本を破ったアメリカが、ともに大会初優勝をかけて激突。多くのメジャーリーガーをそろえ、高レベルな戦いが予想される頂上決戦の見どころは!?

戦力分析

プエルトリコとアメリカの戦力分析(10段階評価/データ提供:世界の野球) 【スポーツナビ】

「勝てるチーム」をつくった両国

 延長11回タイブレークでオランダを下し2大会連続の決勝進出を決めたプエルトリコと、2対1の接戦で日本を下し、初めて決勝へ駒を進めたアメリカ。ともに激戦区の2次ラウンドF組から勝ち上がってきた両国だが、チームカラーは比較的共通している。

 それは両国に阻まれて準決勝進出を逃したドミニカ共和国やベネズエラと比較すると分かりやすい。

 戦力的には劣るどころか、むしろ上回っていたとも言えるドミニカ共和国やベネズエラだが、ドミニカ共和国はパワーでねじ伏せようという意識が強く、チャンスで拙攻を連発。ベネズエラもボーンヘッドや拙守が重なった。「オールスター」だったベネズエラやドミニカ共和国に対し、しっかりと「勝てるチーム」をつくっていたプエルトリコやアメリカの違いが出たという印象だ。

 今大会トップタイの4盗塁を記録しているバエス(カブス)らが軸となり機動力や小技を絡め、扇の要・モリーナ(カージナルス)を中心に守るプエルトリコ。遊撃手のクロフォード(ジャイアンツ)ら内外野にゴールドグラブ賞の受賞経験を持つ選手をそろえ、国際大会を意識して編成された多種多彩な継投を図るアメリカ。どちらも世界大会の決勝にふさわしい好チームなのは間違いない。

プエルトリコの機動力vs.米捕手の肩

 両国は2次ラウンドでも直接対決をしており、プエルトリコが6対5で勝利している。
 アメリカはアレナド(ロッキーズ)のエラーが敗戦に結び付いてしまったが、対照的に準決勝進出のかかったドミニカ共和国戦ではジョーンズ(オリオールズ)の“ホームランキャッチ”というスーパープレーが流れを変えた。接戦が予想される決勝戦も、各ポジションに名手を並べるアメリカの守りが、勝敗に大きく影響を与えるに違いない。何かとモリーナの守備ばかりが目立ってしまっているが、昨季モリーナの8年連続ゴールドグラブ賞を阻止したポージー(ジャイアンツ)や、彼と同等の守備力を持つルクロイ(レンジャーズ)の肩と、プエルトリコの機動力との戦いも鍵を握る。

 WBCではこれまで何度かこのカードが実現している。過去の大会では状態の上がっていないアメリカの投手、層の薄いプエルトリコの投手を打ち合う大味なゲームとなることが多かったが、今回の決勝では全く違うものになるはず。決勝戦にふさわしい締まった展開になると同時に、WBCという大会そのものの成熟を感じさせてくれる好ゲームになることを期待したい。

過去大会での両チームの対戦

第2回2次ラウンド1回戦
米 0 0 0 0 1 0 0 = 1
プ 2 4 0 0 1 0 4X = 11
(7回コールド)

第2回2次ラウンド敗者復活2回戦
プ 0 1 0 2 0 1 0 0 1 = 5
米 0 2 1 0 0 0 0 0 3X = 6

第3回2次ラウンド1回戦
アメリカ 7対1 プエルトリコ
プ 0 0 0 0 0 0 0 1 0 = 1
米 1 0 1 0 1 0 1 3 X = 7

第3回2次ラウンド敗者復活2回戦
プ 1 0 0 0 0 3 0 1 0 = 4
米 0 0 0 0 0 0 1 2 0 = 3

第4回2次ラウンド
米 0 1 0 0 1 1 0 0 2 = 5
プ 4 0 0 0 0 2 0 0 X = 6
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著者プロフィール

2005年秋の第1回アジアシリーズ、翌春の第1回WBC開催をきっかけに世界の野球事情を知る喜びに目覚めた国際野球オタク。これまで寄稿した媒体に『Number』『EX大衆』など。国内外を問わずさまざまなジャンルの野球を見ているが、情報量の少ないマイナー国の野球を中心に、ペンネームと同名のブログ『世界の野球』で情報発信することを日課としている。

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