注目すべき男子テニスの次世代選手 杉山愛コラム「愛’s EYE」
ATPが強く推す若手選手
19歳ながら、全豪OPでは準優勝したナダルを苦しめたズベレフ 【写真:ロイター/アフロ】
ズベレフは魅力的なテニスを見せてくれます。オールラウンダーとまではいきませんが、何でもできる選手です。19歳という年齢に似合わず落ち着きもあり、スター性を感じさせます。昨年から好成績を残していますが、今年来そうだなという若手のナンバーワンと言っていいでしょう。
カチャノフは昨年の全米OPで錦織圭(日清食品)を苦しめました。錦織のようなトップ選手に対し、若手は思いきり向かっていくことができます。実力プラス若さの勢いが加わるわけですから、本当に怖い選手だなという印象を受けました。しかも彼は198センチと長身で、同じロシアの大型選手マラト・サフィンを思い起こさせるプレーもありました。若い選手らしく荒削りなところもありますが、うまくまとまってきたら本当に危険な存在です。どこでブレークするか要注目です。
躍進を可能にするマインドセット
若手が活躍する鍵はマインドセットにある。昨年の前半戦で見せたフリッツ(写真)の活躍は、多くの選手に刺激を与えた 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
若手で、しかも攻撃的なテニスなら、粗さはつきものです。ただ、最近の若手は技術的に相当まとまっているからなのか、それなりに仕上がっている印象も受けます。プレーにアップダウンがあって、技術的にも昔の若手とは粗さの種類が違うというか、レベルが高い中での粗さという感じを受けます。サーブ力も平均して高く、彼らのスタンダードが高いレベルにあると感じます。若さの思いきりはもちろん武器になりますが、彼らはそれだけではなく、実力を兼ね備えた選手たちです。
少し前までは若手がなかなか活躍させてもらえませんでしたが、急に早熟な選手が目立つようになっています。見えない壁を意識させられるか、そんなものはないんだと思えるか、そこの違いも大きいのではないでしょうか。ここはマインドセット(心構え、基本的な考え方)でかなり変わる部分だと思います。ネクストジェネレーションの選手たちは、例えば昨年の前半戦で活躍した当時18歳のフリッツを見て、彼ができるなら自分も、というマインドセットで臨んでいるのではないでしょうか。壁さえ意識しなければ、もともとのテニスの質が高いので、十分に通用するのでしょう。そこにネクストジェネレーション躍進の鍵があるように思います。
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