馬券の狙いは日本馬それとも外国馬? 開催直前、香港国際4レースを総まとめ

JRA-VAN

香港スプリント:ハイレベルの混戦、ビッグアーサーとレッドファルクスにもチャンス

ビッグアーサーは不完全燃焼に終わったスプリンターズSの分までスピードを全開させたい 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 歴史的に日本馬が苦戦してきたレースだが、今年は高松宮記念の覇者ビッグアーサーと、スプリンターズSを制したレッドファルクスの現役最強コンビが参戦。上位争いの期待は大きい。両雄の間では国内スプリント王の座を賭けた戦いにもなり、優勝して決着をつけてもらいたいところだ。

 ポジションは中位を挟んで前にビッグアーサー、後ろにレッドファルクスとなることが濃厚。展開による影響も見逃せない。レーティング上位を占める強力地元勢では、昨年の優勝馬ペニアフォビアと一昨年の優勝馬エアロヴェロシティがともに先行力を武器としている。遠征馬ではオーストラリアのテイクダウンが先行策から押し切って前走G1勝ち。コーナリングが課題になるが、フランスのG1馬サインズオブブレッシングもスピードがある。

 これだけの実績馬が前方にそろえば、各馬がけん制し合って先行争い激化を避けられたとしても、ラップ以上に厳しい流れになることは確実。押し切るには相当な地力が必要になるだろう。展開は中団より後方に控える差し馬に向きそうだ。

 ビッグアーサーは高松宮記念で4番手から、セントウルSでは逃げ切りを決めて重賞2勝。オープン入り後の勝ち切れないキャラを積極策で払拭したが、今回は冷静に流れを見極めたい。馬群の中で脚を溜める戦法が得意なR.ムーア騎手は腕の見せ所となる。

 レッドファルクスにとって差し馬有利の展開は願ってもないところだが、それは1番人気が予想される地元期待のラッキーバブルズも同じ。道中は恐らく前後の近い位置につけるはずで、マークできる立場を最大限に生かしたい。芦毛の馬体が直線で躍動する姿に期待。

 前哨戦を勝った際は人気薄だったが、ノットリスニントゥーミーは昨年の香港スプリント3着馬。レーティングもビッグアーサーとレッドファルクスより上位で侮ってはいけない相手だ。売り出し中のアメージングキッズ、豪州のG1馬レベルデインの末脚も強力で、スプリントは今年の香港国際競走4鞍で最も難解な一戦ではないだろうか。

香港ヴァーズ:ハイランドリールの実績が突出、日本勢は距離延長に活路も

ヴァーズは欧州の雄ハイランドリールが頭1つ抜けた存在だ 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 アジア・オセアニア圏から地元の香港をはじめ日本、ニュージーランド、シンガポール調教馬が参戦。ヨーロッパからはイギリスとアイルランド、そしてフランスから遠征と、4レースの中で最も国際色豊かな一戦となった。

 歴史的に欧州勢が強いレースだが、連覇を狙うアイルランドのハイランドリールが実績で他を圧倒している。今回のメンバーでは地元のヘレンハッピースターや、メルボルンカップで先行したビッグオレンジあたりが逃げる可能性もあるが、香港馬は長距離戦の実績に乏しく、このレースでも苦戦傾向。ビッグオレンジも3000m前後を主戦場とするステイヤーだけに、逃げるにせよ控えるにせよ、ハイランドリールが得意の形に持ち込めそう。これだけで連覇への視界がグンと開ける。

 3頭参戦する日本勢で本命撃破の可能性が最も高いのはヌーヴォレコルトか。遠征先のアメリカから香港へ直接移動し、約1か月の間に3走という厳しいスケジュールになるが、香港入り後の調整ではキビキビと活気ある姿を見せている。シャティンでのレースは今回が3回目になり、昨年は香港カップで2着と実績も十分。4月のクイーンエリザベス2世カップ(QE2C)では、2000mながらハイランドリールにも先着している。2200m以上ではオークス勝ち、2着4回、5着1回と崩れ知らずで、5着も宝塚記念で0秒3差なら、ここに入って見劣る戦績ではない。

 サトノクラウンも2200m以上では京都記念1着、ダービー3着、宝塚記念6着と、ムラな印象のある戦績にあって堅実なところを見せている。ダービーでドゥラメンテにつけられた着差は、ドバイシーマクラシックでのハイランドリールより小さく、間接比較では互角の勝負も可能と思わせる。成績が安定しない一方で、天井がどこにあるのか解らない面を残しており、一発の魅力は秘めている。もう1頭のスマートレイアーはとにかく初距離への対応。後方から直線勝負が前提だろうが、マイル重賞を逃げ切るほどのスピードがあるだけに、大胆な策でハイランドリールにひと泡吹かせてくれれば痛快だ。

 この他では、香港ヴァーズで最多の7勝を誇るフランス勢に注目。実績上位は7月のサンクルー大賞でG1勝ちを飾ったシルバーウェーヴだが、超良血ワンフットインヘヴンも楽しみな存在。A.ドゥロワイエデュプレ調教師は2009年にダリヤカーナで香港ヴァーズを制した実績があり、早い段階からワンフットインヘヴンでの挑戦を表明していた。

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