好走馬の条件とは? 阪神JFを分析 データが導く女王候補はリスグラシュー

JRA-VANデータラボ

阪神JFの前走レース別成績(過去10年)

【表5】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走レース別成績。前走500万下のレースだった馬が一昨年のショウナンアデラら最多の4勝をあげている。この組は表6で後述する。個別レースで出走数が最も多いファンタジーS組は12年ローブティサージュの1勝のみで、連対率・複勝率ともに低い。この組の3着以内馬7頭はすべて前走で3着以内だった。

 G3に格付けされた14年以降のアルテミスS組からは昨年のメジャーエンブレムが勝利。一昨年は2・3着馬、昨年は1・2着馬が該当しており、連対率・複勝率ともに非常に高い。好走した4頭のうち、一昨年2着レッツゴードンキ・3着ココロノアイ、昨年1着メジャーエンブレムは前走アルテミスSで連対していた。また、昨年2着のウインファビラスは前走5着に敗れていたものの、2走前の新潟2歳Sで2着と好走していた。

 その他は札幌2歳S組から13年レッドリヴェール、デイリー杯2歳S組から10年レーヴディソールがそれぞれ勝利。また、京王杯2歳Sからは勝ち星こそないものの、2・3着1回ずつ。これら前走で牡馬混合重賞を使われた牝馬の好走が目立つ

 なお、未勝利戦組は08年ブエナビスタの1勝のみ。前走オープン特別組も11年3着サウンドオブハート(前走芙蓉S1着)のみで、ともに苦戦傾向にある。

前走500万下組の前走コース別成績(過去10年)

【表6】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は前走500万下のレースだった馬の前走コース別成績。前走京都芝1800mの黄菊賞だった組は06年ウオッカ、07年トールポピーの2勝。その他は東京芝1600m組からは09年アパパネ、東京芝1400m組からは一昨年のショウナンアデラが勝利している。京都芝1400mも含めて、前走500万下組3着以内馬の前走コースはこの4つに絞られていた。

阪神JFの前走距離別成績(過去10年)

【表7】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は前走距離別成績。前走1600m組が昨年のメジャーエンブレムら最多の5勝をあげており、3着以内数14頭は最も多い。また、前走1800m組は13年レッドリヴェールら3勝をあげている。出走数最多の前走1400m組は一昨年のショウナンアデラら2勝。ただし、これら2頭を含む勝ち馬10頭はデビュー2戦目までに芝1600m以上のレースを経験していた。

 また、前走1400m組の3着以内馬13頭中7頭は芝1600m以上のレースに出走したことがあった。1600m以上のレース経験は大きなアドバンテージといえそうだ。なお、前走1200m組は3着以内馬がおらずに、苦戦傾向にある。

阪神JFの前走着順別成績(過去10年)

【表8】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に表8は前走着順別成績。前走1着馬が過半数の6勝をあげているが、そのうち4勝は前走1番人気で勝利した馬だった。3着以内数でも18頭中11頭を占めており、前走1番人気1着の馬には注目だ。

 また、前走2着馬も連対率・複勝率ともに高く、好成績を示している。勝ち馬10頭はすべて前走で連対していた。前走3着馬の2・3着1回ずつはともにファンタジーS組。前走4着以下は苦戦傾向にある。

 過去10年の3着以内馬30頭の阪神JFまでの戦歴で、6着以下に敗れたことがあるのは12年2着のクロフネサプライズのみ。他の29頭はいずれも5着以内に入っており、着順が崩れていないことが重要だ。

今年の阪神JFの出走予定馬(12/7現在)

【表9】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

<結論>

 今年の出走予定馬は表9のとおり。

 今回人気になりそうなのが前走アイビーSを勝利して2戦2勝のソウルスターリングと前走アルテミスSを勝利したリスグラシュー。ともに1600m以上を使われて、過去の勝ち馬のデータに該当している。ただし、ソウルスターリングは苦戦傾向にある前走オープン特別組でマイルの経験がなく、過去2走ともに10頭以下の少頭数だった。近年好走が目立つ関東馬ではあるが、あくまで抑えに止めておきたい。

 リスグラシューは2走前に阪神芝1800mの未勝利戦でレコード勝ち。前走のアルテミスSでもフローレスマジックとの競り合いを制し、3着以下を3馬身半離している。勝ちタイムや前走の着差に数字的な根拠があり、勝利に最も近い存在だろう。馬券的にリスグラシューの頭から勝負したい。

 相手候補でジューヌエコールウゼットジョリーディーパワンサの3頭を挙げておきたい。ジューヌエコールは前走デイリー杯2歳Sを勝利しており、3戦3勝。完成度が高く、速い脚も使える。ウゼットジョリーも2戦目に新潟2歳Sを勝利した実力馬。今回は休み明けで仕上がりがポイントになりそうだ。ディーパワンサは前走デイリー杯2歳Sで4着。前走は休み明けながら、勝ったジューヌエコールとは0秒1差。叩いた上積みが大きいだろう。

 レーヌミノルはマイルの経験がなく、スピードタイプで先行してどこまで粘れるか。ならば、連下候補として前走京都芝1400mの500万下・秋明菊賞を逃げ切ったアリンナ、新馬戦で先日の京都2歳Sの勝ち馬カデナに勝利してアルテミスSでも3着に入ったシグルーンの2頭が面白い存在かもしれない。

文:ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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