清宮幸太郎だけじゃない早稲田実の強さ 創造した文化とつないだ伝統の融合
打てなくても声でチームを鼓舞
打てなくても常に前を向き、練習に励む清宮の姿は劣勢でもあきらめないチームをつくった 【写真は共同】
その姿を他の選手はもちろん、見ていた。そして、チームは勝ち進んだ。
ならば……打撃で貢献できなければ、清宮は声を出してチームメイトを鼓舞するしかない。清宮の声は秋が深まるごとにかすれていった。
「温度差なく、ゲームに出場していない控え選手も声が出てる。どんな展開でもあきらめず、自分が打てなくてもみんなに助けられた。それがうれしかった」
清宮は都大会を振り返ってそう言った。
劣勢を受け止められるチームは強い
「清宮はキャプテンになってより責任感が出てきた。彼がフォア・ザ・チームに徹すればなお、影響力が大きい。みんなで助け合ってあきらめずに劣勢を受け止めている。それをできるチームは強い。その先頭に清宮がいる」
これは和泉監督の確信。
伝統とはただ、同じことを繰り返すことではない。時代に即し、古いものは置いていき、新しいものを創造する。
「無安打の日もいつかは来ると思って覚悟してました」
「野球というのはピンチがつきもののゲーム」
清宮はそんなことも口にした。劣勢の時は仲間に助けてもらうという新しい清宮像。2016年秋の文化、と言うことになるのだろうか。