リオで魅せた“ジャパンズウェイ” 世界を驚かせた日本の女子バスケ
吉田「小さいチームでも世界と戦えると証明できた」
キャプテンとしてチームを引っ張った吉田。試合後のコメントでは悔しさを交えながらも得た手応えについても語った 【Getty Images】
そのフランス戦では栗原が徹底マークにあう中で、吉田、本川、町田瑠唯が3ポイントを決めてカバーし合った。勝っているにもかかわらず、点差をつけるために“逆ファウルゲーム”を仕掛けてオフェンスチャンスを作り、最後は3ポイントが得意な三好南穂を送り出しカードを次々と切った。しかもこの試合は、フリースローの成功率が15/15本というパーフェクトな数字を残している。
しかしそれでも、13点差以上をつけることはできなかった。勝つには勝ったが、細かいミスによって目標にはあと5点届かず。グループ4位で終わったことで、米国との対戦は避けられなかった。世界ランク4位に勝利したにもかかわらず「勝っても悔しい」(渡嘉敷)思いを抱くことなど、はじめてのことである。キャプテン吉田は悔しさを交えながらも、手応えをこのように語る。
「ここまでやれて良かったという達成感が多い中、オーストラリアに勝ちそうになったことで、メダルを狙いにいける瞬間が見えたので悔しさがあります。でも、日本のような小さいチームでも世界と戦えることは証明できました。この結果を受け止めて、次のステップに向けて頑張っていきます」
成長を止めないで日本が次にすべきこと
リオの地で課題をクリアし、躍進した日本。そのチャレンジと成長の物語はこれからも続いていく 【Getty Images】
そんな中で、世界の強豪と張り合えたからこそ、新たな課題も見つかった。トルコのようなチームが仕掛けるハーフコートの術中にはまった時はどう対抗するか。栗原や近藤以外のシューターを作ること、長岡萌映子や宮澤夕貴に代表される180センチを超えるフォワード陣の戦力を厚くすることだ。トランジションで運動量を前面に出すのであればこそ、総力で40分間戦える選手層が何より必要になる。
長所を前面に出す強化の方向性は間違っていないが、弱点が明確な分、やるべきこともハッキリと見えている。20年東京五輪の前に、2年後のワールドカップでは決勝トーナメントでの駆け引きができるチームになるべく、経験値を積み上げていくことが重要になる。リオの地で次々と課題をクリアして躍進した日本のチャレンジと成長の物語はまだまだ続く。