野球・ソフトボールが五輪復活 NPB・熊崎会長らが喜びの会見

ベースボール・タイムズ

市野会長「野球界はひとつ」

手を取り合う日本ソフトボール協会の徳田会長、全日本野球協会の市野会長、日本野球機構の熊崎会長(左から) 【ベースボール・タイムズ】

――2020年へ向けての活動方針は?

徳田会長:どうしても金メダルを取りたい、取らないといけないですから、選手強化を1年ほど前から組織的にやっております。同時に、これまでは国際大会を多くやっていないので、18年に世界選手権を千葉でやることが決まったことも含めて、いろいろなイベントを含めて盛り上げて行きたい。そしてもう一つは、これからも東南アジアを中心に仲間づくりを続けて行きたい。

市野会長:野球界はひとつであります。今、いわき市(福島県)でU-15の世界大会を行っていますが、彼らにとっても今回の朗報は夢のある話として喜んでいると思いますし、(今月)7日から始まる甲子園に出る選手たちも、4年後にはもしかしたらプロの選手として(侍ジャパンに)選ばれるかもしれない。夢が膨らんだ。その雰囲気を高めていきたい。具体的にはまだ、たくさんやることがあると思いますが、NPBを中心に進めていただく中で、私どもはフォローして行きたいと思っております。

熊崎会長:20年の種目復活ということだけでなく、その後の五輪舞台で野球・ソフトボールという種目が継続的に行われて定着を図っていく。そのために関係者が結束して臨んでいかないといけない。そして20年の大舞台、国家的な一大イベントの中で、どうやって種目復活となったお返しをするか。それはやはり、“感激”と“誇り”、“勇気”をみなさんに与えなくてはいけない。そのためには、勝つということ。そのためにどうするか。それが基軸になって行く。そのためにはどのようにチームを編成し、どのような指揮官を据え、どのように運営していくか、そういった面を含めてこれから検討していきたい。種目が復活して良かったなと思われるように、日本のみなさんに多くの感動と誇りを与えられるような試合を展開しなければならない。

――野球が正式種目から除外された理由の一つとして、MLBのトップ選手たちが出場しないということがあった。今後のMLBに対するアプローチは?

熊崎会長:この点においてはみなさまご存じのように、さまざまな事情がありましてメジャーリーガーが五輪の競技において参加しないという長いいきさつがありました。それは私も承知しております。先日もMLBの(ロブ・)マンフレッド・コミッショナーとも1時間30分の時間を割いて、お互いに理解し合うという個人的な関係はできている。WBSCが基本的な基軸となってMLBに対しての選手の派遣要請を続け、それをNPBがフォローすることについて手を緩めることはありません。大事なのは、野球というものが大きな感動を与えられる競技だということを、どれだけ多くの人に分かってもらえるか。五輪での競技復活によって野球というスポーツを世界のステージに押し上げて行くという考えは、MLB側にもしっかりと伝えてあります。さまざまな事情はあるでしょうが、今後もWBSCとの連携の中で、MLBに対する働きかけ、説明、われわれのできる最大限の努力は、継続してやっていく所存でございます。

ソフトボールは国内外での普及を積極的に

――今後の五輪競技として定着させるために最も必要なことは?

徳田会長:やはり仲間づくりをするということが一番大きいと思っています。宇津木妙子元監督も含めて東南アジアで指導をして、日本人は教え上手だということも言われています。そういったことを続けるとともに、最近は日本の子どもたちがボールを捕って投げるという能力が少し低くなったということも言われておりますので、日本国内での普及も同時に行っていきたいと思っております。

市野会長:何が大事かということ、層を厚くすることだと思います。それは4年間で急にできることではありませんが、今回のU-15でも12カ国が集まった。地道に努力していくことがベースになる。ただ、その象徴として20年の東京五輪で、最高のアスリートが集まって最高の試合をする。その盛り上がりが世界に伝わるという、良い循環になればと思いますが、そう簡単な話でもないとも思っています。ですので、とにかく地道に努力することが大事だと思っています。

熊崎会長:ひとつは、野球の競技のすばらしさ、動員力の多さ、かつ日本に息づいた伝統的な国技という特性を原点にしながら、プロ・アマを含めた関係者が結束すること。結束した上で、それぞれが持ち場で何ができるかということを常に自問自答しながら、これに日常的に当たっていくこと。

 そしてもうひとつは、国際試合というものをしっかりと展開していくこと。常設化された各世代の侍ジャパンの魂を基点としながら、国際試合を多く展開することによって、世界に野球のすばらしさをもっともっと広げていく。それによって野球を完全に世界的なものに持って行くこと。それが五輪での定着にも結びついていく。国内的にはもちろん世界的にも野球の関係者が結束するということが大事だと思っております。

――チームの編成、監督の選考についてはどういった形で行う予定ですか?

熊崎会長:具体的な編成、監督の選考などの検討はまだ行っておりません。ただ、ベストチームで臨む、トップチームで臨む、勝つためのチーム編成で臨むということは第一です。監督を誰にするかということも検討しておりませんが、私の個人的な考えとして、五輪の野球競技というのは格別の重圧がある。その重圧にしっかりと耐え、選手の個々の力を出し切るような指揮ができる。そして統制のとれたチームワークで試合に臨んでいけること。こういったもろもろの要素が必要になってくるのではないだろうかと思います。そういった観点から、監督の選考も行われるべきではないかと思います。今、具体的に誰がどうかというのは時期尚早だと思いますが、ベストチームを編成する、ドリームチームをつくる。それが日本野球界の悲願でありますし、そのためにどのようなことができるかについては鋭利努力していかないといけない。

――IOCの報告書での大会のフォーマットは、6チームで計6日間という形で報告されていましが、6チームというのは少ないという指摘もありますが?

徳田会長:確かに6チームは少ない感じもしますが、まずは五輪に選ばれることが最優先でしたので、それでやらしていただきたい。組み合わせなどをどうするかはこれから考えますが、ソフトボールの場合は野球と違って比較的ピッチャーへの負担が少ないので、ゲーム数も上手にやれるという感じもしています。これからWBSCとも相談しながら、どういう運営をしていくかは考えていきたい。

市野会長:気持ちとしては8チームぐらいがいいのですが、これはもともと、東京五輪の追加種目全体の人員の制約もありました。いろいろな制約の中で、まずは野球・ソフトボールを正式種目に復活させるということが第一でありまして、その中で決まったことです。決められた条件の中で最高のパフォーマンスを出すということに、事務方も選手も一緒になって努力していくということだと思います。大会の細かいやり方についてはこれからの話だと思っております。

熊崎会長:市野会長も仰りましたが、追加種目の全体の総量規制の中で、現在は6チームでということで話が進んでいると理解しております。私個人としては8チームぐらいあった方がいいということは当然でありますが、いずれにしても種目復活が再優先であって、まずはそこから出発するんだということでありました。われわれ関係者としてはいろいろな希望がありますが、6チームということで決定しても、その中で素晴らしい野球競技を展開していくことに尽きると思いますが、今後、何らかの余地があるならば、そのための努力を惜しむことはありません。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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