高温多湿の日本の夏を乗り切るために おすすめランニングギア2016年編

南井正弘

プーマ PWRCOOL SS TEE & PWRCOOL 9 ショーツ

【南井正弘】

 昨年も紹介したが、プーマのPWRCOOLは衣服内温度を快適に守るアパレルテクノロジー。このテクノロジーを採用したアパレル、シューズ、アクセサリー類は、優れた吸汗速乾性を確保しているのはもちろんのこと、ひんやりとした肌さわりで暑い中のランニングでもランナーに冷涼感を与えてくれ、高温多湿の日本の夏におけるランニングでも快適度が高い。

 特にPWRCOOL 9 ショーツは生地全面に細かな穴が開けられており、走行中に高い通気性を発揮するのみならず、ゆとりのあるバギーなシルエットは本当に快適で、これまでも暑い日のランでは着用頻度が高く、今後もそうなりそうだ。

 現在では吸汗速乾性というキーワードの元スポーツアパレルを製造するのはあたりまえとなっているが、ワンランク上の快適性を求めるならプーマのPWRCOOL搭載アイテムはオススメだ。

背中やわきの下などは特に通気性を高める構造となっている。 【南井正弘】

【南井正弘】

ショーツのインナーにPWRCOOLを採用。ひんやりとした肌さわりで暑い中のランニングでもランナーに冷涼感を与えてくれる。 【南井正弘】

アディダス クライマチル ソニック バウンス

【南井正弘】

 接触冷感機能を採用することで灼熱の環境でも快適なシューズ内、衣類内環境を提供してくれるアディダスのクライマチル テクノロジー。今年もフットウェア&アパレル、アクセサリーetc.充実のラインアップが揃っている。

 今回シューズでトライしたのはクライマチル ソニック バウンス。シュータン、インソール表面、ライニングにクライマチル テクノロジー素材を使用することで優れた吸水速乾性と着用時の冷感を実現。ナイロンメッシュアッパーとアウトソール側の通気孔が連動することで、運動時に絶えず空気が流れ、比類なき通気性を確保し、激しい運動時もシューズ内部の快適さを失わない。

 実際に走ってみると気温が30℃以上あるような気候でもシューズ内部に空気の流れを感じると、不快感はかなり軽減されるし、走ったあとも一般的なランニングシューズと比較してシューズ内部の湿気がかなり少ない気がした。反対にここまでシューズ内部で空気が循環すると冬期はシューズ内部が寒いかも。それほど通気性が高いのだ。

 ちなみにこのシューズに使用されているバウンスというミッドソールテクノロジーは高い反発性を発揮することで知られており、km/5分前後くらいまでのペースなら快適に走ることができるはず。1万円(税抜)というその価格を考慮するとコストパフォーマンスはかなり高い。

アウトソールには通気孔が設けられ、アッパーから入った空気がここから排出されることで、従来のスポーツシューズでは得られなかったレベルの通気性を確保した。 【南井正弘】

アディダス クライマチル ランニングキャップ

【南井正弘】

 ランニング時に夏季の強い日差しから頭を守るには帽子が不可欠。しかしながら走っている途中で蒸れを感じ、結局脱いだまま走っているというランナーをよく見かける。反対に最近流行の粗いメッシュのキャップは、通気性は高いものの、直射日光から頭部を守るという機能面には疑問が残る。

 そんな状況で個人的に満足度が高かったのが、アディダスの クライマチル ランニングキャップ。頭を覆う本体部分の吸汗速乾性と冷涼感に優れたクライマチルのマテリアルはメッシュタイプではないので、しっかりと太陽光線から頭部を保護。それでいて超軽量かつ極薄の素材は通気性も確保しているので、ランニング中の帽子内部の蒸れも気にならないレベル。実際に着用した日は33℃ほどの気温であったが、スタートからフィニッシュまで快適な着用感で、最後まで脱ぐことはなかった。

吸汗速乾性と冷涼感に優れたクライマチルのマテリアルはメッシュタイプではないので、しっかりと太陽光線から頭部を保護してくれる。 【南井正弘】

ナイキ エアロリアクト メンズランニングシャツ

【南井正弘】

 ナイキのエアロリアクトというテクノロジーは、着用者が汗をかくと素材がそれに反応して繊維が開いて通気性が向上し、クールダウンすると繊維が閉じて汗冷えを防止するという画期的なアパレル機能。筆者は昨秋冬シーズンにもこのテクノロジー搭載の長袖シャツを着用してこのテクノロジーの優秀さを体感したが、今回半袖モデルを夏季に着て走ったことによって、さらにエアロリアクトという機能の凄さを実感することとなった。

 生地自体の触り心地がサラッとしたこのモデルは、汗をかいてもすぐに乾き、6kmのランニング中も本当に快適な着心地をキープ。ナイキが標榜する「スタートからフィニッシュまで涼しくさらりと快適な着心地が持続します」を実際に証明してくれた。

 希望小売価格が税抜で9千円ジャストという価格設定なので、すべてのランナーに薦めることはできないが、「お金に糸目はつけないから快適なランニングウェアが欲しい!」というランナーにはぜひトライしてもらいたい存在だ。

ナイキのエアロリアクトは、アスリートが汗をかくと素材がそれに反応して繊維が開いて通気性が向上し、クールダウンすると繊維が閉じて汗冷えを防止する。 【南井正弘】

大塚製薬工場OS-1

【南井正弘】

 夏季のランニングではランニング中、ランニング前後の給水がほかの季節よりもさらに重要である。水だけだと電解質やミネラルといった成分を補給できないので、スポーツドリンクがオススメだが、より最適なのがOS-1である。
 タレントの所ジョージ氏のTVCMを見たことのある人も少なくないと思うが、OS-1は元来、経口補水液というカテゴリーで、大塚製薬工場によると「電解質と糖質の配合バランスを考慮した経口補水液で、軽度から中等度の脱水状態の方の水・電解質を補給・維持するのに適した病者用食品。感染性腸炎、感冒による下痢・嘔吐・発熱を伴う脱水状態、高齢者の経口摂取不足による脱水状態、過度の発汗による脱水状態等に適す」とのこと。

 元来は元来は病者用食品だが、ランナーの間でも脱水状態を防止するために活用しているランナーも少なくなく、筆者もそのひとり。普段は毎日6kmしか走らないが、時々10kmや15km程度走るときがあり、その際はOS-1を飲むことが多い。正直言うと味はスポーツドリンクのほうが美味しいが、成分の充実度はこちらが上。500mlのペットボトルがチェーン店のドラッグストアでも200円前後するなど、一般的なスポーツドリンクよりも高いが、その機能性の満足度は高い。普段はスポーツドリンクで、長距離を走るときはOS-1を活用するというのがいいかもしれない。

少しでも異常を感じたら走ることをストップ!

 以上のように日本の厳しい夏を乗り切るためのグッズをいくつか紹介させてもらった。しかしながら35℃を超えるような日中は本来走るべきでなく、少しでも体調に異常を感じた場合は走るのを止めたほうがいい。またスポーツクラブの会員になっているランナーは、夏季の間はトレッドミル(ランニングマシン)の活用もオススメだ。

 それと昨年の防寒性に優れたランニングギアのコラムでも書いたが、本格的に暑くなるのはこれからなのに、今回ピックアップしたいくつかのモデルはすでにセール対象となっていて、店頭やウェブ通販ではサイズ欠けを起こしているかもしれない。本当に必要なときにはセールになっていて、必要としているユーザーの手元に届かないというセールのタイミングの問題は、スポーツ業界に限らず、アパレル業界含め解決すべきだと思う。

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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