10番を背負う“小さな巨人”中島翔哉 向上心と攻撃力を武器に五輪へ挑む

後藤勝

攻撃面で違いを出せる選手に

手倉森監督に対し中島は「最後まで選手を信じて使ってくれる」と信頼を寄せている 【Getty Images】

――手倉森監督のサッカーは自由を与えてくれる時間が多いと思うのですが、中島選手としてはやりやすいですか?

(手倉森監督からは)そんなに細かい指示はされないです(笑)。基本的な守備の守り方みたいなものはありますが、それ以外は基本的にはフリーなので。そういう意味では、自分に合っていると思います。

 テグさん(手倉森監督)は90分間最後まで選手を信じて使ってくれる監督なので、やっていてすごく楽しいですし、U−23でかなり成長できているなと思います。個で打開できる選手は(代表の中では)なかなか少ない中で、それを担っているのは自分だと思うので、そういうプレーをこれからもやっていきたいなと思います。

――個の仕事について手倉森監督は何と言っているんですか?

 あまり……。試合の時には「仕掛けろ」とは言われますけれど、点を決めてくれればいいと思っているのではないかなと。

――細かく指示を出されるよりも、ある程度任せられた方が自分の理想とするプレーができるということですか?

 チームの約束事の中で、自分の理想を追求したいです。

――ご自身の性格は?

 ワガママだと思います(笑)。

――なかなか日本人でそういう考え方ができる選手はいないと思うんですよ。ブラジル人の点取り屋なら、1点取って、自分の仕事したから「はい終了」みたいな選手もいますが。

 どうしても日本人は周りを気にしてしまうので、気を遣ってチーム内の約束事を全部やらなきゃいけないと思ってしまうことが多いと思うのですが、そこはある程度、自分の中で加減して、言うことを聞かない部分は、ちょっと聞かないで(笑)。

 守備は基本的には周りに任せています。頑張ってやろうとはしていますが、できない部分も多いので。その代わりに、攻撃の部分で違いを出すことがどのチームでも絶対に必要だと思います。

――周りの選手に「守備はよろしく」と頼む?

 もうみんな分かっているので(笑)。好きにやってくれ、という感じです。それはすごく周りに助けられていると思います。

「ブラジルと決勝で戦いたい」

中島はまもなく迎える五輪を「人生の中で1番大きな大会」と位置づけている 【スポーツナビ】

――間もなく迎える五輪は中島選手のキャリアの中でどんな位置づけになりますか?

 多分、自分のサッカー人生の中で一番大きな大会だと思いますし、すごく楽しみです。トゥーロンは(グループリーグで)敗退してしまって、五輪も早い段階で敗退するんじゃないかと世間には見られていると思うので、ちょうどいいかなと思います。

――逆境のほうが燃えるタイプですか?

 あまり意識はしていないですね。最終予選のときも何かと言われていましたけれど、そこまで自分は気にしていなかったです。楽しんで良いプレーをして最終的に勝つというのが大事なので。ただ勝つだけでは意味がない。それは五輪も同じかなと思います。

――グループリーグの対戦相手はどう見ていますか?

 ナイジェリアはアフリカ系で身体能力が高い選手が多いという印象です。前の選手が強烈ですね。組織的だと思いますし、(五輪予選では)ヨーロッパの1位ですから相当強いと思いますが、暑さには弱いと思うので、そこはチャンスかなと。

(強い選手に)出てほしいですね、コロンビアならハメス・(ロドリゲス)とかに。(編注:ハメスはメンバーには招集されず)良い選手が出場してほしい。そういう選手たちに勝って成長していきたい。すごく楽しみですし、楽しんでサッカーをやりたいと思います。

――グループリーグを突破したあと、対戦してみたい国は?
 ブラジルと……。ブラジルと決勝で戦いたいですね。

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著者プロフィール

サッカーを中心に取材執筆を継続するフリーライター。FC東京を対象とするWebマガジン「青赤20倍!トーキョーたっぷり蹴球マガジン」 (http://www.targma.jp/wasshoi/)を随時更新。「サッカー入門ちゃんねる」(https://m.youtube.com/channel/UCU_vvltc9pqyllPDXtITL6w)を開設 。著書に小説『エンダーズ・デッドリードライヴ 東京蹴球旅団2029』(カンゼン刊 http://www.kanzen.jp/book/b181705.html)がある。【Twitter】@TokyoWasshoi

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