これぞハーフマラソンの最高峰!? ブルックリンハーフの魅力とは

南井正弘

今年は2万7410人のランナーが参加

 今年の大会の正式名称は宿泊手配サービスのAirbnbが冠スポンサーとなっていることから、Airbnb Brooklyn Half 2016となるが、大会自体はニューヨークシティマラソンも主催するNYRR(New York Road Runners)がオペレート。36年という長い歴史を誇る。今年は2万7410人のランナーがフィニッシュラインを駆け抜けたが、先着順のエントリーは数十分で完売。最も多くのランナーが参加するアメリカのハーフマラソンであると同時に、最も人気のあるハーフの大会であるといっても過言ではないだろう。

 ちなみに全米のハーフマラソンの参加者数ベスト5は下記の通り。いずれも2万人を超えており、日本の著名なフルマラソン並みのランナーがエントリーしており、ハーフマラソンの高い人気を証明している。

 2015年全米ハーフマラソン完走者数ベスト5(Running USA調べ)

1 Brooklyn Half  2万6479人
2 Nike Women’s Half Marathon San Francisco 2万5100人
3 Rock ‘n’ Roll Las Vegas 2万3092人
4 One America 500 Festival Mini-Marathon 2万2466人
5 Walt Disney World Marathon Weekend 2万2083人

記念Tシャツなどの大会グッズがカッコいい!

Airbnb Brooklyn Half Pre-Party Presented by New Balanceと名付けられたエクスポはマンハッタンのビル街を対岸に臨むブルックリンブリッジパークで開催された。ゼッケンをピックアップしたランナーはこんな感じでマンハッタンを背景に写真を撮る光景が頻繁に見られた。 【南井正弘】

 大会3日前から前日まで行われたゼッケン引換のためのエクスポは、マンハッタンの摩天楼を対岸に臨むブルックリンブリッジパークにて。ゼッケン引換やグッズの販売こそ屋内だが、ライブ演奏やキッズのためのアクティビティはオープンエアスペースに用意される点は、日本から参加したランナーには新鮮に映ることだろう。

 オフィシャルスポンサーであるニューバランスがクリエイトする記念Tシャツなどの大会グッズは日本のそれと比較して明らかに洗練されていてカッコいい。またニューバランス製の吸汗速乾性に優れたマテリアルを使用した参加賞Tシャツはデザインもスタイリッシュ。筆者も含め数多くのランナーがレース当日着用して走った。また、この参加賞TシャツにMAX10文字程度の名前やメッセージをプリントしてくれるサービスも行われ、こちらもランナーから好評であった。

オープンスペースではミュージシャンによるライブも行われた。レース前々日のオープニングアクトは実際にレースも走ったスウェーデンのIda Redig。彼女は1時間59分46秒でゴールし、初のハーフマラソンで見事2時間切りを達成している。 【南井正弘】

参加賞Tシャツはニューバランス製の吸汗速乾性に優れたマテリアルを使用。デザインもカッコよく、レース当日の着用率がとても高かった。写真のように名前やメッセージをプリントしてくれるサービスも行われ、ランナーから好評であった。 【南井正弘】

2016年を意味する16のナンバーをフロントに大きくプリントするなど、パフォーマンスタイプのシングレットもファッション要素がたっぷりプラスされている。 【南井正弘】

カジュアルシーンに最適な大会記念Tシャツもスタイリッシュ。日本の大会にも見習ってほしいところだ。 【南井正弘】

レース当日着用する人も多かった人気アイテムがこのソックス。 【南井正弘】

他の大会以上に快適、フィニッシュは粋な演出

AAのエリートランナーがスタートライン最前列に陣取る。 【南井正弘】

 大会当日、スタートはプロスペクトパーク内にあるブルックリン美術館前にて。3万人近いランナーを処理するためにスタートは午前7時のWAVE 1と午前7時45分のWAVE 2の2回に分けられる。招待選手・エリートを含むAAからFまでのコラル(区分け)のランナーはWAVE 1で、G以降のコラルのランナーはWAVE 2でスタートする。NYRR主催のレースに初めて参加するランナーは申告タイムでコラルが振り分けられるが、筆者のように以前にニューヨークシティマラソンの出走経験があると、そのレースのペースを考慮してコラルが決定される。

 当日は雨の予報もあったが、幸運なことにスタート時に雨は降らず。7時に号砲一発WAVE 1がスタート。筆者はコラルHだったので7時45分にスタート。スタートから7マイルほどはブルックリンのランナーの聖地であるプロスペクトパークを周回。沿道の応援も多く、元気をもらえる。公園内は意外とアップタウンがあるので、ここで体力を使いすぎると後半スピードに乗れなくなるので、体力を温存したほうがタイムは出るだろう。

 7マイルを過ぎると幹線道路のオーシャンパークウェイをゴールのコニーアイランドまでひた走る。ゴールまではほぼなだらかな下りなので、スピードに自身のあるランナーはここでタイムを稼ぐことができるだろう。このオーシャンパークウェイでは豊富な給水所のほか、ニューヨークシティマラソンでも設置されたEnergy Bar社のエナジージェルの補給ポイントもあり、ランナーは他の大会以上に快適に走ることができたはずだ。

 そしてゴールのコニーアイランドでは木製のボードウォーク上でフィニッシュするという粋な演出が。これまで100を超える大会を走ってきた筆者もボードウォークでのゴールは初めてだった。

ニューバランスがスポンサードするセントラルパークトラッククラブのメンバーたち。 【南井正弘】

7マイルまではプロスペクトパーク周辺の周回コース。意外とアップダウンがある。 【南井正弘】

フレッシュフォーム搭載モデルを始めとしてニューバランスの着用率が高かった。 【南井正弘】

何度でも走りたいと思えた大会のひとつ

【南井正弘】

 今回ブルックリンハーフを走ってみて感じたのは、大規模大会ならではの華やかさ。日本だと「フルマラソン>ハーフマラソン」というような図式で捉えられがちだが、前述のとおりアメリカではハーフマラソンのほうが人気で、全く別のものとして考えられており、フルマラソンを走る自身がないからハーフマラソンを走るのではなく、あえて主戦場をハーフマラソンとしているランナーも少なくない。そんなハーフマラソンの最高峰といえるブルックリンハーフだけに、多くのランナーは、ゴールの瞬間にこの大会を走れた喜びを全身で表現していた。

 正直言うと「一度走ったら二度目はもういいかな?」と思う海外レースも少なくないが、この大会はニューヨークシティマラソンと同様に何度でも走りたいと思えた大会のひとつである。

フィニッシュはニューヨーク市民の憩いの場であるコニーアイランド。ボードウォーク上でのフィニッシュは本当に珍しい。 【南井正弘】

車いすでの参加者もボードウォークをラストスパート! 【南井正弘】

ボードウォーク上でのゴール、多くの声援にテンションがマックスになり、筆者も両手を広げフィニッシュした。 【南井正弘】

こんな感じで仮装して走るランナーもチラホラ。みんなこの大会を思い思いに楽しんでいたのが印象的だった。 【南井正弘】

完走メダルはプロスペクトパークの凱旋門etc.をモチーフに。ちなみにこの凱旋門は南北戦争の北軍の勝利を記念して1892年に除幕された。 【南井正弘】

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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