シーズン半分を消化、移籍選手の今 最大の成功者はヤクルト坂口か……

ベースボール・タイムズ

苦戦が続くFA野手たち

苦しい阪神のリリーフ陣の中で活躍を続ける高橋 【写真は共同】

 一方、昨オフにFA宣言した後に新天地に移籍した選手は計4人。中日から阪神に移籍した高橋聡文、千葉ロッテから東北楽天へと飛び立った今江敏晃、埼玉西武から古巣・巨人への出戻りとなった脇谷亮太、広島から西武にテスト入団の形で加わった木村昇吾である。

 最も貢献度の高いのは高橋だろう。左の中継ぎ、ワンポイントとしてチーム最多の32試合に登板。開幕11試合連続無失点の後、5月途中まで防御率2点台をキープ。6月15日の楽天戦での4失点乱調が響いて防御率4.50となってはいるが、ここまでチームトップの15ホールドを挙げ、金本タイガースの新方程式の一角として存在感を発揮している。

 苦しんでいるのは野手陣だ。今江は開幕から不動の正三塁手として出場を重ねたが、4月13日のロッテ戦(koboスタ宮城)で左腕に死球を受けて戦線離脱。5月3日に1軍復帰を果たしたが、打撃の調子が上がらずに同27日に今季2度目の登録抹消。ここまで打率2割6分3厘、0本塁打、8打点。移籍後初アーチがお預けになったまま、現在は2軍調整中だ。

 脇谷は今季30試合に出場しているが、スタメンは10試合のみ。層の厚い巨人内野陣の中で、復帰前から出番減少は覚悟していたことではあったが、打率1割1分9厘(59打数7安打)は本人も悔しいだろう。同じく木村も、ここまで38試合に出場しているが、打率2割2分1厘(95打数21安打)は不満が残る。ともに守備のユーティリティー性が大きな魅力ではあるが、バットでも勝負強さを発揮して存在感を見せてもらいたいところだ。

ベテラン勢は2軍で出番を待つ

 FA以外でも、多くの実績のあるベテラン勢が、自身の生き残りをかけて新天地へと移籍した。広島ひと筋16年から楽天へと移籍した栗原健太は、開幕前に右ふくらはぎ肉離れで出遅れた。ようやく5月に実戦復帰を果たして5月26日のイースタン・ヤクルト戦(戸田)で“移籍1号弾”を放ったが、状態は上がらずに2軍19試合出場で打率1割6分7厘(54打数9安打)、1本塁打、8打点。本人は前向きだが、現状では昇格のゴーサインは出せない。

 その意味では多村仁志の方が1軍舞台へは近いのかも知れない。中日へは育成契約での入団。栗原同様に開幕前に右ふくらはぎ肉離れで離脱したが、戦列復帰後の5月18日のウエスタン・広島戦(ナゴヤ)で“移籍1号弾”。ここまで2軍で16試合に出場して打率2割8分6厘(35打数10安打)、1本塁打、5打点。計10四球を選ぶなど出塁率は4割5分7厘で貢献度は打率以上に高い。現在、中日球団の支配下登録選手は68人。枠はまだ2つ残っている。

 その他、ロッテ、オリックスを経て今季から西武に加入した竹原直隆は、対左投手の代打として1軍の出番を得ているが打率2割(30打数6安打)と苦戦中。巨人からDeNAに移籍した久保裕也は調整遅れもあって1軍未登板だが、2軍では16試合に登板して3勝0敗、防御率3.52。中日から楽天へと移籍した山内壮馬は2軍で9試合、1軍でも1試合に登板したが、久保同様に本領発揮はここからといったところだ。

 全体を見ると、苦しんでいる傾向のある今季の“移籍組”。だが、まだシーズンは半分以上も残っている。途中、どんなに苦しんだとしても、最後に笑えればいい。移籍というリスクを背負い、新たな挑戦に挑んでいる男たちの活躍と成功に期待したい。

(文:ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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