パ5球団による“ホークス包囲網”が激化 大谷撃破で突破への糸口をつかめるか
キーワードは「みんなで乗り越える」
工藤監督は「どんどん出てくるいい投手を打つのはしんどいが、そこを乗り越えていかない限り優勝は見えてこない。そこはみんなで乗り越えていってほしい」と選手に期待を寄せた 【写真は共同】
「球数を投げさせてリードする展開に持ち込めれば、相手もいいリリーフ投手は出しづらくなる。まずは先制して、ウチの先発が同点を許さないようにどう抑えるか。相手のエース級が投げる試合には、ウチもいい投手を当てていくからね」
他球団からの厳しい包囲網を突破するためには、打線の力だけではなく投手力も大きな要素となる。前述の則本、岸と投げ合った攝津、和田毅は結果を残せなかったが、実績は十分に持っており、工藤監督の信頼も厚い。
地元開幕カードを1勝1敗のタイに持ち込んだ3月30日の西武戦の試合後、工藤監督は、「連敗しなければ大きな借金にはならない。カードに勝ち越すことが理想だが、負けないこと、連敗しないことも大事。対戦がひと回りするまでは、飛び抜けて走るチームはないだろう。どんどん出てくるいい投手を打つのはしんどいが、そこを乗り越えていかない限り優勝は見えてこない。そこはみんなで乗り越えていってほしい」と語っている。
また、松田宣浩も同日の試合後に、こう語った。
「どこのチームも“打倒ホークス”で、目の色を変えて向かってくる。開幕から5試合を戦ってみてそれがよくわかった。それに対して『受けて立つ』という気持ちでいたら、きっと足元をすくわれる。『受けて立つ』のではなく、『自分たちもチャレンジャーなんだ』という気持ちでやらないといけない」
昨季相性のいい大谷との初対決
昨季の大谷は、計22試合に先発して15勝5敗、防御率2.24の好成績を収め、投手二冠に輝いた。だが、対ソフトバンク戦に限っては、4試合で1勝2敗、防御率6.58だった。この“大谷攻略”が、昨季の独走態勢を作った大きな要因の一つだった。だが、相手はオフから球速160キロ台を連発して進化を遂げている。3月25日の今季初登板はロッテを相手に7回5安打3失点(自責2)で黒星を喫したが、悪かった部分を修正し、ソフトバンク戦にかける意気込みも大きいだろう。
楽天と西武のエース相手にはカード初戦で黒星を喫したソフトバンクとしては、3カード目の初戦で大谷をしっかりと撃破したいところ。今後、シーズン終盤になればなるほど、試合日程もイレギュラーになり、より一層、各球団からのマークを実感することになるだろう。その前に、チャレンジャー精神を持ち、しっかりと包囲網突破への糸口をつかまなくてはならない。
(文・藤浦一都/ベースボール・タイムズ)