美女3人フルマラソン初挑戦に密着(5) ついに大会当日――涙、涙、涙の完走

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大会前日、NIKEブースでクリニックを体験

大会前日の3月12日、(左から)結城はゆるちゃん、信太美月ちゃん、原田ゆかちゃんのスポナビ3人娘はマラソンEXPOのNIKEブースにやって来ました 【スポーツナビDo】

■3月12日(土)

 とうとうやって来ました名古屋ウィメンズマラソン。前日に名古屋入りしたスポナビ3人娘はその足でコースの簡単な下見のあと、スタート・ゴール地点でもあるナゴヤドームへ。ここではマラソンEXPOも開催されており、各メーカーの様々なブースが出展されています。

さっそくトレッドミルで遊びだす3人娘 【スポーツナビDo】

「Nike+ Run Club(NRC)」での練習をはじめ、この4カ月間、NIKEスタッフの皆さまに大変お世話になった3人娘。さっそくNIKEブースへと直行します。ここではシューズ、ウェア、タイツといった最新ギアの販売から、オフィシャルサポートランナーのトークショーや、トレッドミルで名古屋ウィメンズマラソンを疑似体験できるコーナーなど、イベントが盛りだくさんでした。

オススメの「パーソナルランクリニック」を体験 【スポーツナビDo】

 その中でも特にNIKEブースでおすすめしていたのが「パーソナルランクリニック」。ランニング専門スタッフがランニングフォームを動画撮影し、それをもとにアドバイスをしてくれるサービスです。というわけで、はゆるちゃんも体験したところ、まさに目からウロコ。普段自分の目ではなかなか確認できなかったフォームを動画で直に見て、その改善点をすぐにアドバイスしてくれるのですから、これは本番へ向けて大きなプラス効果となりましたね!

スタッフからのアドバイスに真剣に耳を傾ける3人娘、明日へのヒントをつかんだ!? 【スポーツナビDo】

 そんなこんなで日は沈み、夜はみんなで完走を誓い合いながら美味しい食事に舌鼓。スポナビ取材班はコソコソと2次会へと繰り出しましたが、ゆかちゃん、はゆるちゃん、美月ちゃんはもちろんレースへ向けてゆっくり就寝。翌日は朝7時半にホテルのロビーに集合です。

元気いっぱいにスタート!

「完走するぞー、オーッ!!」 【スポーツナビDo】

■3月13日(日)

 迎えたマラソン当日。曇り時々晴れ、最高気温13度。暑くもなく、寒くもなく、絶好のマラソン日和となりました!

 ナゴヤドームに着くと、前日からあんなにテンション高めにはしゃいでいたはゆるちゃん、ゆかちゃんも緊張のためか口数が少ない。練習当初から右ヒザ痛に悩まされてきた美月ちゃんも「大丈夫かな……」と不安そうな表情です。

 それでもスタート10分前にはみんなで円陣を組んで気合注入。エリートランナーがスタートしてから1分後の午前9時11分、3人そろって元気いっぱいに駆け出していきました!

いよいよスタート、頑張れスポナビ3人娘!! 【スポーツナビDo】

16キロ地点、はゆるちゃん(左)とゆかちゃんはまだまだ元気いっぱい 【スポーツナビDo】

「最初は焦らないで、ゆっくりと!」

 NRCのMIDORIコーチのアドバイス通り、入りの5キロはゆっくり、ゆっくり、1キロ8分ペースで40分かけ仲良く3人で通過。前日からテンションの高すぎるはゆるちゃんが暴走してしまわないか……なんて心配していたわけですけど、うん、いいペースですよ。

 今回スポナビ取材班は16キロ過ぎ、20キロ付近、30キロ手前の3箇所で3人を待っていたわけですが、その1つ目のポイントである地下鉄・今池駅近く。やって来ました、ゆかちゃんとはゆるちゃんです。なんて言うのか、元気が余りまくってますね。これなら安心です。

美月、右ヒザが悲鳴……!

右ヒザが痛み出した美月ちゃん、それでも笑顔で「大丈夫」 【スポーツナビDo】

 一方、美月ちゃんの姿が見えません。実はスポナビ取材班が一番心配していたのが、美月ちゃんの右ヒザの具合でした。レース前には気丈に笑顔を見せてくれたのですけど、やはり早々にヒザが悲鳴を上げてしまいました。10キロまでは3人一緒に走っていたものの、そこから徐々に遅れ始めてしまったようです。

 2人から送れること15分、美月ちゃんが見えてきました。こちらに気づき、笑顔で応えてくれたものの、前を走る2人のような余裕はもうありませんでした。取材班としてはもう「頑張れ!」と声をかけることしかできません。

ゆか&はゆる、沿道の声援に助けられた

快調にラップを刻んでいたゆかちゃんだったが、30キロ過ぎからは「本当につらかった」 【スポーツナビDo】

 こちらは快調にラップを刻むゆかちゃんとはゆるちゃん。スタートから2時間半後には2人そろって20キロを通過。5キロごとのラップも35分前後とペースを上げてきました。ところが、そこからはゆるちゃんがややペースダウン。それによって2人の距離も次第に離れることになり、3人それぞれ“一人での戦い”に入りました。

中盤以降ペースを落としたはゆるちゃん、「手足がしびれてくる」くらいだったという 【スポーツナビDo】

原田ゆか「30キロあたりからが本当につらかったですね。3キロぐらいごとに休んでストレッチをしながら、どうにか前に進みました」

原田ゆか、5時間切りでゴール! 【スポーツナビDo】

結城はゆる「ゆかと離れてから、気分を紛らわそうと大好きなアニソンを聴きながら走っていたんですけど、それでも手足がしびれてくるし、意識も朦朧としてくるし、本当に不安でしたね」

 そんな2人を救ったのは、沿道からの応援。「少しでもみなさんの声を聞きたくて、ずっと左側に寄って走ってました。沿道からかけてくれる声は本当に助かりました」(ゆか)、「音楽を聞いていたら下ばかり見るから、逆にペースが遅くなっちゃう。だから、自分から他のランナーに話しかけたり、沿道の声に答えたり、ハイタッチしたり。ナゴヤドームが見えて『おかえり!』って言ってもらえたときには涙が出ました」(はゆる)。

 沿道の声援に元気をもらった2人は、35キロから40キロの5キロのラップタイムをむしろ縮めるという驚異のリカバリーを発揮。ゆかちゃんは5時間を切る4時間55分14秒でゴールし、はゆるちゃんも5時間13分9秒のタイムで見事、完走しました!

「シャーッ! 自分に勝った!」 【スポーツナビDo】

結城はゆる、5時間切りはならなかったものの笑顔でゴール! 【スポーツナビDo】

原田ゆか「ゴールした瞬間は『シャーッ! 自分に勝った!』って思いました(笑)」

「よくやった、自分。お疲れ様!」 【スポーツナビDo】

結城はゆる「ゴールした直後はけっこう冷静だったかも(笑)。『よくやった、自分。お疲れ様って』」

執念の完走に3人娘、号泣

ヒザの痛みと思うように走れない焦りから、涙がこぼれてきた美月ちゃん 【スポーツナビDo】

 さて、美月ちゃんです。レース前のMIDORIコーチのアドバイス通り、ある程度の距離や目安を決めながら走って、歩いてを交互に繰り返し、救護所ではテーピングを巻いて、氷やコールドスプレーでアイシングしても、もはやヒザは限界です。

「痛くて泣いて、ちゃんと走れない焦りからまた泣いて……」(美月)

テーピングで固めた右ヒザはもう限界……それでも「あと一歩」を繰り返して懸命に前へ! 【スポーツナビDo】

 それでも美月ちゃんは走るのをやめませんでした。

「自分からやめようとは1回も思いませんでした。でも、制限時間があるのが怖かったし、それで止められて『残念だったね』って言われるのが一番イヤだったんです。だから、例えヒザが壊れてもいい、って」

 あと1キロ、どころか、あと一歩、あと一歩を繰り返しながら進んだという美月ちゃん。その体と心を支えたのは、先に完走した2人同様、沿道からの応援の声でした。

「たくさんの人が声をかけてくれました。『美月ちゃん頑張って!』って言ってもらえるとすごく元気が出たし、もう痛みしか感覚がない、一歩も走れないはずなのに走れる。私はもうしゃべる元気はなかったんですけど、目でつながったというか、沿道のひとりひとりと目を合わせていました」

信太美月、6時間22分11秒で涙のゴール! 【スポーツナビDo】

 そして、午後3時33分。ついに、美月ちゃんがナゴヤドームに帰ってきました。テーピングでグルグルに固めた右脚を引きずりながらも、最後は笑顔の涙でゴール! タイムは6時間22分11秒。

涙、涙の抱擁 【スポーツナビDo】

 すぐにゆかちゃんとはゆるちゃんが駆け寄り、抱き合い、大粒の涙、涙、そして涙です。スポナビ取材班ももう視界がぼやけて見えません。3人とも無事に完走できて、本当に良かったです!!

このメンバーで本当に良かった

「3人が完走したときが本当の完走だと思ってました。偶然同い年3人が集まって、嫌な例え話ですけど、女の子で同じモデルの仕事とかもしてるから変にバチバチした可能性もあったのに、そんなの全然なくてすぐに仲良くなれた。プライベートのこととかもよく相談するし、3人ですごく分かり合えたんです。初めてのフルマラソンを本当に幸せな環境で走れてるなぁって。このメンバーで本当に良かった」

 ゆかちゃんが後でこんな感想を話してくれました。どうやら、他の2人も同じ思いのようです。一人では絶対に無理だった、2人がいるから頑張れた、最後は一人だったけど一人じゃない――そう語り合い、同い年のスポナビ3人娘は、初めてのフルマラソンを通じてさらに友情を深めたのでした。

ゆか、はゆる、美月の思い

原田ゆか「これからもランを続けて、色んな大会に出たい」 【スポーツナビDo】

 最後に、長いようでアッという間だった4カ月間と42.195キロ、そして、フルマラソン初挑戦・初完走で得たものについて聞いてみました。

結城はゆる「完走できたことで今までの自分より自信がつきました」 【スポーツナビDo】

原田ゆか「実は色々とモヤモヤしていたものがあって、人に認められたいとか課題をクリアするとか、そうしたものを今日の完走にかけていたんです。だから、完走したときは本当にスッキリしましたし、これからの人生設計の勝負でも今日のことを思い出して、マラソンのように越えていきたいですね。もちろん、これからもランは続けていきます。色んな大会に出たいと思いましたし、旅ランを趣味にしたいです」

信太美月「人ってすごいし、ランってすごい」 【スポーツナビDo】

結城はゆる「最初はマラソンの距離も知らなかったんです。15キロくらいかなって(笑)。それでもこのお話をいただいたときに直感で『やりたい!』ってお返事させていただいたんですが、その直感は間違ってなかったですね。こんな達成感は味わえない。完走できたことで今までの自分より自信がつきましたし、私、これから何があっても大丈夫だ!って思いました。またこのメンバーで走りたいですし、色んな人たちと走ってみたいですね」
信太美月「スポーツは好きだけど、マラソンは本当に苦手で、最初から苦手意識しかなかったんです。でも、ゆか、はゆるみたいな人たちと出会えるなら、これからもランを続けたいと思いました。人ってすごいし、ランってすごい」

ランは女性を輝かせるサプリメント

スポナビ3人娘のようにランの輪がどんどん広がっていくことを願って 【スポーツナビDo】

 いやあ、マラソン・ランニングって本当にいいもんですね。3人を見ていたら心の底からそう思いました。スポナビ取材班もゆかちゃん、はゆるちゃん、美月ちゃんと一緒に名古屋ウィメンズマラソンを目指せたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

 もちろん、名古屋ウィメンズマラソンにはこの3人娘のようなドラマがたくさんあったことでしょう。そうしてランの輪がどんどん広がっていくといいですね。
 ランは女性を輝かせるサプリメントのようなもの。美月ちゃんのように長距離ランに苦手意識を持っている人も、ぜひ一度、シューズを履いて走ってみませんか? 趣味で走っているけど大会に出たことがないという人は、一歩踏み出して大会に出てみませんか? きっとこの3人娘のような素敵な出会いと出来事が待っているはずです。

 そして、どこかでランニングしている原田ゆかちゃん、結城はゆるちゃん、信太美月ちゃんに出会うことがあったら、気軽に声をかけて元気の交換をしましょう。われわれスポナビ取材班も、またどこかの大会でこの3人に再会できることを願って、この企画と連載の終了としたいと思います。

 これからもランに仕事にプライベートにガンバレ、ゆかちゃん、はゆるちゃん、美月ちゃん、そして全国のランガール!

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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