落選から1年…結実した田中智美の思い 故障ギリギリの努力で難レース制す
山下監督も称える田中の努力
北京世界選手権の代表落選から1年、山下監督(左)と「誰もが納得する強さ」を目指し強化した結果が実を結んだ 【写真は共同】
「選考に関して納得できない思いもありましたが、そこで腐っても仕方がない。誰もが納得する強さを身につけるしかないと考えました。レース感と度胸はもともと持っていたので、それに伴うスピードとスタミナを目指すという方針で強化を進めてきました」
成果は目に見える形で現れた。今季前半はトラックで次々と自己ベストを更新。9月には練習の一環としてベルリンマラソンにも出場し、2時間28分00秒で走った。12月末からは約70日にも及ぶ海外合宿を敢行。1月の大阪国際マラソンで福士が2時間22分17秒のタイムを出したが、設定記録の突破を過剰に意識することもなかった。
「そこに近づく取り組みは必要だと思いましたが、本人の体を無視して練習はできません。むしろどんなに悪くても2時間25分で走れる体を目指しました。それでも足を痛めたり、内臓疲労の症状が出たりしましたので紙一重だったと思います。よく頑張ってくれました」
山下監督は愛弟子の努力を称えた。
東京五輪に向けて若い選手が台頭
22歳の清田真央(写真)、23歳の桑原彩ら次世代の選手たちも好走した 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
また、今回は若い選手の台頭が見られた大会った。22歳の清田真央(スズキ浜松アスリートクラブ)が2時間24分32秒で日本人3位。23歳の桑原彩(積水化学)が2時間25分09秒で同5位とともに初マラソンで上位に食い込んだ。マラソン3戦目の21歳、岩出玲亜(ノーリツ)も自己ベストを大きく更新する2時間24分32秒で同4位。20年東京五輪に向けて明るい材料と言えるだろう。
田中、マラソン代表は「今回はもう決まった」
この日のレース後は「今回はもう決まったと思っています」と自信を見せる田中。山下監督も「晴れやかな気持ちで発表を待てるのでは?」との問いかけに、満面の笑顔でうなずいて見せた。
1年計画で取り組んできた田中のリオへの挑戦は、最高の結果で幕を閉じた。