“由伸二世” 慶大・谷田成吾、悔しさを胸に2年後のドラフトを目指す
大学時代の印象に残る一発とは
慶大では15本塁打を放ち、“由伸二世”と呼ばれた 【写真は共同】
「2死ランナー無しで、一番ホームランが欲しい場面でした。ホームランを狙っていたというよりも、芯に当たれば入ると思っていたので、そのことだけを考えて打席に入りました。4番として一番いいところで打てたんじゃないかなと思います」
また、理想通りのバッティングで会心の一打となったのが、3年の春、澤田圭佑(立教大)からの5号だった。
「あの時はインコースへの真っすぐが来ると張っていて、予想が的中したんです。とはいえ、予想通りのボールが来たからといって、理想通りに打てるものではありません。でも、あの時は、最高の角度でバットがボールに入り、真芯でとらえた完璧な1本でした」
目指すのは「非の打ちどころのない選手」
そのためには、バッティングに磨きをかけるだけでなく、守備範囲の広さや送球のコントロール、走塁の技術など、走攻守すべてにおいてレベルアップを図らなければならないと考えている。大学4年間で1個にとどまった盗塁に関しても、社会人では積極的に狙っていきたいという。
「それこそ社会人では負けたら終わりですから、1点の重みが増してくる。それだけに、ひとつでも前のベースに行くか行かないかで、勝負がつくことも少なくないはず。自分も隙を突いた走塁をしていかなければいけないと思っています」
もともと50メートル6秒2と、決して遅くはない。磨けば、走塁でも力を発揮するに違いない。自らの武器を増やすことで、大学時代とはひと味違った選手へと成長することができれば、谷田にとって社会人行きがプラスの効果をもたらすことになる。
谷田は言う。
「もちろん、ストレートにプロに行ければそれに越したことはないと思います。でも、社会人に行ったからこそ、プロでは経験できないことが絶対にあるはず。それを力にするかどうかは自分次第ですから、2年間、とにかく頑張るだけです」
果たして谷田は、どんなプレーヤーとなって、再びドラフト会議を迎えるのか。2年後が楽しみだ。
(取材・文:斎藤寿子)