“由伸二世” 慶大・谷田成吾、悔しさを胸に2年後のドラフトを目指す

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大学時代の印象に残る一発とは

慶大では15本塁打を放ち、“由伸二世”と呼ばれた 【写真は共同】

 さて、谷田と言えば、“高橋由伸二世”と呼ばれ、“ボールを遠くへ飛ばす”天性の力の持ち主だ。大学4年間で放った15本の本塁打のうち、谷田が一番印象に残っているのは、3年春に内田聖人(早稲田大)から放った6号だ。この試合、勝てば6季ぶり34度目の優勝が決まるという大一番、同点で迎えた6回裏に、谷田の一発で慶応大が勝ち越し、結局それが決勝点となったのだ。

「2死ランナー無しで、一番ホームランが欲しい場面でした。ホームランを狙っていたというよりも、芯に当たれば入ると思っていたので、そのことだけを考えて打席に入りました。4番として一番いいところで打てたんじゃないかなと思います」

 また、理想通りのバッティングで会心の一打となったのが、3年の春、澤田圭佑(立教大)からの5号だった。

「あの時はインコースへの真っすぐが来ると張っていて、予想が的中したんです。とはいえ、予想通りのボールが来たからといって、理想通りに打てるものではありません。でも、あの時は、最高の角度でバットがボールに入り、真芯でとらえた完璧な1本でした」

目指すのは「非の打ちどころのない選手」

 バッティングのことが話題となることが多い谷田だが、自分自身を限定したくはないという。もちろん、一番の強みはバッティングであることは言をまたない。本人もそう考えている。しかし、目指しているのは「非の打ちどころのない選手」だ。

 そのためには、バッティングに磨きをかけるだけでなく、守備範囲の広さや送球のコントロール、走塁の技術など、走攻守すべてにおいてレベルアップを図らなければならないと考えている。大学4年間で1個にとどまった盗塁に関しても、社会人では積極的に狙っていきたいという。

「それこそ社会人では負けたら終わりですから、1点の重みが増してくる。それだけに、ひとつでも前のベースに行くか行かないかで、勝負がつくことも少なくないはず。自分も隙を突いた走塁をしていかなければいけないと思っています」

 もともと50メートル6秒2と、決して遅くはない。磨けば、走塁でも力を発揮するに違いない。自らの武器を増やすことで、大学時代とはひと味違った選手へと成長することができれば、谷田にとって社会人行きがプラスの効果をもたらすことになる。

 谷田は言う。

「もちろん、ストレートにプロに行ければそれに越したことはないと思います。でも、社会人に行ったからこそ、プロでは経験できないことが絶対にあるはず。それを力にするかどうかは自分次第ですから、2年間、とにかく頑張るだけです」

 果たして谷田は、どんなプレーヤーとなって、再びドラフト会議を迎えるのか。2年後が楽しみだ。

(取材・文:斎藤寿子)

谷田成吾プロフィール

1993年5月25日生まれ。右投げ左打ちの外野手。慶応高から慶応大へ進学し、東京六大学通算で歴代12位タイとなる15本塁打を放った。2015年ドラフトで上位指名が予想されたが指名されず、社会人のJX-ENEOSへ入団する。

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