なでしこが求めた選手層の厚みと柔軟性 五輪最終予選を見据えたオランダ戦の狙い

中田徹

後半はさらに多くのテストを実施

後半はさらに多くのテストを実施。ゴールを決めた阪口(右)は後半CBでプレーした 【Getty Images】

 風上に立った後半立ち上がり、日本は良い時間帯を作り、後半から入ったセンターFW菅澤優衣香とのコンビネーションから阪口がゴールを決めて1点差に詰めたが、その後は日本もオランダもプレー精度と質が下がり、両チームとも見せ場を作れぬまま試合が進んだ。特に日本にとっては若手6人の選手交代のみならず、試合中のコンバートも頻繁にしたため、テスト色の強い45分間だった。それでも49分に1点を返した後、日本のシュートが87分までなかったのは寂しかった。試合は78分にPKでダメ押しゴールを決めたオランダが3−1で勝ち、W杯のリベンジを果たした。
 
 試合後、佐々木監督はオランダ戦での頻繁なコンバートに就いてこう説明した。

「構想を頭に入れてました。あと、今後のチェックも図りたかった。それが今回の親善試合の目的の一つだった。(前半途中から)宮間と大儀見と阪口をトライアングルにしてみたり。あと(後半開始から)菅澤をトップにして、逆に大儀見を下げてみた。そこにボランチの一人が攻撃に関わったり、サイドハーフが関わったりね。ポジションも適正を見たりした。僕が今日やりたいなと思っていた部分は、全部やりました」(佐々木監督)

 センターバック(CB)は熊谷紗希がフル出場し、キックオフから62分間は若手枠の長船加奈と、その後はボランチから下がってきた阪口とコンビを組んだ。熊谷は長船、阪口とのプレーをこう振り返る。

「(阪口)夢穂ちゃんだったら落ち着くし、ボールを回すことで有利に働く。船(長船)だったら戦えるし、足もある。そういう意味で味方に合わせての戦い方もあるし、対戦相手の特徴もあると思うから、誰が良いとは一概にはいえませんけれど、ペアでやるというのは時間も必要というのもあるので、今いろいろな人とやれるのは良かったと思います」(熊谷)

 ボランチから後半、左サイドバックに移った宇津木瑠美は、五輪本番の登録メンバーが少ないことも想定しながら語った。

「阪口や自分がCBに入ることで、リオ五輪で(登録メンバーが)18人しかいない時に、メンバーを代えなくてもバリエーションができることはすごく重要なこと。無駄に選手を代えないといけないという状況を減らしたいです。後ろのメンバーを代えるというより、前の選手を代えてあげたいので、できれば一人の選手がより多くのことをやっていきたいというのがあります。それは日本人だからこそできることだと思います。海外の選手だと背の高い選手が一人いてとか、足の速い選手が一人いてとか、一人の良いところを出していると思うんですけど、日本はそういうチームではないので、『みんなが新たな発掘を』と思っています」(宇津木)

佐々木監督「次にどう克服していくかに尽きる」

佐々木監督は「強い使命感がある」と五輪最終予選への決意を語った 【Getty Images】

 日本代表の戦いそのものが低調だったこともあって、アピールしたい若手選手たちにとっては気の毒な試合になってしまった。佐々木監督は言う。

「この間、東アジアカップで若い選手を連れていって、経験をさせていますけれど、ヨーロッパは初めての経験でした。でもチームはスタートしたばかりだし、1月、2月と準備期間があるので、経験のない選手たちが厳しさを感じて、次に自分が足りないものをどう克服していくかに尽きると思います。こういう経験をしないと、言葉で言ったって分からない。(大学生の)男子と(練習試合を)やってもインパクトがなかったりしますからね」

 皇后杯が終わると、彼女たちはオフになる。

「なでしこリーグ開幕が3月末から4月の上旬ぐらいかな。だからオフの1月、2月は(予選に)仕上げていく準備として想定しています。具体的には12月24日に発表すると思うんですけれど、今、調整中です。どんなコンディションであろうが、今のなでしこのランキングからしたら、アジアでしっかり枠を取るというところは、かなり強い使命感があります」

 五輪最終予選では、特に最初の3連戦を大事にし、スタートダッシュでキンチョウスタジアム(大阪)を盛り上げて、一気にリオへの道を拓(ひら)いていきたい。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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