2年ぶりのニューヨークシティマラソンで感じた変わった点と変わらない点

南井正弘

変わらない点

スタート前は芝生に寝そべったりしてリラックス。これもニューヨークシティマラソンの大きな特徴だ。 【南井正弘】

その1
参加するランナーの楽しそうな表情と熱狂的な応援!


 ニューヨークシティマラソンは世界トップレベルのトップランナーも出走するが、なんといっても主役は世界中からやってくる市民ランナーだ。そして彼らがこの大会で走ることを心底楽しんでいるのは2年前と同じ。日本の一部の大会のようなピリピリした雰囲気はなく、レース前もスタッテン島のスタート地点周囲の芝生の上で寝そべったりしてスタート時間がくるのを待っている。一般ランナーでウォーミングアップしているランナーはほとんど見かけない。

 スタートしてからもランナーの表情は楽しげで悲壮感がない。途中歩いてしまっているランナーもニコニコしている人が多いのだ。そして200万人を超えるという沿道の熱狂的な応援も健在。彼らは決して傍観者ではなく、応援者という立場で積極的にニューヨークシティマラソンに参加しているのだ。

今年は例年よりも気温が高かったが、スタートのギリギリまで着ていた防寒のための衣類は、こちらのリサイクルボックスに投入することで衣類を必要としている人に寄付されるのだ。 【南井正弘】

楽しげな表情で走るランナーが多いのもニューヨークシティマラソンの大きな特徴。写真は前日に行われた5kmランのものだが、本番でもこんな感じで、みんな楽しそうに走っていた。 【南井正弘】

筆者も今大会で着用したフラッシュイエローのゲルカヤノ22。グリーンのゲルニンバス17とともに今年のニューヨークシティマラソンで最も見かけたランニングシューズのひとつだ。 【南井正弘】

その2
アシックスの高いシェア!


 ニューヨークシティマラソンのシューズとアパレルのオフィシャルスポンサーはアシックスであり、レースにおける着用率はこれまでもトップの座をキープしていたが、ざっと見渡したかぎり、今年も同ブランドがニューヨークシティマラソンにおいて1位のシェアであることは間違いなさそう。

 特に多く見かけたのはゲルカヤノ22とゲルニンバス17。これはマーケットの販売状況にリンクしており、前述の限定グラフィックバージョンを着用しているランナーもチラホラと見かけた。アシックスの次に着用者が多いと思われるのはブルックスとサッカニーであり、このあたりは日本のランニングシューズマーケットの状況とは大きく異なるところだ。

前日にエクスポで購入したゲルクォンタムの限定モデルを着用するアメリカ人ランナー。日本のランナーの感覚からすると「足慣らしの期間が短すぎるのでは!?」と思ったが、本人は「昨日この靴で3マイル走ったから大丈夫!」とのこと。 【南井正弘】

「沿道の熱狂的な応援を始めとして本当に最高の大会だった!」と語るドイツ人女性。 【南井正弘】

その3
レース後、レース翌日にメダルを首からかけて街を歩くランナーたち


 日本の大会でもらった完走メダルを首からさげて街を歩いている人は滅多に見かけないが、ニューヨークの街をニューヨークシティマラソンの完走メダルをかけて歩いている人は本当に多い。

 これはこの最高の大会を完走したということをみんなに知らせたいということであると思われ、そんなランナーに対して「Congratulations! 完走おめでとう!」と声をかけてくれるニューヨーカーも少なくない。そしてメダルをかけたランナー同志がレースのことを熱く語り合うという光景を何度も見かけた。そういう筆者もニューヨーカーの人たちに「Congratulations! 完走おめでとう!」と何度も声をかけてもらい、世界各国からやってきたランナーとお互いのレース結果のことを2年前も今年も話し合った。

 ちなみにアシックスから発売されているストームジャケットというマウンテンパーカに似たデザインのニューヨークシティマラソンのオフィシャルグッズがあるが、これを着てメダルをかけてニューヨークの街を歩くランナーは2年前もそうだったが、とても多い。

見事サブ4を達成したパキスタンからやってきた青年。 【南井正弘】

朝からテンション高く会話していた陽気なイタリア人ランナーの二人組。 【南井正弘】

世界中のランナーの憧れであることは変わらない

 タイトルスポンサーがINGからTCSに変わるなど、2年前と比較するといくつかの大きな変化があったニューヨークシティマラソン。一部のランナーはこのことを不安視していた。しかしながら今回2年ぶりに走ってみて、基本部分はしっかりと継承されており、この大会が世界で最も人気の高いランニングイベントのひとつで、世界中のランナーの憧れの的であることは変わっていなかった。そしてこれからもずっと変わらないであろう。

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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