3年ぶりに日本へ帰ってきたクラブW杯 個性豊かな参加クラブと高まる注目度
躍進の資質を備えるクラブ・アメリカ
北中米カリブ海王者となったクラブ・アメリカは06年の大会で4位になって以来、9年ぶりの出場となる 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
自慢は何と言っても攻撃陣のタレント力だ。正確なパスワークからサイドの高い位置に起点を作り、バイタルエリアを崩すのがクラブ・アメリカの伝統的なスタイルで、今年5月からチームを率いるイグナシオ・アンブリス監督も基本コンセプトを継承している。多彩な攻撃の仕上げを担う2トップのアルゼンチン人FWダリオ・ベネデットとメキシコ代表FWオリベ・ペラルタはCONCACAFチャンピオンズリーグでそれぞれ7得点を挙げるなど、南米の強豪クラブにも引けを取らない決定力を誇る。2人とも機動力が高いため、相手のディフェンスが的を絞りにくい。
パラグアイ代表MFのオスバルド・マルティネスを軸に中盤でボールをキープしながら攻めるのが基本型だが、相手との関係や時間帯によって堅守からのカウンターに切り替える意識はチームで共有されており、米国代表DFアルバラードとパラグアイ代表DFパブロ・アギラールの屈強なセンターバックコンビを中心に、リーベル・プレートとはもちろん、バルセロナと対戦することになっても、0−4で敗れた06年の準決勝よりもタフな戦いができるはずだ。
オークランド・シティは7度目の出場
オークランド・シティは前回大会で、メキシコのクルス・アスルを1−1からのPK戦(4−2)で破って3位に躍進した 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】
注目選手はパプア・ニューギニア出身のデイヴィッド・ブラウン。19歳にしてエース的な地位を確立しつつある新鋭は175センチと長身ではないが、スピーディーにディフェンスの裏を突いて正確にゴールネットを揺らす能力は優れ、クラブW杯で対戦するハイレベルなディフェンスにも効果的な武器になりそうだ。日本人の左SB岩田卓也は32歳となったが抜群の運動量と高精度の左足は健在であり、今年1月にはアジアカップを控えた日本代表と練習試合を行い、新たな手応えをつかんでいる。
ここからアフリカとアジアの代表が決まり、開催国枠を合わせて今大会の参加クラブが出そろうが、AFCチャンピオンズリーグは準々決勝が行われており、Jリーグ勢では柏レイソルとG大阪が勝ち残っている。他国のクラブが優勝すればJリーグの年間チャンピオンが開催国枠で出場することになるが、08年のG大阪から7年ぶりのアジア王者として世界の舞台にチャレンジしてほしいものだ(注:AFCチャンピオンズリーグで柏かG大阪が優勝した場合は同大会の準優勝クラブにもクラブW杯の出場権が与えられ、開催国枠が適用されない)。
12月10日から横浜と大阪が会場となり、20日の決勝まで8試合が行われる。欧州と南米のクラブは準決勝からの登場になるが、全体的にレベルと大会に向けたモチベーションが上がっており、実質的なプレーオフとなる開幕戦から白熱した戦いが繰り広げられる期待は高い。国際的な注目度も高まる大会をぜひともスタジアムで見届けてほしい。