ニューバランスにランニングの新モデル 南井正弘のイチオシ!

南井正弘

バジー ペース

【南井正弘】

屈曲性と快適な重心移動を可能にする幾何学形状のアウトソールパターンを採用 【南井正弘】

 コレクションのなかでも最もスピードを求めるランナーに最適な1足。レースにも対応するスペックを結集するなど、速目のペースの走行に対応するランニングシューズだ。実際に履いてみると、足を包み込むようなブーティ構造はフィッティングがよく、シューズがかなり軽く感じられる。

 データ上は片足240gとのことだが、それよりも軽い印象だ。走り始めると、かかとと前足部の高低差が6mmと少ないこともあり、効率的なフォームとされる中足部から前足部での着地を促してくれ、前足部のアウトソール(地面と接地する部分の底)も一般的なシューズよりも幅広で、優れた安定感をランナーに与えてくれる。

 またミッドソール(アウトソールとアッパーとの間のソール)には高い反発性のREV LITE(レブライト)を用い、つま先部分を大きく巻き上げることで、着地から蹴り出しまでの足抜けもスムーズ。走り心地はこれまでのニューバランスのランニングシューズにはない感覚で、足の保護性よりもスピードの乗りやすさを重視した設計であると思った。テストした日がいずれも30度近い環境だったので、それほどペースは上げられなかったが、秋以降のランニングシーズンならkm/4分台のペースにも充分対応してくれるだろう。

反発弾性に優れたREV LITEをミッドソール部分に使用 【南井正弘】

バジー ラッシュ

【南井正弘】

アッパーの随所に補強パーツを配することで、「バジー ラッシュ」は瞬発系のトレーニングにも対応する高いサイドサポート性能を着用者に提供する 【南井正弘】

「バジー ラッシュ」は3モデルあるコレクションのなかで中間の価格帯となる1足。3タイプで最も安定性を高めたミッドソールを採用し、アッパー(甲の部分全体の総称)に補強パーツを多用することで、一般的なランニングトレーニングだけでなく、瞬発力を高めるトレーニングにも使用することが可能となっている。

 重量に関してはカタログ上のデータは「バジー ペース」と同じく240gで、実際に履いてみるとやはり軽量。「バジー ペース」よりも補強パーツが多く使用されていることから、足全体がガッチリと包まれている感触で、これならジグザグ走行など、普通のランニングシューズが苦手とする動きにも対応することだろう。

 走り始めると「バジー ペース」ほどではないが、高い反発弾性と前方への推進力を感じた。この日はkm/6分ほどのペースで走ったが、適度な足の保護性も感じられ、快適に走ることができた。また、このシューズを最初に履いたのはニューバランスジャパンのイベント時であり、この日はただ走るだけでなく、体幹トレーニングを含めたさまざまな動きを行ったが、「バジー ラッシュ」は高いアッパーのホールド感も有しているだけに、シューズと足は最後まで高い一体感をキープしたままであった。

 走行性能に関しては「バジー ペース」のほうが上だが、「バジー ラッシュ」はランニング以外のトレーニングにも使用することができるので、「ランニングだけでなく、スポーツジムでも履きたい!」というように、スポーツシューズとしての汎用性を求めるならこちらのほうがオススメだ。

オフェンシブな走り心地を体感

 これまでニューバランスのランニングシューズは足の保護性に定評があり、どちらかいうとディフェンシブな印象があったが、今回のバジーのコレクションは、両モデルともにオフェンシブな走り心地を体感することができた。これに加えて、フレッシュフォームを搭載した「フレッシュフォーム ザンテ」などはこの中間の走り心地なので、ランナーは大別して、3つのコレクションからニューバランスのランニングシューズをセレクトできるようになったといえる。

「とにかくケガをせずに日々走りたい!」「初マラソンで足を痛めずに完走したい!」というランナーには「M1040」をはじめとした足の保護性に優れたシューズを、前述の通り「もっと速く走りたい」「もっとスピードを感じたい」というランナーはバジーを、そして「ソフトな着地感と軽量性に優れたシューズで走りたい!」というランナーにはフレッシュフォーム搭載モデルをセレクトできるようになったのだ。

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著者プロフィール

フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『日経トレンディネット』『グッズプレス』『モノマガジン』をはじめとしたウェブ媒体、雑誌で執筆活動を行う。ほぼ毎日のランニングを欠かさず、ランニングギアに特化したムック『Runners Pulse』の編集長も務める

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