初心者がゴルフを楽しむ5つのポイント 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

【松原渓】

 数年かけてじっくりやっていこうという気持ちになれるのも、ゴルフならでは。私はこれまでに、ゴルフコースは5回程度しか回ったことがない。スコアは120を切ったことがなく、初心者の域を一向に出ない。それでも、初心者なりに基本的なルールやマナーは覚えた。

 最初の頃は一緒にプレーする人のコースを横切って芝目を荒らしてしまったり、次の人を待たせるのが申し訳ないと思ってグリーンの上を走ってしまったり(グリーンを痛めるため、走るのは厳禁)。やることが裏目に出て、怒られ……。結局、マナーのことや人の目ばかりを気にして、プレーを楽しむどころか、終わる時には違う意味で疲れていた。それでも何回か行ってみて、ようやくプレーに集中できるようになり、ゴルフの面白さも分かるようになってきた。
 そんな中、先月、仕事を通じて知り合ったゴルフ好きの方たちに誘われて行ったコースで、「ゴルフって楽しい」という思いがさらに強まった。私のような初心者がゴルフを楽しむためにどんなことが必要なのか? 今回はそのポイントを考えてみた。

(1)ゴルフコース選びから気合いを入れる

スタート地点も絶景スポット 【松原渓】

 今回、ゴルフを楽しめた理由の1つは、選んだコースがとっても良かったこと。行ったのは、神奈川県小田原市にある「小田原城カントリー倶楽部」。このコースは標高650mの場所にある。晴れた日には眼前に広がる相模湾と空の間に立っているような素晴らしい景色が見られ、「天空のコース」とも言われるそうだ。

水平線に向かって…… 【松原渓】

 私が行った当日は残念ながら雨で、コースは濃い霧に覆われていたのだけれど、午後は雨がやんで、相模湾を眼下に見渡しながら、高低差100ヤード(91.44m)もあるという名物10番ホールの打ち下ろしも楽しむことができた。穏やかな相模湾の水平線を正面に見ながら、カップに球を沈めた瞬間はとっても気持ちが良かった。

(2)お互いのペースを尊重できる人と一緒に回る

広いコースは運動量も多くなる 【松原渓】

 一緒に行く人との相性も、ゴルフの楽しさを決める重要なポイントだと思う。コースを回る時、私は下手なので空振りすることも多いし、当たったとしても前に飛ばすのが精いっぱいだ。同行者は基本的に私よりもうまい人が多いのだけれど、その人の1打を私が4打分で進むとすると、かなり待たせてしまうことにもなるので、そういう時はとても申し訳なく思う。

 競技志向の人はペースを乱されることがストレスにもなるだろう。一方、そうした相手のストレスや場の空気感に気を遣いながら回ると、間違いなく自分のプレーにも影響する。そういう意味で、「メンタルに結果が大きく左右されるスポーツ」と言われる理由もよく分かる。

 でも、80台のスコアで回るような超上級者でも、うまくペースを考えてくれたり、会話を楽しむことで一緒に楽しく回れたこともある。ゴルフは一緒に行く人と過ごす時間の密度が、他のスポーツに比べて圧倒的に濃い。カートに乗っている間も会話を楽しめるし、上達のためのアドバイスをレクチャーしてもらえたり、仕事や趣味など共通の話題などでも盛り上がることができる。だからこそ、相性は本当に大事だと思った。

(3)マナーも楽しむ

狙いを定めて…… 【松原渓】

 ゴルフはテニス同様、打つ瞬間や緊張感の高まる場面では、水を打ったように静かになる。それは、一緒に回る人に対するマナーでもある。サッカーのように、大歓声やブーイングの中でプレーするのも大変だけれど、静かな中で、しかも他人の目が見守る中でのショットはこんなにプレッシャーがかかるものなのか……!とつくづく感じた。でも、その静寂も楽しんだもの勝ち。

 また、自分の番が回って来た時に、素振りをして、頭で最高のショットをイメージして……と、じっくりやっていると打つまでに時間がかかり、次の人に迷惑をかけてしまうこともあった。かといって、慌てて打ってミスをするのももったいない。そういった集中力の高め方やメンタルの鍛え方など、ゴルフから学ぶことは多い。
 他にも、ゴルフにはさまざまな基本マナーやタブーがあり、1つひとつの理由を考えていくと、「紳士のスポーツ」と言われる理由が分かる。皆が気持ち良くプレーするために譲り合う精神や、良いプレーをした時にはどんな声をかければ良いのかを知ることも、良いプレーヤーになるために欠かせない要素なのだと思う。

(4)早朝のドライブ、芝生の匂い……ゴルフのさまざまな要素を楽しむ

朝の芝の匂いが気持ちいい♪ 【松原渓】

 この日は朝6時に家を出発した。朝は弱い私だけれど、ガラガラの高速道路を走る朝のドライブは気持ちが良かったし、ゴルフ場に着いて、みずみずしい朝の芝生の匂いを嗅いだ瞬間の感動は何ものにも代え難かった。
 また、コースを回った後はゴルフ場にあるお風呂にゆっくり浸かれるのも嬉しい。最近はレジャー施設を併設しているゴルフ場もあるそうなので、一日過ごすこともできてとってもお得だ。小田原城カントリー倶楽部からの帰り道には、鎌倉の有名なカレー専門店「珊瑚礁」に寄った。とても充実した一日だった♪

(5)上達した!と思える瞬間や発見を大切にする

1打目は思いっきり! 【松原渓】

 これは他の競技にも言えることだけれど、自分の得意なプレーを見つけたり、上達を実感する時こそ、ゴルフの楽しさを知る瞬間でもあると思う。そのためには自分のクセを知ることも大切だ。

 私の場合は、頭でっかちになって身体に余計な力が入ると大抵空振りしてしまう。一方で、どんなホールでも1打目は、比較的良いショットが打てることが分かった。ドライバーで思いっきり振れる第一打は、何も考えずに打てるのが良いのかもしれない。そんな傾向を知り、自分のクセや良さを発見しながら、徐々に良い時のショットを増やしていきたいと思っている。
 当面の目標は、スコア「100」を切ること。時間はかかりそうだけれど、ゆっくりと確実に進歩していけたら嬉しい。以前は興味を持てなかったゴルフ番組も、最近では面白くなり、チャンネルを変えなくなったのも、1つの進歩かもしれない。

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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