世界への道を一緒に歩み出した村山兄弟「2人で日本代表のユニホームを」

加藤康博

謙太が最も意識するのは大迫

 いよいよ26日から日本選手権(新潟・デンカビッグスワンスタジアム)が開幕する。1万メートルの世界選手権参加標準記録突破者は謙太に加え、鎧坂哲哉(旭化成)と設楽悠太(Honda)の計3名。ここから優勝者が出れば、その選手は即代表に決定する。
 また謙太はグランプリシリーズの兵庫リレーカーニバルを勝っているため、2位でも代表入りはほぼ確実だろう。だが標準記録突破者以外にも、この種目4連覇中の佐藤悠基(日清食品グループ)に、3年連続で2位に入っている大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)など歴戦の強者がそろい、レベルの高い戦いになることは間違いない。その中でも謙太が最も意識するのが大迫だ。

「米国に渡り世界のトップ選手と一緒に練習しているので、きっと自分のことなど相手にしていないはず。でも日本でも強い選手がいるというところを見せたいんです。優勝以外でも代表になれるかもしれませんが、やはり勝つことを目指しています。ラストスパートは得意なので、なんとか終盤まで粘り、自分の形に持ち込みたいです」

世界陸上は「どうしても出なければならない」

今回の世界陸上は「どうしても出なければならない」と話す2人。その先には来年のリオ、そして20年の東京五輪が目標としてある 【加藤康博】

 一方、5000メートルで標準記録突破者は紘太のみ。今大会でほかの選手が標準記録を破らなければ、紘太もグランプリシリーズの織田記念国際(広島)を勝っているため、3位以内で代表入りがほぼ決まる状況となっている。

 しかしここにも07年大阪世界選手権、08年北京五輪代表の竹澤健介(住友電工)がいるだけでなく、鎧坂や大迫、佐藤らの名前もエントリーされており、前日に行われる1万メートルの結果次第では、こちらにも多くの選手が出場してくるはずだ。

「もちろん目標は優勝です。強い選手はたくさんいますが、誰が来ても自信を持って走るつもりです。去年は2位ですから、それを上回ることしか今は考えていません」

 今回の北京世界選手権、2人は「どうしても出なければならない大会」と口をそろえる。視線の先には来年のリオデジャネイロ五輪、そして2020年の東京五輪がある。早い段階で世界のスピードを経験しておきたいというのがその理由だ。

「もし北京に出られたら、なるべく前でレースをしようと謙太と話をしています。そこでしか得られない経験が必ずあるはずですから」。紘太はそのイメージをふくらませている。

 兄弟での世界選手権同一大会出場となれば05年、07年の室伏広治、由佳以来2組目の快挙だ(他に大南博美、敬美は別大会で出場したことがある)。世界への切符を「日本選手権優勝」という最高の結果で手にすることはできるだろうか。

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著者プロフィール

スポーツライター。「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。コピーライターとして広告作成やブランディングも手がける。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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