家族で楽しむライフスポーツ柔術を目指して 愛好家たちの祭典「DUMAU九州」

長谷川亮

ゆるキャラ、ご当地アイドルも一役

大会のエグゼクティブ・プロデューサー、井手智広さん 【長谷川亮】

「DUMAU」は格闘技用品を販売するドゥマウキモノスが自社の名前を冠し、全国で開催している柔術大会。九州では柔術と家庭の両立を目指し2003年に設立された「OJJ」こと「オヤジリアン柔術」が協力要請を受け、2012年から基山町総合体育館で5月と12月の年2回、「DUMAU九州」を開催している。オヤジ柔術家がライフスポーツとして柔術を続けていくには家庭内の調和を保つことが不可欠であり、「家庭内予選を突破せよ!」がOJJの合言葉になっているというから振るっている。

 そんなOJJの代表であり、大会のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるのが「パラエストラなかがわ イデDOJO」代表でもある井手智広さん。他地区と比べ、格段にお祭り色の強い大会について聞いた。

基山町の特産品を扱ったブースも並んでいる 【長谷川亮】

「せっかくの日曜日を奥さんと子どもを犠牲にして行くのではお父さんも心苦しいでしょうから、自分たちの狙いとしてはやっぱり家族で楽しんでほしいというのがあります。なので楽しいから家族を連れていける大会、お父さんは試合をして、子どもたちは遊んで、奥さんもいろいろ見て回って楽しめるという状況を作れたらと。そうこうするうち『行っていいわよ』とか『今度いつあるの?』ってなってきて、次第に子どもも柔術を始めて大会に出たり、今度はお母さんがカメラを持ったり。回を重ねるごとに柔術だけじゃなく来る人たちも一緒に楽しんでくれる大会、イベント化していると思います」

 そう井手代表が話す通り、会場には道着など柔術関連用品の物販はもちろん、基山町の特産品を扱ったブースが並び、表彰式やパフォーマンスに地元アイドルが参加し、インターネット中継も実施するなど、参加者だけでなく応援者も楽しませるための工夫がなされている。

開会式にて。アイドル「Zero-dash」(左)とゆるキャラ「きやまん」、「Tick☆tik」(右)が勢ぞろい 【長谷川亮】

 また基山町の支援を受けている本大会では町のイメージキャラクターである「きやまん」も盛り上げに一役買って大活躍。アイドルグループとともに朝から晩までメダル授与を手伝い、入賞者とともに写真に納まる姿を見ると、くまモンもふなっしーもいいけど、随分ときやまんに愛着が湧いてくる。

 大会後もスタッフだけでなく残った人たちが“今後も基山町総合体育館で大会を続けるために”と率先してゴミ拾いを行ったり、みなでDUMAU九州を大事にしようという温かさが感じられた。

表彰式ではきやまんとご当地アイドルがメダルを授与するなど大会盛り上げに一役買っていた 【長谷川亮】

周囲も巻き込み、みなが楽しめる大会へ

2階級制覇を達成した“シュレック”こと関根秀樹選手もDUMAU九州を愛する一人だ 【長谷川亮】

 5月17日の大会で黒帯階級別(ウルトラヘビー級=100.6kg以上)と無差別級の2階級制覇を成し遂げた(しかも全一本勝ち)“シュレック”こと関根秀樹選手も、そんなDUMAU九州が持つ魅力に引かれ、静岡から遠征して参戦を続ける1人。

「ここは特別で独特の雰囲気があるんです。スタッフだけじゃなく、選手・観客もみんなでいい大会にしようと、全員で作り上げている感じがあって、初めて来た時それに感動して、僕もお手伝いしたいなと思いました。だからDUMAU九州と山梨学院(大学=出身校)のOB会だけは何はともあれ行かないとと思っています(笑)」

【長谷川亮】

 参加する選手だけでなく周囲も巻き込み、みなが楽しめる大会へ。

「よく『温かみがある』って言われるんですけど、そういうのがまだ九州には残っているというか。そういう風土とブラジリアン柔術が合わさり、いい方向に行っている気がします」(井手代表)

キッズ柔術も大盛り上がり! 【長谷川亮】

 これまでは昨年12月の465人が最高参加人数であったが、いずれは1000人、そして現在の日曜日だけでなく土・日の2日間開催へ。勝っても負けても何だかまた来たくなる独特の雰囲気に引かれ、九州だけでなく関西・関東からもリピート参加者は着実に増している。次回はそんな中から様々な形で柔術に取り組む、“LIFE with 柔術”な人たちを紹介したい。

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著者プロフィール

病弱だった幼少期にプロレスファンとなり、格闘技ファンを経て2002年に格闘技雑誌編集部入りし、05年からフリーライターに。『スポーツナビ』にはそのころから執筆。病床で何度も読み返したため、『プロレススーパースター列伝』は大体暗記。趣味は下手の横好きでキックボクシングとブラジリアン柔術

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