初入賞ホンダの次なるポイント マクラーレンとの一体感は本物か

田口浩次

信頼性を高め完走率アップへ

さらなる上位進出を目指すために、今後、ホンダとマクラーレンが真に一体になっているかが問われてくる 【Getty Images】

 では、次にホンダが目指すべきポイントはどこだろうか。

 まずは、今回も入賞するチャンスがあったにもかかわらず、アロンソのマシンはギアトラブルが起因でリタイアした。マクラーレン・ホンダのマシンは開幕6戦を終えて、2台合わせて6回しか完走していない。この50%の完走率を80〜90%台へと高めることが重要だ。
 リタイアしたアロンソも「もちろん(リタイアは)フラストレーションが溜まる。でも、大事なのは問題を再発させないこと」と語っている。速さは着々と増してきているのだから、信頼性が高まることで、結果にもつながり、チームスタッフたちのモチベーションも大いに上がっていくはずだ。

 実はつい先日、ホンダの第2期F1活動プロジェクトリーダーで、現在は本田技術研究所の上席研究員である木内建雄氏を取材した。そこで木内氏が言っていたのは「若い連中に任せていますから、僕が口を出すことはないですが、ホンダのPUはもっとポテンシャルがありますよ。ただ、それを生かせる段階に至っていない。でも、シーズンが始まって、目標がハッキリしたでしょう。だから、やるべきことは分かっている」という言葉だ。そこには不安という感情は微塵も感じられなかった。

「100パーセント信頼」の真贋を見極める段階

 つまり、ホンダは開幕2戦で目指すべき目標点を再設定し、それに向けて動き出し、その効果の兆候が見え始めたのが、今回のモナコGPだったのではないだろうか。
 木内氏との会話の中でも、現在のトップチームはあんなアイデアやこんなアイデアを投入しているのではないか、という雑談で盛り上がった。当然、最前線で戦うホンダエンジニアたちは、木内氏以上に冷静な目でライバル陣営たちの分析と次の予測をしているはずだ。

 通常、多くのチームが次に大幅なアップデートを投入するのは第9戦イギリスGP。それまでに、どれだけ信頼性を向上させ、中団グループの先頭を争う状態に持ち込めるかがホンダの現実的な目標となってくるだろう。

 当然、ポイント獲得も毎戦狙ってくるはずだ。スペインGP後に、バトンは「今シーズンのポイントはもう無理」と気弱なことを言っていたが、モナコGPを終えて、そうした弱気は消え去った。ここからの戦いぶりは、マクラーレンとホンダが本当に一体となって前に進むようになってきたのか、シーズン前にロン・デニスが言っていた「お互いを100パーセント信頼している」という言葉の真贋(しんがん)を見極める段階に入ったと思う。

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