バーチャルサーキットでレーサー気分! 「松原渓のスポーツ百景」

松原渓

どっぷりとレースの世界に浸れる空間

 私はサーキットの経験はないけれど、ゴーカートやレーシングゲームは昔から好きだった。「意外といいタイムが出ちゃうかも?」と、レースをイメージしながら意気揚々と訪れてみると……。

 想像をはるかに超えるスケールにびっくり! 案内された一室にはシュミレーション用のレーシングカーと7mの大型スクリーンが広がり、さまざまなデータを計測する機材が並んで、さながら実験室のような雰囲気だ。まさに、自分だけの空間。ここなら周囲を気にすることなく、どっぷりとレースの世界に浸れる。レーシンググローブ(手袋)をつけると、それだけでレーサー気分が味わえる。

 乗る車は、ポルシェタイプとフォーミュラタイプから選べるという。ポルシェも捨てがたいけれど、F1を疑似体験したい私はやっぱり、フォーミュラタイプをチョイス。ちなみに、免許はなくても体験はできるそうだ。

 続いては車種選び。これもファンには楽しみなポイントだろう。ツーリングカーやスポーツカーも選べるらしい。とは言っても、車に詳しくない私は「せっかく挑戦するのだから、究極の一台に乗ってみたいな」と思い、本格的なF1マシンの中でも最も上級で難しいとされるGP2に挑戦。決して甘く見ていたわけではないのだけれど、後で「何事も段階を踏むべきだった……」と自分の浅はかさな選択を実感することになったのだけれど。

「初めて乗る時は、なるべく知っているコースを選択するのが賢明ですよ」とインストラクターさん。知らないコースだと車酔いするのだそう。富士スピードウェイは二輪で何度か走ったことがある。というわけで、ここに決定!

車酔いまでリアルに再現

左:最高速度は267km!/右:リアルなコースの景色も楽しめる 【松原渓】

 コックピットに座ってみると、着座ポジションの低さに驚く。足を伸ばして道路に座っているような感じで、目線は道路すれすれ。「レーサーってこんな目線で運転してるんだ」。コンパクトなマシンは身体にフィットするようなサイズ感。このマシンが、本当に時速300kmとかになるのだから信じられない。

 ブレーキの硬さにも驚いた。乗用車のブレーキを踏む感覚だとまったく効かない(汗)。全体重で踏み込む感じで、このあたりもリアルに再現されているそうだ。「レーサーってこんなに脚力が必要だなんて……」すでに汗がにじんできた。

 そして、いざスタート。なんとなく予想はついていたけれど、我ながらひどい暴走っぷりを披露してしまった。もちろん、誰に見られるわけでもないので、恥をかくこともなく、堂々と暴走できるのだけれど。あっという間にスピードが出るので、コーナリングではブレーキとハンドルを切るタイミングが遅れて大回りしてしまったり、回転しながら壁に衝突したり……。

 あっという間に車酔いしてしまった。車酔いまでリアルだからすごい。グローブをしないと、腕を持っていかれて捻挫することもあるそうだ。ただ、直線だけは気持ち良く走れた。そもそも、時速200km以上を実生活で経験することはまずないので、その感覚を体感できるだけでも貴重だ。乗用車を運転する感覚とこんなにも違うなんて……。

 リアルなのはマシンだけではない。コースの景色や作りもリアルそのもの。富士スピードウェイでは雄大な富士山をバックに気持ちよく走れるし、左右の観客席からは観客の声援も聞こえて来そうなほどで、アドレナリンも全開だ。プロのドライバーがトレーニングに使用して、運転技術やメンタル面まで鍛えられるというのもうなずけた。

空いた時間を利用して楽しめる

 気になるお値段は、フリー走行が15分で3,000円。体験コースは10分5,000円と少々高くなるが、走りの分析をしてもらえるそうだ。さらに、レーサー向けなど、本格的なトレーニングのコースとなると、30分で1万円。こちらはビギナーコースからトレーニングコースまで設定も幅広く、走行後には走りのデータを見ながらインストラクターのサポートも受けられるという。

 私が体験したのはフリー走行の15分だったが、未知の世界を体感できて、十分すぎるほどの満足感を得られた。でも、初めてなら、もう少し優しいマシンを選んだ方が賢明だったかも?

 今年のF1は、3月13日にオーストラリアGPで幕を開ける。レースを観戦した後に、バーチャルサーキットでその感動を後追いするのもいいかもしれない。

 最近、スポーツでもいろいろなシュミレーションゲームが出ている。自分が監督になって強豪クラブを指揮するサッカーゲームや、同じく野球、NFL、ゴルフ、競馬、釣り……など、ジャンルもさまざま。ちょっと空いた時間を利用して楽しめる手軽さも、シュミレーションゲームの良さだと思う。バーチャルサーキットをきっかけに、レーサーを目指す人も増えるかも?

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著者プロフィール

サッカー番組のアシスタントMCを経て、現在はBSフジにて『INAC TV』オフィシャルキャスターを務める。2008年より、スポーツライターとしての活動もスタート。日テレ・ベレーザの下部組織であるメニーナのセレクションを受けたことがある。『キャプテン翼』の原作者である高橋陽一先生が監督を務める女子芸能人フットサルチーム「南葛シューターズ」にて現在もプレー。父親の影響で、幼少時から登山、クロスカントリー、サイクリングなど、アウトドア体験が豊富。「Yahoo!ニュース個人」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/matsubarakei/)でも連載中

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