F1マシンは速く、格好良くあれ! 酷評ノーズからの変化、近未来像を探る

田口浩次

フェラーリが発表した近未来マシン

フェラーリが発表した近未来F1マシンのコンセプト画像。先鋭的なデザイン、安全性の両立を追及している 【写真:フェラーリ】

 それにしても、どうしてこれほど大型のフロントウイングフラップを全チームが採用するのか。現在F1タイヤを供給するピレリは、その前のブリヂストンが作っていた統一タイヤや、それ以前にあったミシュランとブリヂストンによるタイヤ開発競争時代と比較して、コスト削減と安全対策の観点から、あえてグリップ力を下げた品質を採用するようになった。その結果、チーム側は少しでもフロントタイヤのグリップ力を高めようと、フロントウイングでダウンフォースを生み出すことを目的としたデザインが主流となってきた。

 しかし、F1は世界一速くて格好良いから魅力的で人気があるのではないだろうか? ここ数年のF1人気凋落の原因は、マシンデザインも遠からず関係しているのではないか? もちろん、昔から「どんなひどいデザインのマシンであっても、速いマシンは格好良く見える」と言われてきた。ただし、昨年のマシンに限っては、テングザルに似たノーズ形状があまりにも不評だったことから、開幕前から「シーズン中の変更があるのではないか」と言われていた。どうやら、多くの関係者も『ひどいデザイン』と認めていたようだ。

 果たして、今年登場した各チームの新マシンは格好良いのかどうか。それは関係者やファンの声を各地で聞くまでは分からないが、やはりF1マシンは格好良くてナンボという価値観があることは事実だ。

 そうした声をより引き出すためではないだろうが、先日フェラーリが近未来のF1をイメージしたイラストを発表した。これを見ると、サイバーフォーミュラ時代を感じさせるデザインもさることながら、注目すべきは前後タイヤをカバーする安全性を確保しつつ、格好良さを追及したデザインだということ。F1のようなオープンホイールマシン(タイヤがむき出しのデザイン)では、2台のマシンが前後に接触したとき、運悪くタイヤ同士が接触すると、後ろのマシンが空中を飛ぶ事故が数多く発生している。近年では10年のヨーロッパGPで、当時レッドブルのマーク・ウェバーがロータス(後にケータハムへ名称変更)のヘイキ・コバライネンのマシンに追突する形で空中を舞うクラッシュを起こした。米国のインディーではいち早く12年からリアタイヤをカバーする形状を採用。その効果は高く評価されているが、デザイン的には決して評判は良くなかった。今回のフェラーリのアイデアは、格好良さと安全性の両立はできるという意見表明かもしれない。

 今シーズンのF1マシンは格好良く見えるのか。開幕に向けて、各チームの違いを見比べながらチェックしてもらいたい。

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