日本にとって手ごわい相手は韓国 オーストラリアはグループリーグ2位通過

タカ植松

けがとコンディション不良で苦しむ韓国

韓国はオーストラリア戦でもパク・チュホとク・ジャチョルが負傷退場 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 韓国の今大会は、とにかく、何かにたたられているとしか表現できない。初戦のオマーン戦は1−0で勝利したものの、DFキム・チャンスとFWイ・チョンヨンが負傷。そのうちイ・チョンヨンは、大会絶望となる重傷を脛(すね)に負って既に帰国。大会前にはブリスベンでのオーストラリアとの直接対決までキャンベラに腰を落ち着けて2試合を戦えるのは大きな日程的アドバンテージになると思われたが、いざ開幕してみるとそこに思わぬ落とし穴があった。寒暖差の激しいキャンベラで、エースFWのソン・フンミン、前主将のMFク・ジャチョル、正GKキム・ジンヒョンといった本来は代えの利かないはずの主力が軒並み風邪でダウン、クウェート戦に出場できなかった。

 初戦のオマーン戦から先発メンバーが7人も入れ替わって臨んだクウェート戦は、何とか1−0で勝利。しかし、試合後にはウリ・シュティーリケ監督自らが「こんな出来では韓国は優勝候補から外れなけれなばならない」と自嘲気味に評するほどだった。

 そのクウェート戦から、主力の体調回復で6人の先発が替わった昨晩のオーストラリア戦でも不運は続く。前半にはMFパク・チュホが、後半開始直後にはク・ジャチョルが負傷退場。さながら野戦病院の様相ながらも決勝トーナメントに漕ぎ着けた韓国の今大会の今後は、けが人の回復と、これ以上けが人を出さないということに尽きるだろう。

 明るい材料も無いわけではない。エースFWのソン・フンミンが、昨夜、途中出場をすると、切れの良いドリブルでオーストラリアDFをパニックに陥れるなど順調な回復の様子を見せた。そんな彼が、イ・チョンヨン、ク・ジャチョルが抜けたチームをキャプテンのキ・ソンヨンと共に結果で引っ張っていくことで、韓国の決勝トーナメントの見通しは多少明るくなる。

 先程のフラニッチの発言ではないが、日本にとって、韓国、オーストラリア、そのいずれとの対戦も、20日のヨルダン戦、そして準々決勝の先の話だということを忘れてはならない。日韓戦、日豪戦というアジア有数のライバル対決を今大会で実現させるには、日本、そして韓国、オーストラリアのそれぞれが準々決勝を勝ち抜けるのが最低条件だ。

 今回のアジアカップをさらに盛り上げていくには、やはり決勝トーナメントに“役者”がそろわなければならない。アジア王者としての日本を筆頭に、オーストラリアも韓国も大会のさらなる盛り上げを担える看板役者たり得るだけに、準々決勝で足をすくわれないで勝ち上がって来ることを願いたい。

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著者プロフィール

1974年福岡県生まれ。豪州ブリスベン在住。中高はボールをうまく足でコントロールできないなら手でというだけの理由でハンドボール部に所属。浪人で上京、草創期のJリーグや代表戦に足しげく通う。一所に落ち着けない20代を駆け抜け、30歳目前にして03年に豪州に渡る。豪州最大の邦字紙・日豪プレスで勤務、サッカー関連記事を担当。07年からはフリーランスとして活動する。日豪プレス連載の「日豪サッカー新時代」は、豪州サッカー愛好者にマニアックな支持を集め、好評を博している

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