安藤サクラ、打ち込んだボクシングと再会 映画『百円の恋』で見せる役者魂
【(C)朝岡英輔】
「ちゃんとスポーツしてましたか?」
この取材が『スポーツナビDo』からのものであることを告げると、安藤サクラはやや心配そうにそんなことを尋ねてきた。いやいやいや、とんでもない。主演映画『百円の恋』はちゃんとどころか十分、いや十二分にスポーツ、そしてボクシングの映画である。
プロレスラー、永田裕志を思わせる白目も辞さず、試合に臨む一子(いちこ)を演じた安藤の姿は圧倒的すごみを放ち、観る者の度肝を抜く。忘れられない思春期の日々、そして本作に込めたボクシングへの思いと感謝を、じっくりと安藤に聞いた。
この取材が『スポーツナビDo』からのものであることを告げると、安藤サクラはやや心配そうにそんなことを尋ねてきた。いやいやいや、とんでもない。主演映画『百円の恋』はちゃんとどころか十分、いや十二分にスポーツ、そしてボクシングの映画である。
プロレスラー、永田裕志を思わせる白目も辞さず、試合に臨む一子(いちこ)を演じた安藤の姿は圧倒的すごみを放ち、観る者の度肝を抜く。忘れられない思春期の日々、そして本作に込めたボクシングへの思いと感謝を、じっくりと安藤に聞いた。
中学時代にボクシングジムへ通っていた
『百円の恋』より 【(C) 2014 東映ビデオ】
安藤演じる一子は、仕事もせずに実家へ寄生し、自堕落な生活を送る32歳の女性。しかし家族との軋轢(あつれき)から実家を出ての一人暮らしを余儀なくされ、やがて新井浩文演じる中年ボクサーとの出会いがきっかけでボクシングを始め、それまで経験のなかった熱い気持ちに駆られ、ボクシングにのめり込んでいく。
安藤自身も中学時代にジムへ通ったという経験者。「ヤンキーに憧れたというか、『ボクシングをやってる』って言ったらビビられるんじゃないか、そういう悪い人に見られるんじゃいないかと思って」――。そんなバカバカしい理由でボクシングを始めたと安藤は笑うが、10数年前といえばまだ女性のボクシングが一般的ではなかった時代。そんな中、安藤は女性が2、3人というジムで練習に励んでいたというから肚が据わっている。
「私が打ってもパワーがないので、もう『好きに打っていい』って言われて、男性のディフェンス練習に使われたりすることが多くて。でも、たまにちょっと口とか切らせてたんですよ!(笑)」
それまで一切スポーツにのめり込んだ経験のなかった安藤にとって、ボクシングは新たな世界への入り口であり扉だった。
「私が打ってもパワーがないので、もう『好きに打っていい』って言われて、男性のディフェンス練習に使われたりすることが多くて。でも、たまにちょっと口とか切らせてたんですよ!(笑)」
それまで一切スポーツにのめり込んだ経験のなかった安藤にとって、ボクシングは新たな世界への入り口であり扉だった。
根性や忍耐をたたき込まれた
「単純に家族・学校ではないところで何かを教わったり、自分が全然関わったことのない人たちとの関わり合いっていうのもすごく大きかったですし、かわいがってもらいながらもすごく厳しいトレーナーだったので、その時に根性とか忍耐はたたき込まれたと言うか。
あと、女性とスパーリングをした時、それまで男性相手だと何も怖いなんて思わずやっていたんですけど、女性と向き合った時にすごく怖くなって、全然うまく手が出なかったんです。その、すごく怖かった恐怖心とか、普通の生活では学べないことを学んだっていうのが大きかったです」
ボクササイズではなく「本気ボクシング」をやっていたという安藤だが、高校へ入りバイトに夢中になったことで蜜月期は終わりを迎える。しかし??
「ちょうどそのころ、『ガールファイト』(※ボクシングに打ち込む少女を描いた米国映画)が公開されたんです。私は映画に興味があったころですし、同世代の女の子のボクシングの映画なので、すごく刺激を受けた部分があって。衝撃というか、ちょっと悔しいなと思いました。それが今まで多分どこかにあって、だからこの作品のオーディションを受けたっていうのもありました。できる限り、映画で自分の肉体を使ってみたかったという憧れもありますし、中学の時にボクシングをやっていたっていうのはそう考えても大きいですね」
あと、女性とスパーリングをした時、それまで男性相手だと何も怖いなんて思わずやっていたんですけど、女性と向き合った時にすごく怖くなって、全然うまく手が出なかったんです。その、すごく怖かった恐怖心とか、普通の生活では学べないことを学んだっていうのが大きかったです」
ボクササイズではなく「本気ボクシング」をやっていたという安藤だが、高校へ入りバイトに夢中になったことで蜜月期は終わりを迎える。しかし??
「ちょうどそのころ、『ガールファイト』(※ボクシングに打ち込む少女を描いた米国映画)が公開されたんです。私は映画に興味があったころですし、同世代の女の子のボクシングの映画なので、すごく刺激を受けた部分があって。衝撃というか、ちょっと悔しいなと思いました。それが今まで多分どこかにあって、だからこの作品のオーディションを受けたっていうのもありました。できる限り、映画で自分の肉体を使ってみたかったという憧れもありますし、中学の時にボクシングをやっていたっていうのはそう考えても大きいですね」