番記者が語る本田圭佑への評価と期待 「ミラン浮上に10番の活躍は不可欠」
イブラと本田は面白い組み合わせ
試合を重ねるごとにマークの厳しさは増していく。しかしミランが上位に行くためには10番の活躍が欠かせない 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
残念ながら、それは「ノー」。実力が違い過ぎる。つい先日も取材したパオロ・マルディーニが言っていたが、ベンチ入りさえできなかっただろう。それだけでなく、アンチェロッティ指揮下の当時(01−02シーズン途中〜08−09シーズン)であっても難しいと言わざるを得ない。
ただ、今日のミランであればもちろんだが、少し前のアレグリ監督時であっても本田は主力の一角を占めることができたはず。たとえば、まさに今のユベントスでアレグリがやっているように、当時のミランの4−3−1−2であっても本田はその「1」として、ズラタン(・イブラヒモビッチ)と組むことで素晴らしいパフォーマンスを発揮してみせたのではないか。むしろそう確信する。現在ユベントスでアルトゥーロ・ビダルがやっているポジションだね。とにかく、イブラヒモビッチと本田。実に面白い組み合わせだと思うんだが。
――ところで本田は本当にミランの10番にふさわしいのか否か。君の見解は?
もちろん「イエス」。クラブ側がそれを用意し、彼がそれを望んだのだから、今にしてその是非を問う必要はないと思う。もしも今なおそれを否定的に捉える向きがあるとすれば、それこそ今後の活躍で評価を覆してみせればいいだけの話だ。すでに昨季のブーイングは拍手に変わっているのだからね。ただ、その上で付け加えておくべきは、そもそもこのミランというクラブが歴史的に、あのジャンニ・リベラのような例外はあるとしても、それほど「10番」に重きを置くクラブではないということ。もちろん、その軽重は例えばユベントスのようなクラブと比べた場合の話ではあるんだが。
そしてさらに言えば、現時点におけるティフォージたちの声としては、より「10番」にふさわしいのはメネスであると言う者たちが多いのは事実。もちろん、それは彼らの本田に対する期待の裏返しでもあるのだから、今はまだあるこうした声を是非とも覆してもらいたいと心から願っている。
10番の活躍を欠くわけにはいかない
どう評価しているのか。その答えは、他ならぬインザーギが公の場で何度も述べている通りだよ。本田は紛れもなく「最高の模範」。プロフェッショナルとしての姿勢で彼の上を行く者はいない。もちろん、その彼のトレーニングに打ち込む姿勢は下部組織の子たちも見ている。昨季、あれだけ大きな批判にさらされながらも彼は屈しなかった。その姿も若い選手たちは見ている。
本田以上の才能を持ちながらも、あのサンシーロ(ミランのホームスタジアム)の重圧につぶされていった何人もの選手たちを私たちは間近で見てきたからこそ、ここミラノの記者たちの多くが、もちろんOBたちもその本田の強さを評価し、むしろ感服している。したがって、具体的に求めるものはない。今まで通りの姿勢で取り組んでくれればそれでいい。そうすれば、ティフォージたちが求める件の“闘う姿勢”も今よりももっと色濃くなっていくのではないか。本田に対する敵のマークは試合を経るごとに強くなっていく。削られる頻度も激しさも増していく。ならば、それに勝つには今よりも激しく闘う以外にない。
――クラブ首脳、ベルルスコーニとガッリアーニは本田をどう評価しているのか?
ガッリアーニが本田を誰よりも高く評価しているのは周知の事実。ただ、一方のベルルスコーニはそうじゃない。もちろんまったく評価していないという意味ではなくて、正しくはいわゆる彼の“お気に入り”ではないということだね。とはいえ、これもまたさっきの10番うんぬんの話と同じように、すべてはこれから先の本田のプレー次第だからね。評価はいくらだって変えることができる。
シーズンはまだ序盤を終えたばかり。3位、つまり来季のチャンピオンズリーグ(CL)出場権をミランが獲得するには、10番の活躍を欠くわけにはいかない。そして本田は、1月のアジアカップを終えて以降、そこにはもしかすると厳しいポジション争いが待ち受けているとしても、きっとその真価を発揮してみせると確信する。過去のデータが雄弁に物語っているように、3〜4月の戦績こそが(上位進出の可否を占う上で)最も重要になってくるからね。ライバルたち(インテル、ナポリ、フィオレンティーナ)がそろってカップ戦にエネルギーを消耗せざるを得なくなると予想される中、その3〜4月にカップ戦のないミランはそこで勝ち点を稼がなければならない。そして、もちろんそのためにミランは10番・本田の活躍を最も必要としている。