中村ノリ、解かれない“懲罰”の果てに DeNA戦力外通告までの苦しき日々
昨年の契約更改から募った不信感
中村にとって、5月6日の巨人戦が今季1軍で最後の出場となった。果たして来季は? 【写真=高塩 隆】
その直後に球団はオリックスからバルディリス獲得の方針を決定。当初は中畑監督も「4番・ブランコ、5番・ノリは不動」と公言していただけに、高田GMとの意思統一がなかったことが確かだと言って間違いない。さらに、春季キャンプは2軍スタート。「CSに出場するために近鉄、中日での優勝経験を若手に伝えたい」と張り切っていた中村だが、不信感は増すばかりだった。故障でも調整遅れでもない中で、疎外感を感じ、若手と泥にまみれた。
キャンプ宿舎での夕食で食あたりを起こした際は、高田GMから「いつも、ええもんばっかり食うとるからや」と、とんでもない言葉が浴びせられたという情報もある。こんな状況で、この言葉を冗談だと受け流せる人間の方が異常だろう。
わずか3分間だけのトップとの会談
どこのファンが、中村に対して行儀よく、まじめな姿を求めているのだろうか。そんな中村を見たいDeNAファンにはいないだろう。優等生だろうが不良だろうが、2000安打、400本塁打という数字だけはウソをつかない。だとすれば、生意気な若造に対してもリスペクトがあっても当然ではないだろうか。「必要な戦力なんだ」と口にしておいての飼い殺し。そこに追い打ちをかけるように大補強となれば、立派な“パワハラ”だと言っていいだろう。
9月23日、中村は高田GMと会談し、現役続行の意思を伝えたというが、会話した時間は「たったの3分」という。しかも、ほとんど中村が話すだけだった。そして10月3日、DeNA球団は中村と来季の契約を結ばないことを発表した。球界の歴史に名前を刻んできた中村獲得のオファーを出す球団はあるのか? 今後の中村の去就から目が離せない。
(文=楊枝秀基/スポーツライター)