不調の原因はグリップにあり! 好調時のゴルフを取り戻す秘策とは

東邦出版

トッププロ御用達! 石川遼くんもこのドリルで修正

【イラスト:アカハナドラゴン】

 やわらかいグリップがベスト、と言ってきましたが、それを100%体感できるドリルがあります。それは「タオル巻きグリップ・ショット」です。少し前に、「石川遼選手がグリップにタオルを巻いて練習をした」と報道されましたが、石川選手だけでなく、多くのプロゴルファーが実践している方法です。

 自分では力を入れていないつもりでも、実はすごく力を入れてグリップを握っている場合があります。そんな時、自分に合ったベストの力加減を分からせてくれる練習法なのです。

【イラスト:アカハナドラゴン】

 まず、長めの薄いタオル(約35センチ×85センチ)をグリップにグルグルと巻きつけます。そして、タオルを巻きつけたグリップを普段どおりのグリップの形で握りましょう。
 実際にトライしてみると分かりますが、タオルがフワフワして強く握れません。手首にも力が入らず、クラブは不安定でブラブラしていると感じるでしょう。ですが、それが正しい力加減です。
 その状態で何度か素振りをくり返した後、実際にボールを打ってみましょう(ボールはティーアップした状態で打ってもOK)。最初はスイングすることに不安を感じるかもしれませんが、手からグリップが抜けることはありません。これによって、やわらかいグリップの感覚が一発で分かるので、すぐにグリップの力加減を修正することができます。

 普段の練習からこのドリルを取り入れておけば、やわらかいグリップの感覚が身体に染み込みます。また、コースでのラウンドにおいては、お昼ご飯を食べた後の休憩中など、時間を見つけて素振りだけでもいいのでやってみると、午後からのラウンドで見違えるようなショットが出るでしょう。

練習場ではアプローチ練習、コースではロングホールで修正

「その日の調子はグリップで決まる!」と言っても過言ではありません。だから私は、生徒さんには「調子が悪いと思ったら、それまでの半分の力で握ってみてください」と伝えています。

人間は、半分の力にしようと思うとぴったり50%の力で握ることは難しいかもしれませんが、60〜70%くらいの力では握れます。そのくらいのやわらかさがゴルフには必要です。これは練習場でも、コースでも同じです。そこで最後に、練習場、コース、それぞれの「やわらかいグリップの感覚を身につける(取り戻す)ための方法」を紹介しましょう。

 まずは練習場から。打球の練習をするときは、アプローチをゆっくり行ないましょう。不安のない距離のアプローチから練習すると、飛ばそうとしないためグリップをやわらかく握れるからです。

 ラウンド前の練習でも非常に有効です。練習せずにラウンドをスタートして、ティーショットを失敗した経験のあるゴルファーは多いと思います。これはティーショットで力が入ってしまったことが原因です。一度力が入ってしまうと、なかなか抜けないものです。

そこで、あらかじめスタート前の練習場では40%くらいの力でグリップしましょう。こうしてスタートすると、コースではちょうどよく60%くらいの感覚でグリップできるようになります。練習場での練習は、ナイスショットを打つことが目的ではなく、リズムの確認とグリップの力を抜くことを目的としたほうが効果的でしょう。

 一方、コースでは、一度スタートしてしまっているので、練習場のようなことはできません。しかしラウンド中、急にスイングの調子が悪くなることはよくあります。そんな時はやはり、グリップの力みが原因になっている場合が多く、やわらかいグリップに戻す必要があります。

 これを、ラウンドの間に修正するのはとても難しいことです。ただ、ひとつだけ力を抜ける場面があります。それは、ロングホールに来たときです。ティーショットがうまくいったら、セカンドショットは3番ウッド(スプーン)や5番ウッド(クリーク)などで飛ばしたいと思うものですが、調子が落ちてきたそんなときには7番アイアンなど短いクラブで距離を欲張らずに力を抜いて振っていくのです。

 なぜ、ロングホールのセカンドが修正するのにいいタイミングなのか。それは、短いクラブで打つということは、グリーンを狙って打たなくなるからです。少々曲がってもいいから、安心して振っていけるわけです。逆に、短いクラブであっても、ショートホールで「あそこを狙うぞ」と思っていたら力が入ってしまいます。

 短めのクラブで力を抜く。距離も飛ばさなくていいので欲張らない。そこで成功すると次からそのテンション(やわらかい握り)で振っていけます。脳が「この力加減でも打てるんだ」と思って回復するからです。これは、プロゴルファーも実践していることです。このような工夫がラウンドでは大切になってくるでしょう。

(イラスト:アカハナドラゴン)

指導者プロフィール:松吉信(まつよし・まこと)

小学4年生のときにUSPGAツアープロのチャック・キャンベル氏と出会い、本格的にゴルフを始める。中学、高校ではラクビーに打ち込み、大学では学生ゴルファーとして活動する一方、専属プロキャディのパイオニアとして倉本昌弘プロの20勝近くの優勝に貢献した。卒業後、プロキャディを務めながら、プロゴルファーのマネジメント業にも取り組む。若手プロの育成に従事、サポートを続ける中、才能に恵まれつつも伸び悩むプロゴルファーがあまりに多い現状に大きな疑問を抱き、その人が本来もっている能力を発揮できるように技術、メンタルでの指導を行う。現在はプロ、アマ問わず、確実に上達するための常識を打ち破るレッスンを実施している。

グリップを直すだけでゴルフが変わるから「もう一度練習してみよう」と思える

【東邦出版】

 なぜ練習すればするほどミスショットが増えるのか……? テイクバックやトップ、ダウンスイングなど、スイングの各部を修正しようとムキになるゴルファーがほとんどだが、ゴルフのスイングは“ほとんど”グリップで決まる。グリップが悪いままでは、いくらスイングを直そうとしても無理なのだ。プロはもちろん、トップアマチュアも“月イチ”ゴルファーも、グリップを変えれば飛距離が伸びて、ショットの精度も格段に上がる!

 どんなグリップを目指し、そのためになにをすべきか。倉本昌弘プロの全盛期を支えたプロキャディの先駆者で、数々のゴルファーを救ってきたゴルフドクター・松吉信が、実践的なドリルやギアの知識を織り交ぜながら理想のグリップを手に入れる方法を丁寧に解説。「もうゴルフをやめちゃおうかな」と悲嘆にくれるゴルファーをもう一度やる気にさせる指南書!

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著者プロフィール

サッカーや野球、ゴルフ、テニス、ラグビーなどのスポーツ本、競馬や宝くじのギャンブル本を中心に、文芸、脳トレ、音楽、芸能……幅広いジャンルの単行本を出版。最近の売れ筋商品に『エディー・ジョーンズの日本ラグビー改造戦記』や『高校球児に伝えたい!プロでも間違うバッテリーの基本』など。

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