米メディアが報じる本命不在のマスターズ=「今年がその年?」と新人優勝に期待
プロとして初出場となる松山に地元紙も注目
プロとしては初のマスターズ出場となる松山。マスターズが行われるオーガスタの地元紙『オーガスタ・クロニクル』でも特集されるなど、注目を集めている 【Getty Images】
石川遼が出場への最後の望みを託した前週のシェルヒューストンオープンで31位に終わったため、日本から出場するのは松山英樹ただ1人。日本国内ではプロとして初のオーガスタに挑む若きエースに熱視線が注がれるなか、本国アメリカではどう伝えられているのか?
さっそく、オーガスタの地元紙『オーガスタ・クロニクル』は6日付け紙面の有力選手紹介で、「マツヤマはプロとして出るのを待っていた」と大きく取り上げた。米国人にとっては、東日本大震災の被災地に近い東北福祉大出身というのも興味を引かれる対象になっている。日本の若きエースの登場を、地元ファンも今か今かと待っているような熱気が伝わってくる。
若手の松山が注視されるのは、今大会が本命不在の混戦必死の戦いでもあるからだ。世界ランキング1位に立つ大本命、タイガー・ウッズが腰の手術を受けたため初めて欠場するほか、過去3度の優勝を誇るフィル・ミケルソンも腰痛や肉離れで今季は思ったような結果が出ず、マスターズで2度のトップ3があるホープ、ジェイソン・デイも左手親指を痛めるなど、ここにきて有力選手が相次いで怪我に悩まされている。
それだけに、米メディアの展望には新たなスター誕生に目が向けられ、例年とは違った盛り上がりを見せている。
好対照だった米国の2大ゴルフ週刊誌のマスターズ特集
アメリカの2大ゴルフ週刊誌のひとつ『ゴルフワールド』誌は新鋭ジョーダン・スピースを表紙にし、マスターズルーキーにスポットを当てている 【宮下幸恵】
今年で80回目を迎えるマスターズ史上、1934年、1935年の最初の2年をのぞいて初出場で優勝をさらったのは、1979年のファジー・ゼラーしかいない。メジャーでは、怖さを知らないルーキーがあれよあれよという間に優勝をさらうケースも多いが、オーガスタに潜む魔女だけは、それを許さないのだ。
しかし、『ゴルフワールド』誌は「Is This The Year?」(今年がその年?)と題し、今年のルーキーの実力は本物だと各選手の戦歴を紹介。中でもスピースは19歳だった昨年ジョンディア・クラシックにおいてPGAツアーで82年ぶりの10代Vを達成し新人王にも輝いた期待の星だけに、35年ぶりのルーキーVの可能性を記している。
ゼラーの初出場初優勝について、「優勝は本当にボーナスのようなもの。ただ達成したいことだけに集中していただけさ。翌年の出場権を取るというね」と本人のコメントを載せて、トム・ワトソン、エド・スニードとプレーオフの末の勝利は、無欲の栄冠だったと振り返っている。
さらに、ルーキーVの難しさを、昨年オーストラリア人選手として初のチャンピオンとなったアダム・スコットの、「最初は自分のターゲットに打ってチャンスを作っていけたけど、どんどん守りのプレーをするようになるんだ。『ここに打ってはダメ』と分かってしまうと……」というコメントで説明。
アーメンコーナと呼ばれる11番、12番、13番の難関ホールや超高速グリーンでは、狙いどころがピンポイントで限られ、高い技術だけではなく、何万の観衆の目の前で力を発揮できる強いハートも試される舞台。怖いもの知らずのルーキーが無欲で頂点へ駆け上がるのか? 今年は日本のファンも、マスターズルーキーに注目だ。
松山は、アマチュアで初挑戦した2011年には27位と健闘し、アジア勢としてローアマの栄冠に輝いた逸材。2013年も54位に入り、今年がプロとして初めてのオーガスタとなるだけに、『無我の境地』で戦えれば優勝も見えてくる。今年で80年目を迎える節目の年。王者ウッズがいぬ間に、松山がダークホースとなるのか!? 戦いの火ぶたは10日に切って落とされる。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ