「食生活は変えられることを伝えたい」 食欲コンサルタント・村山彩

スポーツナビDo

【坂本清】

自らの体験をメッセージとして伝えたい

昨年12月に『あなたは半年前に食べたものでできている』を出版した村山彩さん 【坂本清】

 昨年12月に初の著書『あなたは半年前に食べたものでできている』(サンマーク出版)を出版された食欲コンサルタントの村山彩さん。この本は、運動を取り入れた生活を送ることで「正しい食欲」を取り戻し、健康に生きていく方法を伝えている。

 健康のためには規則正しい生活に、栄養のある食事、適度な運動が必要――誰でも分かっていることだが、実践するのは難しい。実際、村山さんも高校生のころから体重コントロールに苦しみ、ダイエットや不規則な生活によって体調を崩した経験がある。同じような悩みを持つ人に「食欲は変えられる」というメッセージを伝えたかったのだという。

「当初はアスリートフードマイスターの仕事をメインにしていたので、アスリートのレシピ集のような本を企画していました。ただ、そんなに私、料理が得意なわけでもないですし、料理研究家や管理栄養士の方がいる中で、自分だけが伝えられることってなんだろう……とちょっと行き詰ってしまって。私という人間が、今までの人生で一番時間を使って熱中してきたことが、人にシェアできることじゃないかと原点に戻ったんです。ダイエットをやったり、体を壊したりしてきた自分が今、気持ちよく毎日を過ごせているということについてなら、何か人に伝えられるんじゃないかと思ったんです」

 村山さんの場合、体が悲鳴をあげるほどギリギリのところまで追い詰められ、根本的に生活を変えるに至ったのだという。

「30歳の時、暴飲暴食や不規則な生活をしていて体を壊したことと、結婚が重なったこともあり、一念発起しました。いわゆる女性特有の冷え性や抜け毛、肌荒れなどを全部持っていたので、ここで治さないと先はないなと。そのタイミングで会社も辞めたので、何かやらなきゃと思ったんです。それで、食事をちゃんとすること、運動をすること、という原点に帰りました」

 もともと、成果を確認しながら何かに取り組むことが好きだという村山さん。仕事を辞めたこともあり、食に関する資格を取ろうと思い立ったそうだ。そこで、目に留まったのが、野菜ソムリエだった。

「食事をちゃんとするといっても料理も全然分からないし、どうしようかと思った時に、資格を探したら、野菜ソムリエが見つかったんです。それからは熱中して勉強しました。運動の方は、たまたま旦那さんからトライアスロンに誘われて。運動なんて何十年もやっていないし、できるはずないって思ったんですけど、今ここでやらないと自分は一生運動しないだろうっていう、自分の行く先が見えたんですよね。逃げられないなと思って、このチャンスを生かすしかないと思ってやり始めたんです」

食事と運動は必要不可欠

愛犬との散歩も日課のひとつの村山さん。1日1時間は運動するという 【坂本清】

 2010年に野菜ソムリエの資格を取得した村山さんはその後、日本初のアスリートフードマイスターとなる。トライアスリートとしても実績を残し、現在はその経験を生かしてアマチュアランナーなどに食事と運動の指導を行っている。

「私はコーチ業をしてきたわけではないですけど、運動は楽しいよ、ということは伝えられると思うので、その導入の部分をお手伝いしています。その人がどのように運動と向き合ったら幸せになれるか、というところから、いろいろと話をするようにしていますね。運動というくくりだけでなく、その人の人生と向き合うことを心掛けています。だから食のアドバイスもしますし、ダイエットやランニング時の化粧品についてもアドバイスします。トータルとして、その人がウキウキ人生を歩むためのサポートができればいいなと。悩みとかもたくさん相談されますね(笑)」

 食事と運動、どちらかでは健康になれないのだろうか?

「ダイエットの観点から言うと、食欲って欲じゃないですか。食事制限をすることは、ストレスでしかないんですよね。好きなものを食べる、食べたいものを食べるというのは本来、そうするべきだと思うんです。そうなると、運動を掛け合わせるしか方法はないんですね。カロリーコントロールをするだけでは瞬間的にはやせるかもしれないですけど、長続きはしないですね。食事だけで全部をコントロールするのは無理があると思うんです。

 運動することはエネルギーを使うし、いろいろなものを燃やしてくれる。だとしたら、その材料がないといい体が作れない。その体を作るのに必要なものが食なんですよね。運動だけしていても、食べなければ走ることもできないし、歩くこともできない。食べないと、企画書も作れない。だから、食事と運動、2つとも絶対に欠かせないと思います」

 村山さん自身はトライアスロンの記録を伸ばすため、一時は本格的なトレーニングをしていたという。だが、現在は楽しみながら、日常生活に運動を取り入れるようになった。

「毎日1時間は運動します。この子たち(犬)の散歩にも行きますしね。トライアスロンの練習とヨガ、体幹トレーニングもやっていますが、今はそんなにガシガシ走ったりはしないです。順位を求め出したら楽しくなくなってしまった時があって、私はプロ選手でもないですし、本末転倒かなと思って。それからは、ヨガを楽しもうとか、早歩きでもいいかなとか、そうじを運動代わりにしようとか、臨機応変に考えられるようになりました」

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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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