9度目の正直に挑む宮里藍、勝利のカギは!?=クラフト・ナビスコ選手権見どころ
苦戦を示す同大会での平均ストローク数
今年で9度目の「クラフト・ナビスコ選手権」に挑戦する宮里藍。今年こそ優勝者恒例のウイニングダイブができるか!? 【Getty Images】
この数字、一体何なのか分かるだろうか? 2005年の初出場から8年かけ、計30ラウンドしたクラフト・ナビスコ選手権での宮里藍の平均ストロークだ。
クラフト・ナビスコ選手権といえば、1983年のメジャー格上げ以来毎年同じコースで開催され、『女子版マスターズ』とも呼ばれる格式高いトーナメント。宮里藍の米ツアーでの年間平均ストロークは、最近4年間で70から71ストローク台で推移しているだけに、どれだけ苦戦しているかが一目で分かる。
ちなみに、過去8年間の成績を振り返ってみると、05年は44位、06年は29位、07年は15位、08年は31位、09年は69位、10年は予選落ち、11年は33位、12年は56位。特に10年はそれまでの3試合で2勝を挙げて、期待されたものの、予選落ちに終わっている。
メジャー仕様にセットアップされた開催コースのミッションヒルズCCは、粘りのある深いラフと硬いグリーン、要所に配置される池とバンカーがプレッシャーとなる。ピン位置から逆算し、いかにやさしいパッティングのラインを残せるか、クレバーなマネージメントも求められる。
例年パワーヒッターが上位に名を連ねるが、小技が生命線の藍は、針穴に糸を通すような精度のショットで粘り強くチャンスを作っている。が…、最後の最後でパットが決まらない。何度も天を仰ぎ、チャンスを取りこぼし、パーを逃してきた。
攻略の糸口は「コースを難しいと思わないこと」
「コースを難しいと思わないこと」。メンタルコーチのリン・マリオット女史は心のあり方だと言う。
これでもか、これでもかと挑戦しながらはね返されると、気づかないうちに苦手意識が脳に刷り込まれてしまう。ゴルフはメンタルが大きなウエイトを占めるスポーツ。無意識の怖さは、繊細なフィーリングを妨げる事にもなる。メジャー舞台で、優勝経験のない無名選手や新人がさらっと勝ってしまう事が多いのは、怖さを知らないからだ。
今季は2月下旬に玉突き事故に巻き込まれ、1試合欠場を余儀なくされたが、復帰戦となった3月の「RRドネリー・ファウンダーズカップ」では初日に63を叩き出し健在をアピール。心配を吹き飛ばす活躍で好調をアピールした。事故を乗り越え、「ゴルフが出来る喜び」を素直に感じたという宮里藍。
クラフト・ナビスコ選手権は1988年にエイミー・オルコットが2度目の優勝を飾った時に、喜びのあまり18番グリーン脇の池に飛び込んだことから優勝者のウイニングダイブが恒例となっているが、「飛び込むイメージはできていますよ」と予習は十分の宮里藍。苦手意識どうのよりプレーできる幸せを噛み締めてコースに向き合えば、勝利の女神は微笑むかもしれない。
史上最強アマのリディア・コが初出場
日本勢では、宮里藍のほか、宮里美香、上田桃子の米ツアー組に加え、今年からルーキーとして戦う有村智恵、上原彩子が出場する。有村は初挑戦だった2010年に、第3ラウンドの後半インで「30」をマークするなど、無心、無欲で上位を賑わせ9位。2011年も宮里美香とともに7位に食い込んでいるだけに、期待は大きい。
最終日、歓喜のダイブの中心にいるのは誰か? 灼熱の戦いは、4月4日に幕を開ける。
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