宮里藍、悲願のメジャー制覇へ秘策あり=2月14日開幕・ゴルフ米女子ツアー展望

宮下幸恵

大願成就へ初の予行演習を実行

米国女子ツアーが14日から開幕する。今季こそメジャー初制覇期待される宮里藍 【写真は共同】

 2013年から米ツアー本格参戦の有村智恵の戦いぶりとともに、注目されるのが宮里藍のメジャータイトル制覇だろう。昨年まで欧州女子ツアーと米女子ツアー共催で行われていた「エビアンマスターズ」が第5のメジャーとして昇格する。メジャー取りのチャンスが1つ増えるだけに、1977年全米女子プロゴルフ選手権優勝の樋口久子以来、36年ぶりの日本人メジャー制覇へ夢が膨らむ。喉から手が出るほど欲しいこのメジャータイトル獲得へ、エース・宮里藍は参戦8年目にして初の秘策を打って出るという。

「例年下見には行ってないですけど、今年は早い段階でコースを見たり、工夫したいなと。特に全米女子オープンの練習ラウンドはハーフで3時間かかるし、練習に6時間、7時間かかる。それだけの時間、集中してコースチェックできないですからね」

 普段はコースに対する自分の「フレッシュなイメージを大事にする」だけに、事前の下見ラウンドは行ってこなかった。だが、大願成就へ「より知識を増やして、その上でフレッシュなイメージを持ってできればいい」。特に、初対面のコースとなる6月「全米女子オープン」(米ニューヨーク州セボナックゴルフクラブ)に向け、シーズン前半のオープンウィークを利用して予行演習を済ませることで、タイトルをグッと引き寄せるつもりだ。

賞金女王を阻む後半戦のスタミナ

 昨シーズンの最終戦を終えたとき、宮里藍は課題をこう語った。
「後半戦で上位にいける回数が少なかったのは、今後の課題です。特に全米女子オープン以降は、メジャーに勝てなかったことと、課題が多くて整理できずにプレ―したことが結構あって、上位にいけなかった。来年はシーズン始めの流れキープしたい」

 米ツアー通算9勝はすべて、8月までのシーズン前半で勝利したもの。後半戦での息切れが、年間最優秀選手や賞金女王というタイトルに届かない要因でもある。昨年はプロ転向後初めて日米両ツアー共催の「ミズノクラシック」を欠場。シーズン終盤で調子を上げたが、日本のファンへプレーを披露する機会を失いたくない。それと同時に、「ミズノクラシック」後はメキシコ、アメリカでの試合が続くため、長距離移動が負担にもなる。シーズン通して勢いを保つには、スタミナの問題だけでなく、スケジュール調整も難しい問題になりそうだ。

10代の台頭で加速する世代交代

 2012年は開幕戦を18歳のジェシカ・コルダが制し、8月の「カナディアン女子オープン」で15歳のアマチュア、リディア・コ(ニュージーランド)が並みいる先輩プロを押しのけて優勝(年齢はすべて当時)。10代旋風が吹き荒れたシーズンでもあった。加速する世代交代に、24歳の女王ヤニ・ツェンが「私も十分若いんだけど」と苦笑いするほどだった。今年も新たなティーンエイジャーのヒロインが誕生するのか、ベテランが維持を見せるのか。 この辺りも注目だ。

 ここ数年、米国の不景気の影響をもろにうけ、スポンサー離れが続いていた米女子ツアーだが、今季の賞金ランンキング対象試合は昨年より3試合増えて28試合。その半分の14試合が、アメリカではなく世界14か国で行われ、グローバルツアーへと変貌を遂げている。日本人では、有村智恵とともに米ツアーへ本格的に挑戦する上原彩子は米ツアー開幕戦となる「ISPSハンダ女子オーストラリアオープン」に出場。昨年初勝利を挙げた宮里美香は「勝ち続けること」と2勝目をもくろみ、2月21日開幕の「ホンダLPGAタイ」で5年目のシーズンをスタートさせる。上田桃子もダブル宮里に「追いつけ、追い越せ」と、オフには初めて宮里藍が指事するメンタルコーチ、ピア・ニールソンとリン・マリオット両女史の指導を受け、開幕に備えている。2013年シーズンは、日本が誇るなでしこ5選手の存在感がより増すシーズンになりそうだ。

<了>
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著者プロフィール

サンケイスポーツを経て、2006年からフリーに。米女子ツアーを中心にバンクーバー五輪も取材し、新聞、通信社、ネットメディアに幅広く執筆(Twitterは@m_sachi)。2011年にニューヨークで第一子出産し子育て分野にも挑戦。ヤフージャパンで「NY発 子育て新常識」(http://bylines.news.yahoo.co.jp/miyashitasachie/)を連載している。

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